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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 3日目
熱狂の日 音楽祭2011 「とどけ!音楽の力 広がれ!音楽の輪」
2011年5月5日(木) at 東京国際フォーラム
【C-341】 ホールC ムージル
オーケストラ・アンサンブル金沢 井上 道義(指揮) ミシェル・ダルベルト(pf)

■ シューベルト:交響曲第2番 変ロ長調 D125
■ シューベルト(リスト編曲):さすらい人幻想曲 ハ長調 D760(ピアノ・オーケストラ版)
【G-35c】 G402 リルケ
松山冴花(vn) フランク・ブラレイ(pf)

■ R.シュトラウス:5つのピアノ小品 op.9 から 第2番・第3番
■ リスト:レメーニの結婚式のための祝婚曲
■ R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.18
■ ブラームス:F.A.E.のソナタより スケルツォ
【Y-383】 よみうりホール カネッティ
アンリ・ドマルケット(vc) ミシェル・ダルベルト(pf)

■ ブラームス:チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 op.99
■ R.シュトラウス:チェロ・ソナタ ヘ長調 op.6
毎日楽しかった(というか、ダルベルト先生が素晴らしすぎた!)今年のラ・フォル・ジュルネ。
頭を数日冷やした状態で、最終日の記憶を綴ろうかと思います(笑)
私は5月5日のこの東京公演が最後でしたが、LFJそのものは新潟・鳥栖と続いておりまして、演奏家の方々もそれに合わせて移動されています。今年のLFJは演奏家の来日中止が相次ぎましたので、逆に来日して下さった方々はびわ湖→金沢→東京→新潟・鳥栖…と全国を駆け巡って演奏して下さいました(もちろん、日本の演奏家の方々も同じです)。しかも疲れを見せることなく、いつも以上に笑顔で素晴らしい演奏の数々! そのお気持ちに大感謝・大感激でした。

私が今回夢中で聴いていたダルベルト先生は、7日のLFJ鳥栖でベートーヴェンPf協奏曲「皇帝」の後にアンコールで、東北の被災者の方々に向けて同じくベートーヴェンの「葬送」を弾かれたそうです(第3楽章でしょうか? やはり日本語でメッセージを送ったようです。先生、素晴らしい…)。ぜひ私もその場に居合わせたかったと思うと同時に、その光景を想像しただけでも言葉にならないものがあります…
震災後、音楽は無力だと言われた方が結構いらっしゃって残念に思いましたが、少しだけ落ち着いてきた(もちろん現地の方々の状況は今でも変わっておりませんが、東京はほぼ復旧しておりますし)今はどうなのかな?と。やっぱり音楽の持つ力ってその時は無くても後からでも活かされてくるのではないかなぁと思います。
そういったことが、各公演で色々起こっていたのが今年のLFJなのだと思います。

前置きが長くなりました。
私のLFJ3日目はいつもの有楽町へ! この日は風が強く、肌寒い天気でした。
でもなんだかいつものような活気はありませんでした。全体的な規模の縮小(公演数・企画物・展示物・使用する場所そのもの)の影響ってやはりあるのですね。
そんな中でも屋台だけは美味しそうなお店がいくつも並んでおりましたので、少しホッといたしました(笑、いつもはほぼ立ち食いしなくてはいけないのに、椅子にも座れましたし〜♪)

本日最初の公演は、昨日も聴きました井上道義(指揮)&アンサンブル金沢&ミシェル・ダルベルト(ピアノ)でシューベルトです!
井上さんのHPによりますと、元々ルネ・マルタンさんは企画段階で違うピアニストを指名されていたそうなのですが、井上さんの希望によってダルベルト先生のさすらい人になったそうです。ありがとうございます、井上さん!

1曲目は昨日途中で寝てしまったシューベルトの交響曲第2番。
今日は寝ませんでした(あはは) しっかりと聴いて来ました! やはり素晴らしい曲でした。初めて聴いても惹きつけられるというか…私好みな感じなのかしら。

ここで私は思ったのですが、昨日と本日と続けてこの公演を聴きに来て良かったなぁと。

井上さんとアンサンブル金沢の雰囲気が違うのです。…特に井上さん。

昨日は、めちゃくちゃ弾けていて(この公演でも普通の指揮者に比べれば弾けていましたが、全然違います!)、面白くて、それに合わせてオーケストラも盛り上がって…って感じだったのです。

