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ラ・フォル・ジュルネ金沢 1日目
熱狂の日 音楽祭2011 「ウィーンのシューベルト」
2011年5月3日(火) at 金沢
【221】 石川県立音楽堂 邦楽ホール マイアーホーファ
庄司 紗矢香(vl) タチアナ・ヴァシリエヴァ(vc) ミシェル・ダルベルト(p)

■ シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 D929
【233】 金沢市アートホール テレーゼ・グローブ
ミシェル・ダルベルト(p)

■ シューベルト:ヒュッテンブレンナーの主題による13の変奏曲 イ短調 D576
■ シューベルト:ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 D840 「レリーク」
アンコール
■ シューベルト:即興曲第2番変ホ長調Op.90-2 D.899-2
【234】 金沢市アートホール テレーゼ・グローブ
アンリ・ドマルケット(vc) ライプツィヒ弦楽四重奏団

■ シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D956
今年は誰もが予想していなかった、東北関東大震災(いえ、放射能レベル7というべきか)の影響で多くの演奏者の来日キャンセルが発生し、さらに有楽町ではいくつかのコンサートホールに不具合が出たということで、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン〜タイタンたち」はテーマの変更、それに合わせて規模を縮小してプログラムの大幅な変更を行いました。

元々私はシューベルトがテーマなLFJ金沢に行きたいなぁと思っていて(ダルベルト先生のシューベルトが聴きたくて)、有楽町の新しいプログラムにも残念に思うところがあり、急遽金沢へ行くことにしました!
(といって、今回の件で不満があるとかそういうことではありません。色々なタイミングが合ったといいますか、せっかくの機会なので。またギリギリにも関わらず、無事にチケットが取れたこと、連休中なのに深夜バス・ホテルも希望通りに申し込めたというめぐり合わせに感謝しております♪)

有楽町でいう「東京国際フォーラム」が、金沢駅…なのでしょうね。金沢駅の構内広場や駅前広場で無料公演が開かれておりました。その他、駅近くのホテルのロビーでも色々開催されています。
金沢駅周辺は、お店・ホテル、あらゆるところのBGMが只今クラシックになっておりました。
このお祭りが金沢で定着しているな…と感じられました。ブラスバンドなどの学生さんたちの参加も目につきました。若々しくて良いですね!

金沢での記念すべき1公演目(予定時間より5分遅れで始まりました)。
来日キャンセルとなったジャン=フレデリック・ヌーブルジェさんの代わりにダルベルと先生の登場! 庄司さん、タチアナさんとのピアノ三重奏曲第2番。

東京でシューベルトがテーマだった年に(この年のLFJで私のダルベルト先生熱が急上昇したという、忘れられない年です。この時のLFJは 『ダルベルト先生祭り』 な内容でした。)一番最初に先生の演奏を聴いた曲が、このピアノ三重奏曲第2番でした。何という偶然でしょう。
その時はチェロは今回と同じタチヤナさんで、ヴァイオリンが樫本大進さんでした。

会場の邦楽ホールというのは、お能など伝統芸能を見るホールなのでしょうか(そのような造りのホールでした)。小さいホールですので、私は最後列だったのですが、それでも十分に舞台を見ることが出来ました。
左側の人は演奏中ずーーーっと激しく咳き込んでいたのと(こういう人こそ演奏中でもいいのでぜひ飴を舐めて欲しい)、右側の人は最後のほうでいびきがすごかったのとで、LFJはどこでも同じだなぁ…(あまり聴くことに真剣になってはいけないというか、「お祭りなんだし!」な気持ちで行かないと)と思いました(苦笑)
私の後ろにはさらに立ち見のお客様までいました!
軽井沢の大賀ホールも立ち見席ありますよね〜 新鮮でした。

大拍手の中、庄司さん(細くてびっくり!)、タチヤナさん、ダルベルト先生の順で登場。ダルベルト先生はご自分のペースを崩すことなく、ゆっっっくりと、ピアノの横まで歩いて行かれました(笑)>先生らしいデス!
庄司さんとタチヤナさんは黒の控えめなドレスでした。ダルベルト先生はスーツ(黒だったか紺だったかグレーだったか…←Webにupされているお写真で確認した所、黒でした。そしてスーツではありませんでした!)に胸に青いハンカチーフを挿しておられました。

演奏は…「期待しすぎてしまったのかなぁ、私。」という感じでした。

表情とかが細かく見えたわけではないし、演奏者同士のアイコンタクトがどうだというのも分かりませんでしたし、席による音の響きの関係があるのかもしれませんが、まず第一に庄司さんのヴァイオリンがあまりよろしくなかったです。庄司さんはシューベルトが苦手なのかしら?と思ったくらいです。何度も音を外していたし、出ていない音もあったように感じました。

