戻る |
Symphonieorchester Mariss Jansons | Mitsuko Uchida 5. Abo A |
【 DONNERSTAG 17.3.2011 Munchen, Philharmonie im Gasteig 】 Dirigent: Mariss Jansons Mitsuko Uchida, Klavier Gast: Anton Barachovsky, 1. Konzertmeister des Symphonieorchesters Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks ■ Ludwig van Beethoven:Konzert fur Klavier und Orchester Nr. 3 c-Moll, op. 37 ■ Richard Strauss:"Ein Heldenleben", op. 40 Das Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks, Mitsuko Uchida und Mariss Jansons widmen dieses Konzert den Opfern der durch ein Erdbeben ausgelosten Katastrophe in Japan. |
あれは昨年の11月末のことでした。 ゲルギエフ指揮 ロンドン交響楽団のマーラー5番を聴きに行った帰りに寄ったレストランで友人が、「3月の17・18日のBRSOの公演に行きたいなぁ…」と語り始めました。この週のBRSOの公演は私たちは以前から意識をしておりました。というのも、その週の前半にピアニストの内田光子さんとBRSOのメンバーで室内楽(ベートーヴェンとシューベルト)が予定されていて、そのメンバーには友人の大好きな首席チェロ奏者のセバスチャン・クリンガー氏と私の大好きなコンサートマスターのアントン・バラホフスキーさんの名前もあったからなのです。セバとバラさんの室内楽が聴きたい!というのと、1週間で室内楽とオーケストラが聴けてしまうなんて、ミュンヘンの方たちって何て贅沢なのだろう…と。 友人はとても行きたがっていたので、それならぜひ行っていただいて、本場ミュンヘンの空気を少しでも土産話で教えて欲しいなと漠然と思ったのでした。 すると、 「…一緒に行かない?」 と、全く想像していなかったお誘いを受けまして(びっくり!私、英語話せないよ!)、では一体何日有休を取ればミュンヘンに行ってBRSOサウンドを浴びてこられるのだろうかと シュミレーションをしてみたところ。 水曜の深夜に羽田を出発し、パリ経由で行けば木曜の早朝にミュンヘンに着き、木曜と金曜の公演を聴くことが出来る。しかもこの週末は21日(月)が祭日なので、日曜日にミュンヘンを出発すれば月曜日に帰ってこられる。コンサートだけでなく、1日は観光が出来そう。 つまり、木・金の2日間の有休を取れればオーケストラが2公演聴けるようなのです(残念ながら週初めの室内楽は聴けませんが)。これならひょっとして、ひょっとするかも?! 友人はその後、見積もりをしにHISへ。 >今回、全て友人に準備していただきました! 大感謝です。雪こぐま、何もしませんでした。。。 私は改めてこの日のプログラムを確認。 前半は内田女史のベートーヴェン ピアノ協奏曲 第3番。 >知らない曲ですが、内田女史の演奏は一度聴いてみたいと思っていました。 後半は、なんとシュトラウスの「英雄の生涯」!!! わお… 英雄の生涯と言ったらコンサートマスターさんが光り輝く曲では無いですか! そしてオーケストラの実力がはっきりと分かる曲。ヤンソンスさんの気合いの入ったお姿が目に浮かんできます。。。 聴きたい、聴きたい! >週前半の室内楽にバラさんが出るのなら、週末のコンサートマスターもバラさんに違いない。うん、きっとそうだ。 曲としても、ミュンヘンに行って聴く価値は充分にあると思いました。 まずは上司に聞いてみて有休の許可をいただき、さらに念には念を入れて、丁度会社のヒヤリングの時期でしたので社長にも直接有休の許可をいただきました! よし! 年末にトントン拍子に決まったBRSOツアーでしたので、周りの友人たちには言わずにミュンヘンまで来てしまいました。私にとっては初ドイツどころか、初ヨーロッパ。大冒険でした。 …と、前置きが長くなりましたが、ここからがガスタイクホールでの話になります。 この日のミュンヘンは雨が降ったり止んだりのお天気でした。 日本とは違って20:00開演。19:30頃に私たちはホールへ着きました。 ロビーはすでに沢山の人で賑わっています。客層としては年齢高め、BRSOの公演に、というよりもコンサートに行き慣れているとお見受けするような方々が多かったです。私などの年代はそれほどいなかったような… 日本でよく見かける会社帰りのおじ様方などもいません。 社交場(?日本公演でよくある会社がらみの接待と言うか)のようなお高くとまった感じは無く、暖かい気持ちで溢れていました。でも、普段の生活とは違う特別な雰囲気がそこにはありました。上手く言葉で説明が出来ないのですが。 日本ではプログラムは大抵、入口で入場券を切るのと引き換えに受けとりますが、ここでは1階の受付に貰いに行くか、各階の入口の横のソファーにぞんざいに置いてあるのを自分で取るかします(笑) >2日目は結局、プログラムをもらいそびれたし… 確か開演15分前(19:45)頃に各階のホールに入れさせてもらえ(扉の前で少し待った記憶があります)、日本では半券をちぎりますが、こちらではそこでチケットの中央部分をビリっと少し破るのですよね! 