右の拳を突き上げて、片足上げて、「エイ! エイ! エイ! エイ!」みたいな感じの指揮をしたり、右手を頭の上で左右に振って、それに合わせてお尻を振り振りしながら指揮をしたり、途中ランニングっぽいこともしていたような気がします…これはもう、全然指揮になっていないというか(笑) 井上さんは指揮台を使われないので動きが自由ですよね。

オーケストラはそういう井上さんの気持ちに音できちんと答えていて、客席の皆もその世界に溶け込んでいて、ホール全体が一体化していたのです〜 その空間がとても心地よくてですね。井上さんの演奏ってこんな感じなんだ…と思っていました。

でも違っていたみたいです。
それはホームグラウンドである金沢だからこその演奏だったのだと気付きました。

考えてみれば、関西フィルさんも東京で公演をされる際にはすごく緊張されているような空気が伝わってきますし(大阪で聴くのとは違います)、公演前のトークが大変面白い西濱事務局長も少しトーンダウンされる感じがしますし(客席との掛け合いが上手くいかないといいますか)。

そう思うと、N響の激しすぎるブラボーーーー! なども、東京ならではの風物詩なのかしら(苦笑)

今回の金沢行きは、ダルベルト先生の数々の演奏に出会えただけでなく、こういうことにも気付けた、貴重な体験をしたのだなぁと嬉しく思いました。

続いて、ダルベルト先生の登場デス!>待ってましたvvv

昨日と同じ、紺の作衣…
今日は何だか山奥でお皿を焼いている人みたいに見えましたよ。

2度聴きましたが、リストの編曲したさすらい人はやっぱり好きになれません。
ここでピアノのあの音が聴きたいなーと期待すると、美味しい所をオーケストラが持って行ってしまったり(ダルベルト先生は伴奏にまわる)、ここ聴きたいなぁという所がカットされていたり。

と私は書いておりますが、全部が全部ピアノの音がオーケストラに埋もれてしまうのではなく、ピアノのソロが輝く部分もたくさんリストはちりばめておりますv ダルベルト先生が輝く部分はたくさんあります。オーケストラと会話する部分もあります。我儘いうと、物足りないなぁという意味です。(曲としてはきちんと完成されています。)

ダルベルト先生はお顔を真っ赤にして、曲に向かわれておりました。いい音色が耳に届くからこそ、どうしてもピアノ曲でのさすらい人を頭でイメージしてしまい、あの個所もあの個所もピアノの音で聴きたい! と贅沢になってしまうのかもしれません(笑)
先生は、時々前髪をかき上げる姿とか、お顔の汗をハンカチで拭く姿とか(楽章間)、全てをひっくるめて格好良かったです!

これはシューベルトの曲ではなくリストの曲なんだと思って聴かないと、私は楽しめないのかも、と数日経った今は思います。リストっぽい所も確かに色々あると思いますし。今度もし聴く機会があった時は、視点を変えて聴いてみようかと思いました。

続いては、松山冴花さんとフランク・ブラレイさんの公演。
松山さんのF.A.E.ソナタ スケルツォがお目当てです!>大好きな曲なので。

G402は元々は小さな会議室なので演奏者用の出入り口が特別にある場所ではないのですが、開場前に入口で待っていますと、練習し終えたブラレイさんが普通に扉から出てきました。
スーツ姿だったのですが、スラッとしていて格好いい〜v

色々なことろに書かれておりますが、ブラレイさんは元々今年のLFJの参加者リストにはいらっしゃいませんでした。今回の件があり、ブラレイさんから「こんな時だからこそ、ぜひ日本で演奏したい!」と、ルネ・マルタンさんに直接メールをされたそうです(感涙) メルシー、ブラレイさん。

そんな素敵なブラレイさんのお姿を見てからのG402への入場となったのですが、この部屋はパイプ椅子で席が作られているので隣の方とはギュウギュウな感じとなるのですが、私の横に座った右側のおじ様2人が…!!!
汗臭いならそれは季節的なことなので我慢しますが、加齢臭も人間の性ですので私は受け入れますが、そうではなくてスーツが臭いのです。ほこり臭いというか、全然洗っていない感じ。見た感じ、クラシックおたくとお見受けしましたが(手に持っていた使い込んだビニールの袋といい、そういう空気がありました。)、それはだめでしょう!と。こちらは息が出来ない位でした。
>コンサートに沢山通われる方なら、なおさら清潔にして欲しいです!