一番良かったのがタチヤーナさんのチェロでした。
ダルベルト先生は個人的には大好きなのですが、あくまでも「先生のシューベルト」なので(盛り上がり方や抑え方が半端ないです。迷いが全く無い!)3人でのバランスが取れない…(笑)
先生のピアノだけで聴きたかったです。でも私、演奏中ずっと顔がニヤケていました(爆)>だって、先生のシューベルトが聴けて嬉しかったんだもん!
先生は大変汗をかかれておりまして、第2楽章(確か)の始まりは先生の汗拭き待ちでした。

庄司さんとタチヤナさん、先生とタチヤナさん、の会話は素晴らしいのに、庄司さんと先生の会話はちぐはぐなんですよね〜 庄司さんが先生の迫力に負けてしまっているというか。思い切って先生の音に乗っちゃえばいいのに! なんて素人は思いましたが。

とはいいつつ、素晴らしい演奏でした。
自分の「こんな感じになるかな…」という想像とは違ったというだけで。

庄司さんは夜に有楽町のLFJでレーガーの作品を弾かれておりましたので、この後東京に向かわれたのでしょう。同じ日に金沢と東京で演奏! すごい! 大変だと思いますが、ファンにとっては嬉しいですね。大感謝です。

午後は私の大本命! ダルベルト先生のピアノソナタ第15番「レリーク」です!
今回、予習をしていて大好きになってしまった曲です。頭の中をずっとグルグルしていました。

演奏順としては、ヒュッテンブレンナーの主題による13の変奏曲、レリーク、の順でした。

実は私、ホテルを出たのが遅れ気味だった上、ホールのエレベーターを乗り間違えてしまい(オフィスのエレベーターに乗ってしまいました。導線の矢印の表示がちょっと分かりづらかったデス)、ホールの入り口に着いたのが開演予定時間1分前(大汗)

でも入り口の係りの方は何も言わないので、少し開演時間が遅れるのかな〜と安心して自分の席(最前列のダルベルト先生の真ん前のお席でした!)に向おうとしたところ、ホールが暗くなり、ダルベルト先生が舞台に現れてしまいました!!!

きゃ〜っ!!! 嘘でしょっ!!!

私の前の人、とにかく通路を空けてくれないかなぁ(同じく遅れた人が5人位いるので前に進めない)。
先生、もうお辞儀しているし!

ギリギリの所で(というのは先生が椅子に座る前という意味です)やっと自分の席に着いたのですが、先生、私のことを見ておりまして、目がバッチリ合ってしまいました!!!
>優しく笑っていましたが(汗、苦笑いか?!)。私もすいません、と謝りましたが…

その後、椅子に座って数秒鍵盤を見るなり、変奏曲が始まりました。

先生、すごかったです。
手の動きが午前中のピアノ三重奏の時とは明らかに違っていましたし(水を得た魚という感じ?)、先生の曲に対する気持ちが… 分からないなりにも私たちに何かが伝わってくるのです。

「ベートーヴェン!」と感じる曲の中に、時々シューベルトの姿が現れてきました。CDでは感じたことのない気持ちでした。新しい発見でした。今年のLFJ金沢のテーマはシューベルトなんだなと思うと同時に、先生のシューベルトは素晴らしいな…と再確認しました。

続いての「レリーク」。待っていました! 始まる前からドキドキです(笑)

ピアノの後ろにもう1つ椅子が用意されまして、紙(楽譜だと後で分かったのですが)を持った女性が一緒に舞台に現れました。

先生、舞台の前に出てきてカンニングペーパーを読みながら少しお話されました。

「コンニチハ。
コノ ソナタハ 4ガクショウ アリマスガ サイゴマデ カンセイ シテイマセン。
ナノデ トツゼン エンソウガ オワリマス。
オドロカナイデ クダサイ。」(…そして会場から笑いが)

演奏後に急いでメモしたので、ちょっと違うかもしれません。
でも、先生は日本語でこのような内容のことを言っていました。
私たちにこのことを説明するために、先生はどれだけ発音の勉強されたのかしら(感涙)
もう、私はこれだけでも大感激です。嬉しいプレゼントをもらったかのようです。

演奏はそれはもうすごかったです。>この言葉しか出ない(苦笑)
迫力というか勢いというか。指の動きもお顔の表情も。もちろんピアノの音色も。
シューベルトはこの曲に(この曲に限らずどの曲でもそうだと思いますが)色々な思いを乗せて作ったのだな、それをダルベルト先生を通じて私たちは今感じ取っているのだな、と思いました。

曲の表情の変化がとても分かる、伝わってくる演奏でした。
特に印象深かったのが第1楽章の最後の最後で、激しい曲調から落ち着いた優しい曲調に変わって終わるのですが、その切り替えが素晴らしかったです。
心がギュッと締め付けられてしまいました(笑)

