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第13回 生涯学習うわじまフェスティバル
川畠成道ヴァイオリンコンサート
【 2005年7月3日(日) in 南予文化会館ホール 】
  ピアノ:ダイアナ・ケトラー


第一部
■ タルティーニ:ソナタ ト長調「悪魔のトリル」
■ フランク:ソナタ イ長調

第二部
■ エルガー:愛の挨拶
■ マスネ:タイスの瞑想曲
■ エルンスト:夏の名残りのバラ(庭の千草)
■ ワックスマン:カルメン幻想曲

アンコール
■ ウィリアムス:シンドラーのリスト
■ ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番
■ アイルランド民謡:ロンドンデリーの歌
■ モンティ:チャルダッシュ

[ おまけ ]  I Love 宇和島(簡単旅日記)
川畠さんのコンサートのことを、自分自身が忘れないために綴り始めたこの感想ページですが、このページがきっかけで、これまでに多くの川畠さんファンの方と知り合うことが出来ました。(ネットって、本当に不思議ですね。)
今回のコンサートを企画された 「川畠成道の音楽を聴く会」代表のtonicaさん も、その1人です。
tonicaさんと出会ったのは、今年の3月。最初は 「ネット上で」 宇和島初のコンサートの成功を応援するはずだったのですが、段々 「観客の1人として」 応援したくなり、『ええぃ、行ってしまえ!』 と決断したのに、そう時間はかからなかったと記憶しています(笑い)
通常のコンサートとは違い、色々な意味で楽しみにしていたコンサートでした。
※ このコンサートが開催されるまでのtonicaさんの奮闘は、ブログ 『公演裏方日誌』 を御覧下さい。

四国方面は水不足…そんな状態から一転して、前日から大雨が! 宇和島も降ったり止んだりの繰り返しでした。飛行機+電車で前日に宇和島入りした私と友人は気がつかなかったのですが、土砂崩れのため、松山から宇和島への車の移動は不可能という事態が当日 起きていたようです。ですので、残念ながら会場まで来ることが出来なかった人も(涙)
初めての宇和島でのコンサート… 川畠さんを始め、会場へ集まった人も残念ながら集まれなかった人も、非常に印象深いコンサートになったのではないでしょうか。

開場30分前になると だいぶホール入口の前に列が出来ていまして、他のホール利用者への配慮もあって、開場15分前に私たちはホールの中へ入ることが出来ました。
入口で私たちを出迎えてくれたのは、主に制服を着た学生さん!
(注:男子学生はいませんでした。>いても私的には全然OKでしたが、笑い
「こんにちは!」 と誰もが、誰に対しても、元気良く声を掛けてくれたのは、非常にフレッシュ感があって良かったです。お年寄りの方に 「途中で気分が悪くなったら言ってくださいね」 と席まで案内する姿もありました。ああ、若いっていいなぁ、制服ってこんなに元気を与えてくれるものだったかな、など自分の学生時代をふと振り返りました(笑い) 頑張っている学生スタッフの方たちの姿は、輝いて見えました。

観客は、5月のファミリーコンサートよりもファミリーコンサートらしかった…と表現すれば伝わるでしょうか。ご家族で来られている方が多かったと思います。私の右側一列と左後ろの席はご家族で座られていました。いつものオペラシティとは違い、「地域ならではのコンサート」 という雰囲気が出ていたと思います。「川畠成道のヴァイオリンを聴きに来た」というよりも、「南予文化会館の催し物を観に来た」という感じ。
…もちろん、違います。川畠さんを聴きに集まったのですが。
そんなゆったりとした雰囲気だったのです。

ロビーには、川畠さんの紹介がされているパネルの展示が。
そして、配られたパンフレットを見て、なるほどな、と思ったのは。演奏者の説明ですが、川畠さんの説明よりも今回ピアノ伴奏をされたダイアナ・ケトラーさんの説明が2.5倍位のボリュームでされていたこと。
川畠さんの説明は、本当に簡単に短くまとめられているのです。「理屈はいいから、とにかく生の川畠さんの音を聴いてみて!」 というメッセージのようにも感じました。
ダイアナさんについてほとんど知らない私は(情報も集まりません)、とても嬉しい構成でした。