周りを見ると、そういう感じの(偏見が入っていて申し訳ないのですが)普通の人とは空気が違う男性がちらほらいまして。

…ああ、そうか。松山さん(素敵な女性ヴァイオリニストです)目当ての方々か! と気付きました。

だって、ブラレイさんのピアノソロが終わってから松山さんの登場になった時に、皆さん椅子を座り直し(なぜか座高が高くなりました)、通路側の男性は体を前に乗り出して(両足を通路に出して横座りといいますか)少しでも近くから松山さんを見ようというオーラが伝わってくるのですもの(汗)

逆に言うと、私がダルベルト先生の演奏を聴いている時もこんな感じなのだろうなぁ…なんて思いました(笑) … 私的には臭いが発生していなければ問題は無いのですが。臭いはダメです!

とにかく、ちょっと異様な雰囲気のG402(私の周りの席だけかもしれませんが)でした。

最初にブラレイさんが楽譜を持って登場された時に、少し英語でお話されました。
楽譜がある…というのが、急遽の出演を物語っていて何とも言えない気分になりました。

曲目が変更になったので、たぶん…なのですが、「これからシュトラウスの5つのピアノ小品 op.9 から 第2番と第3番を弾きます。…『オガワ ノ ホトリ』です。」のようなことを言ったのだと思います。

オガワ ノ ホトリ

という、日本語だけが私の耳に残っております(笑)

譜めくりさんを断って(一度出てきました)、ご自分で楽譜をめくりながら弾かれていました。
初めて聴いた曲のなのですが、ブラレイさんの優しさと気持ちが伝わってくるようで、じーーーんと来てしまいました。
目の前のブラレイさんからは、「あたりまえのことを今しているのだ」という普段のリサイタルとは違った空気・オーラ、そして男らしさまで(!どさくさに紛れて)伝わってきました。演奏家と言うよりも1人の人間としての演奏、とでもいうのでしょうか。舞台と客席との敷居が無く、とても身近な演奏に感じました。そして、いつもよりブラレイさんが格好良く見えてしまいました(笑)

続いて松山さんが登場され、会場の状況は先程書いた通りなのですが、私、今回のメインプログラムであるはずのシュトラウスのvnソナタで、酸欠になったせいか(と人のせいにしてみたり)ほぼ寝てしまいました…
私的メインのF.A.E.ソナタ スケルツォはしっかりと起きておりまして、とても楽しませていただきました。これは迫力があって、ヴァイオリンの音も素敵でしたし、大満足でした!
松山さんのこの曲は、数年前にリサイタルで聴いたことがあるのですが、あの時よりも一段と迫力が増しておりまして(伴奏者も良かったのかも!)、本当、いい演奏が聴けて幸せだなぁ〜と思いました。大好きな曲が素敵な演奏で聴けるのは嬉しいことですよね。好きな分、こちらの要望も高くなりがちなので、なかなか良い演奏って聴けないですから。

そして今年のLFJ最後の曲は、本日一番楽しみにしておりましたドマルケットさんとダルベルト先生のチェロソナタ!

御2人は一緒にCDやDVDを出されておりまして(でもあまり聴いていませんが)、一度共演を生で聴いてみたいなぁ…と思っておりました。ヨーロッパではこれまでに多々共演されているので、お二人の息のぴったり感は間違えなし、かと。
しかも気が合わないようでしたらアルバムなど出されませんし。。。

今年から会場となったよみうりホールは有楽町ビックカメラの7Fにありまして、エレベーターは混雑するし、エスカレーターはビックカメラのお客様と混ざって混み合いますしで、時間ギリギリでの来場は厳しいかと思いました。余裕を持っての移動がいいですね。しかもトイレは各階少しずつしかないので(ホール内には無いです)不便です。

ホールそのものは演劇向きなのでしょうか… 広々としていて素敵なホールだと思うのですが、前の席との段差がほとんどないので、前に座高の高い人が座るとアウトです(涙)
…そうなのです。私の目の前には(真前とその右の方、さらにその前にもちらほらと)ものすごく高い方が座りまして、しかも時々寝ているらしくて首をフラフラさせた上に 起きている時は双眼鏡を使うのでその腕も邪魔だったりして、時々ダルベルト先生のお姿が見えなくなりました。なので右側の人にすごく近寄らせて頂きました(笑、隙間から見るとなんとか見えました) ドマルケットさんがしっかりと見えただけでも感謝しなくては。

笑顔でドマルケットさんとダルベルト先生が登場され、ブラームスのソナタが始まりました。
ドマルケットさん、ダルベルト先生、共に上下黒の服装でした。>2人とも格好良かったです!