CDの全集を遥かに超しているシューベルトの世界でした。CDでも泣きそうになるのに。
といいますか、自分がCDの演奏と今の演奏の違いに気づくとは思いませんでした(そこまで音楽を分かっているわけではないので)。…でも明らかに違うのです。
完成された第1楽章と第2楽章を聴いていると(本当、素晴らしい曲です)、これが未完だなんて残念でたまらなくなりました。
シューベルトのその未知な世界をダルベルト先生と一緒に旅しているようで、いつものソナタを聴いている時とは違った、不思議な気持ちになりました。

「先生はこの曲を演奏するために、私たちに教えてくださるために、金沢に来たのだ…」

という気持ちになりました。

第3楽章になると、ピアノの奥に座っていた女性が椅子をダルベルト先生の横にずらし、手に持っていた紙…楽譜のコピーを譜台に置きました。
この女性、譜めくりさんだったのですね!ものすごく緊張されているようでした。
座って楽譜をめくっていた位(というか、紙を外していくというか)先生の近くに座っていたのですよ! ピアノの音がガンガンに伝わってきたでしょうね〜vvv

ということで、第3・第4楽章は先生は楽譜を見ながら演奏。
未完なので、あまり弾く機会が無い部分なのでしょうか。
先程とはまた違う、新たな生命を取り戻したかのようななめらかな音色が会場に響き渡りました。

先生はこの時は上下黒で、上は学ランみたいな感じの服(?分かる人には分かっていただけるかと)、胸に青い柄のハンカチーフを挿していらっしゃいました。

上着の下は白いブラウスだったのですが、袖口からブラウスがちょっと長く出ていたのですよね。
それを先生は気にされていたらしく(この熱演の中で袖口から出ているブラウスの長さを意識しているとは…!!!)、各楽章間でしきりに上着の中側からブラウスを引っ張って長さを調節していたのが印象的でした。。。 先生、恐るべし…
いえ、私もいつも先生の上着から出るブラウスの袖口の絶妙な長さって好きなのですが。

行きのエレベーターの中で、1輪の花を持った女性がいたので、ダルベルト先生に渡すのかなぁvvv と勝手に思っていたのですが(笑) どうやら違ったようです。演奏後に花束を渡す方はいらっしゃいませんでした。
これだけ素晴らしい演奏が聴けたのですから、どなたかお渡ししてもよかったと思います!
本当、何度も書いてしまいますが、素晴らしいシューベルトの世界でした(感涙)
終わり方は先生の最初の説明通り、途中で終わりました。でも物足りなさとかがなかったのが不思議です。それだけダルベルト先生の演奏に私たちは満たされていたのでしょう♪

大拍手の中、アンコールで即興曲を弾いてくださいました!
これが今日の演奏の中で1番すごかったと思います。。。
>レリークもものすごかったのですが、それをさらにさらに越していました!

右手の動きがとにかく神デス!
知っている曲なのに、ここまで気持ちが吸い寄せられてしまうとは。すごく格好良い先生&曲でしたv
会場からブラボーが飛び交い、とてもとても大きな拍手が沸き起こりました。
会場全員の気持ちを、先生はグッと掴んでしまいました。
先生も何だか嬉しそうでした。私たちの気持ちが伝わったのでしょうかv だとしたら、嬉しいです。

本日最後の公演は、弦楽五重奏曲です!
シューベルトの中でも大好きな曲〜〜〜!!! 久しぶりに生演奏を聴きます!

ですが。。。

この公演は、演奏された方々が少しかわいそうでした。

元々1stヴァイオリンの方はあまりお上手ではないな…と思っていましたが(細かい音などをごまかしているような感じで、汗)、最初、そういった演奏面でこの曲から気持ちが離れてしまった中、私の左前の家族(父・母・小さい子供2人)、が…

まず、弟くんが父親をたたき出したことから始まり(音が響きます)。
ちょこちょこ動くのは当たり前で、しーーーーーんとなると話しだしたり笑い出したり。親が注意すると駄々をこね初めまして。
さらにお兄ちゃんのほうも声を出し始めて(涙) 兄弟そろってかよ、みたいな。
まず第一に、この曲に子供を連れて聴きに来るのは無謀かと思うのですが。

演奏者もこの子たちのことを気にしているようでした。
楽章間とかで、こちらの方を皆さん見ていらしていました。
1stヴァイオリンの方はますますミスタッチが多くなって(汗)

会場を出るのも一つの勇気・方法かと思うのですが…
あの美しい第2楽章もこの子たちのおかげで台無し。
後ろの人は席移っていましたし、周りの人々は大迷惑でした。

チェロのドマルケットさんは、この演奏のためだけに金沢にいらして下さったのに!!!
何とお詫びをしたらよいのか… です。
私もこのちびっ子ファミリーが気になって、演奏に集中ができませんでした。

仕方がないといえば仕方がないのですが(観客からすれば)、でも演奏者にご迷惑をお掛けするのはどうなのかなぁと思いました。

ということで、1日目が無事終了。
大変楽しい1日でした♪

2011年5月4日 記

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