今回のコンサートは、前1〜3列目は自由席。
私たちは嬉しいことに1列目の左側の席に座ることが出来ました。
左側の席は私は初めてで。…ピアノの鍵盤がよく見えます!
(右側でも中央でも左側でも、どの席に座ってもコンサートって楽しめるものなのですね。)
そして、舞台上に出入りするための扉がありませんので、舞台の袖奥の様子が少し見えたりするのです(笑い) 「あ、ダイアナさんだ。」 「川畠さんの弓だけ見えた。」 みたいに、舞台へ登場する前の姿を半分シルエットで楽しむことが出来ました♪

ピアニストのダイアナ・ケトラーさん。
数枚の写真しか拝見したことがありません。「すごく美人」 という何人かの声は聞いていました(笑い)どのような方なのだろう??? 私は大変楽しみにしていました。

―― そして、川畠さんとダイアナさんの登場です!

う…美しい!!!>川畠さんも、もちろん素敵でした。

ワインレッド色のドレスで登場されたダイアナさんは、「ピアニスト界のニコール・キッドマン」 だと私は思いました。(夢を見すぎですか?)
美しい髪、真っ白な肌。本当に素敵!
ダイアナさんの演奏を聴かれたことのある方は「ダイアナさんのピアノは強い」と皆さん言われていました。「ピアノが強い」 という意味が私にはよく分からなかったのですが、でも私はヴァイオリンとピアノの兼ね合いがとても好きなので、強い方がより楽しめるのでは…! と期待をしていました。特に、フランクのソナタはその方が!

そして、タルティーニの悪魔のトリルが始まりました。

…… 本当に、強かったです(笑い)!

一瞬、先日のダニエルさんのソロリサイタルを思い出した位、強かった。
「ダイアナさん」という個性ある音色を一瞬で感じ取ることが出来るような、本当に情熱を込めて弾かれていることが伝わってくる演奏でした。こういう演奏も好きです。
第二部では抑えた弾き方をされていたので、常に強く弾かれるのではなく、悪魔のトリルとフランクのソナタは考えた上で、感情を込めてダイアナさんは弾かれていたのではないかな、と思いました。

そんな熱い演奏をされたダイアナさん。曲が終わった後の挨拶では、さらっとした感じでおじぎをされるのです(なぜか、2階席の方を見上げながら)。まるで今のあの演奏が嘘だったかのように…
そのギャップがとても好感度大でした。

初めてのピアノの鍵盤が見える席でしたので、川畠さんだけでなくダイアナさんのお姿も目に焼き付けてきました。その中で気になったのは、フランクのソナタ第2楽章の時のことです。
ダイアナさんと楽譜めくりの方との息が少しずれたような…(汗、本当は違うのかもしれませんが、そう見えたのです)
もしかして、今 一番緊張されているのは、この譜めくりの方なのでは…?!
と、勝手に心の中で思い始めてしまい、それから最後まで この譜めくりの方を応援していました。

カルメン幻想曲の時は、ダイアナさんが最初のページをめくりやすいように端を折ってくれていました。
(親切な方なのですね! …というより、そんな所ばかり見ていないで川畠さんに集中しないと、汗)

譜めくり…今までは考えたことも無かった存在ですが、単にピアニストの横へ座っているだけでなく、大変なお仕事のようです。今後のコンサートでは、譜めくりの方にも注目してみたいと感じました。そこにも、色々なドラマがありそうです。

―― ここからがやっと、本命の(?)川畠さんの演奏について、です。(今回、ずいぶん長いですね。)
この日はあいにくの雨。ベストな気候だったら、もっと音が響くのでは…? とヴァイオリンを弾かれる方は言っていました。ですが、そんなことすら感じない位、とても素敵な音色がホール全体に響いていました。南予文化会館ホールも響きの良い、おすすめのホールのようです。

フランクのソナタ第3楽章の時の川畠さん。
天を仰いで、伸び伸びと、晴れやかな表情で弾かれている姿がとても印象的でした。
(この曲を聴いていると、なんとなくイメージ沸きますよね? …そういった感じです。)
私は第4楽章が好きなのですが、第3楽章も素敵じゃないの! と改めて気付かされました。