出だしからチェロとピアノがどちらも譲らず…という感じで、一気に私たちの心を掴んで下さいました!

いつもはブリジット・エンゲラーさんの伴奏で聴かせていただいているドマルケットさんですが、贔屓目もあるとは思いますが、ダルベルト先生との組み合わせの方が私は好き…v と(笑)>すごく耳に入りやすいです。チェロのピアノのバランスが良いので。

先日のアルペジョーネでは控えめに伴奏に徹していたダルベルト先生。
本日は、そういう曲なのか(?)思いっきり弾かれています! すごい迫力。
でもそれ以上にドマルケットさんの馬力があるのでバランスが良いです〜>それしか言葉が無い。
音が滑らかに感じましたし、低音が素敵。伸びがあって、音の世界が広いなぁ…と。
ドマルケットさんのチェロを聴いたのは初めてではありませんが、こんなにもすごいチェリストさんだな…と感じたのは初めてでした。申し訳ありません。
お二人の強弱の付け方にもズレが無い! あっという間に1楽章、終わり!

第2楽章はチェロの伸びやかな音色を十分に堪能し(これがすごかったです。ドキドキしてしまいました、笑)、ピアノとチェロの会話も楽しめました。

金沢のシューベルトの弦楽五重奏で感じたのですが、ドマルケットさんのピチカートってとても美しいです(第2楽章のヴァイオリンとのピチカートでのやり取りは感激しました)。それをこのブラームスの第2楽章でも感じました。

チェロのポン、ポン、ポン、ポン…というピチカートに合わせて、ピアノのジャン…ジャン…と入る伴奏。この部分が私のお気に入りでした(笑) お二人とも格好いい〜!

第3楽章でもチェロとピアノの会話は健在。
この部分は、vnソナタの第3番を少し思いだすような曲調で、確かにこれはブラームスの曲なのだなぁと思ったりました。>そしてデュメイさんの姿を思い出す私であります。。。
この楽章はここで終わりでも良さそうな力強い格好良い終わり方なのですが、そのまま伸びやかな第4楽章へ突入(まだこのお二人の演奏が聴けるのだ!と、得した気分になれます)。
第3楽章ほど激しくないにしても、チェロもピアノもあらゆる凄さを見せつけて華麗にフィニッシュ!

1曲目から会場、大拍手でした。

2曲目のシュトラウスのソナタの前に、ドマルケットさんは念入りにチューニングされていたのが印象的でした。

私はこの曲は初めて聴きましたが、「シュトラウスだな〜」とすぐ分かる曲なのですね!
ピアノとチェロとが次々に主旋律を奏でるのも素敵でした(注:私にはそう聴こえたのですが、本当の所は分かりません)。目の前がキラキラ輝いていました。
第2楽章だったか第3楽章だったかで、ドマルケットさんのチェロとダルベルト先生のピアノが言葉に感じた瞬間が何ヶ所かありました。胸にじーーーんと来ました。
素晴らしく、ドラマチックな曲だなぁと思いました。
この曲については詳しく頭に入っていないので、詳しいことはこれ以上書けないのですが… でもこちらもあっという間に終わってしまった位、熱演でした。

どちらの曲もお二人の息がぴったりで、ついにお二人の演奏が聴けた! また聴きたい! 沢山聴きたい! と強く思いました。

会場もブラボー!が飛び交い、会場の照明がついてもドマルケットさん、ダルベルト先生が舞台に出てきて下さいまして、拍手が鳴りやみませんでした。

ほぼダルベルト先生の公演だった今年のラ・フォル・ジュルネですが、大満足でした♪
本当はもっともっと聴きたい公演はありましたが、贅沢というものですね。
演奏家の方々が(ダルベルト先生に限らず)、これほど輝いて見えたことはありませんでした。開催前にチケット代返金・プログラム変更等、色々ありましたので、それが良い意味で私の中で開催期間中に活かされたのだと思います。演奏家&関係者の皆様に感謝しております!

来年はロシア物ということです。
個人的にはショスタコーヴィチの交響曲を聴ける限り聴いてみたいのですが。
>果たしてプログラムは?! そして、ダルベルト先生は不参加ですかね… デュメイさんはどうでしょう。
そして、有楽町も昨年のようにまた活気のある内容で開催できるといいなと思っております。

こちらは丸ビルです


2011年5月8日 記

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