第二部では、タイスの瞑想曲。
今年はアンコールで聴く機会が多くありましたが、プログラムに組み込まれているのは今回が初めてでしたので、とても楽しみにしていました。
その期待を裏切ることなく、本当に素敵なタイスでしたv
以前川畠さんの演奏を聴いた友人が、「音が細い」 と感激していました。細い…とは友人曰く、無駄な音を全て削ぐことの出来た人だけが出すことの出来る純粋な音、だそうです。その精神的な、技術的な作業(?)が本当に難しいとのこと。
その意味が、今回のタイスを聴いていて、何となく分かったような気がしたのです。純度の高い、研ぎ澄まされた音。川畠さんのタイスはやっぱり好きだ、と再確認しました(笑い)

夏の名残のバラ(庭の千草)も素晴らしかった!>聴き終わった後、タイスの感動が少し吹き飛んでしまった位。

私は初めて生で聴く無伴奏の曲です。
これがすごいのです! 途中の指使いが非常に複雑で難しそうで。
(CDを聴いているだけでは想像もつきませんでした。)

左指で弦をはじいてメロディを弾き、そのメロディに合わるように右手の弓で別の音程を奏でる… 言葉で表現するのも難しいのに、演奏するにはもっと頭が混乱しそうです。
まるで、いっこく堂が腹話術をしているかのような…そんな不思議な気分になるのです。どうやって、この2つの音色を表現しているのだろうって。(ヴァイオリンを習われている方は、そうは思われないのでしょうか。でも、入り組んだ曲なのは確かですよね?!)
その複雑極まりない中で、何となく涼しげな、秘密の花園のような素敵な庭にいるような、不思議な世界へと気持ちを連れて行ってくれるのだから、すごいです。出来れば、もう一度聴きたいものです。

最後の曲、カルメン幻想曲。この曲はピアノの独奏で始まるのですが。
今年は、ダニエルさん@カルメン幻想曲を数回聴く機会がありました。
不思議なのか当然なのか、ダニエルさんとダイアナさんとでは、かなり雰囲気が違うのですよね。
川畠さんご自身も、弾き方を少し変えているように感じました。テンポの取り方などが、違うような…
ダニエルさんだと曲の流れそのものを楽しめるのですが、ダイアナさんだと、ダイアナさんがカルメンそのもののような、情熱的で妖艶な演奏をされるので、曲の流れというよりも曲のイメージがとても膨らむような感じがしました。
川畠さんとダイアナさんが、ホセとカルメンに…は言いすぎですが(笑い)、そんな熱いジプシーっぽい雰囲気がホールを充たしていました。
ダイアナさんの出だしの独奏は、素晴らしかったです!

そんなダイアナさん。今回、北海道、そして宇和島…と2地域を周られて、この宇和島公演を最後にロンドンへ帰られるとのことでした。
(川畠さんは、この後 滋賀、タイ、と周られてロンドンへ帰られるそうです。)
初めてお会いして、これが今年最後の日本公演! 今回、聴くことが出来て良かったです。と同時に、先日の入間でのダニエルさんの姿を思い出してしまいました。ロンドンに帰国される方が続くなぁと(涙)

アンコールは残念ながら、最初から4曲と決めていたような雰囲気でした。
でも、4曲も聴かせていただけたので満足です。
「滋賀ではオーケストラとの共演ですので、ソロリサイタルとしては2005年前半は本日が最後。1曲1曲を噛み締めながら、弾いていきたいと思います…」
確か、このようなことを話されていました。なので、こちらも1曲1曲を噛み締めて聴かせていただきました。
チャルダッシュが終わってから、本当の最後に私の左隣の男性…恐らく、今回のコンサートの関係者だと思われるのですが 「ありがとーう!」 と何度も川畠さんにお礼を言っていたのが、いいな、と思いました。これは、観客全員の気持ちに思えたからです。

演奏後のサイン会は、当然ながら(?)長蛇の列。
ファーストアルバム 「歌の翼に」 は完売したようでした。すごい!
川畠さんは、完全に宇和島、四国方面の方々のハートを捉えたようです(笑い)

その後、私は余韻に浸る間も無く、最終便の飛行機へ乗るために途中で会場を後にしたのでした。
宇和島…また行きたいです。(いえ、恐らくもう遠出はしませんが、笑い。今回は特別です。)

2005年7月4日 記

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