素敵なチケットが破られてしまいました。残念。 ガスタイクホールの席は座席表を見てもどちらが正面か分からないような不思議な作りになっているのですが、本日の私たちの席は2階席の左手…といったような所でした。ソリストの内田女史が背中から見える感じの席です。 その中でも私は壁側の席だったのですが、そうしましたら2つ隣のおばさまが話しかけてきて、私が上手く返事が出来ないでいると、 「あなた、英語分かる?」 『うーーーむ。』と、微妙な返事の私。 (ゆっくりとした英語で) 「もし、…『もし』よ。『今』じゃないわよ。 この席(私の左隣の席)に人が来なかったら、あなたはこの席に移りなさい。 あなたの席は壁があってよく見えないでしょ。こちらに移った方がいいわ。 『もし』、人が来なかったらね。」 と言って下さいました。何てお優しい方… でも、その左隣の席は若い男の人が来てしまったので、おばさまのお気持ちだけ受けとりました。 (私の席も、前かがみになればよく見える席なのですよ!) 席はほぼ満員。 パラパラ…と拍手と共に、BRSOの方々が舞台へ登場! わーーーい、バラさんだーーー!!! わーーーい! あ、セバもいるよ。セバの隣はおじいちゃんチェロの人(いつ書いても失礼な呼び名だと反省)。私の好きなヴィオラの人(ニムロッドさんというお名前だったか)もいる! バラさんが中央にあるピアノをポーーーンと弾いて、皆さんチューニング。 そして指揮者のヤンソンスさんが登場!>きゃ〜〜〜っ!!! ヤンソンスさんは指揮台の横にある台からマイクを取りだし、客席に向かって話し出しました。 最後に「ヤーパン」と言っていたので、日本の被災地の方々に向けて演奏して下さるのだなと思いました(と言いますのも、ホールに行く前にBR-KLASSIKのWebサイトで「本日の公演は日本の皆様に捧げます」のような文章があったのを読んでいたからです)。 グリーグの『ペール・ギュント』組曲より「ソルヴェイグの歌」。 悲しげな曲の中に人の心の暖かさを思い起こさせるような曲ですね。(私は以前にもヤンソンスさんの公演のアンコールでこの曲を聴いたことがあるような気がするのですが…思い出せません。) ヤンソンスさんは元々親日家でありますけれど、こうやって音楽で日本の皆を助けたい、少しでも自分の出来る何かをしたい、そういった気持が嬉しかったですし、思ったことをすぐに実行されることはすごいことだと思いました。そして この音が、ヤンソンスさんの気持ちが、被災地の方々の所へ届けばいいなぁ、届けたいなぁと思いました。 私にはこうやってこの出来事を、拙い言葉でお伝えすることしか出来ないのですが。 この演奏会を体験出来たということは、決して偶然では無かったのだと思いました。 演奏が終わると会場がしーーーんとしまして。 1階席の方々から次々と起立し始めて、ホール全員の方が起立。もちろんそれにならって私も起立。 あ、先程ヤンソンスさんは「日本の被災地の方々に向けて黙祷して下さい。」とお話されていたのだなとやっと分かりました。 しばらくの黙祷の後、ヤンソンスさんは舞台を去り、私を含め会場の皆がこの状況をどうしたら良いのか分からず(恐らく)ずっと立っていましたら、コンサートマスターのバラさんが先頭切って着席しましたので、それに合わせて舞台上のオケの皆さん、客席の私たちも着席致しました。 ※ 後日訂正: この記憶はどうやら少し違っていたみたいです(1日目と2日目とで混乱していました)。 正しくは、演奏が終わるとそのままヤンソンスさんは舞台を去り、BRSOの皆様が起立。それに習って会場の私たちも起立。しばらく黙祷をした後、立った私たちはこのままどうしたら良いのか戸惑い始めた時にバラさんが先頭切って着席…な流れが正しいようです。2日目はヤンソンスさんも舞台の上で一緒に黙祷致しました。 もう一度バラさんがピアノをポーーーンと弾いて、皆さんチューニング。 続けてヤンソンスさんと内田女史(青い上着が素敵)が登場! 内田女史の深い、深い、お辞儀で一気に会場は内田さんのペースに。 顔を上げた内田さんは、今度は満面の笑みで会場を満足そうに見まわしていらっしゃいます。(私の席からはお顔の表情は見えなかったのですが、でも内田さんの笑顔が目に浮かんできました。) 内田さんはずっとイギリスにいらっしゃいますが、日本に住んでいる私たち以上に日本人のような気がしました。一つ一つのちょっとした仕草が、日本人の典型的な姿を表しているようで。内田さんのインタビューなどを読んで、気難しい方なのかなと今まで思っていましたが、それは間違いだったと思いました。明るく楽しい方のように感じました。 そして、ヤンソンスさん、コンサートマスターのバラさんと握手。 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番が始まりました。 チャーン チャーン チャーチャチャチャ チャン、チャ、チャン、チャ、チャン…♪ なかなかピアノは始まらないのですが、オーケストラだけの冒頭部分もすごく格好良いです! バラさんのヴァイオリンを弾く姿勢は背筋真っ直ぐで綺麗なのですが、そういうバラさんを見たり、協奏曲でも全開で指揮をされるヤンソンスさんを見たり…。 ええ、実際はバラさんとヤンソンスさんしか見ていなかったのですが(爆)>交互で。セバは私の席からは遠すぎました。 ヤンソンスさんのベートーヴェンを日本で聴きたいなぁと思っていたので、協奏曲の前奏部分だけでもヤンソンス的ベートーヴェンが聴けて幸せでした。 ヤンソンス+BRSOのリズム感といい勢いといい、素晴らしかったのですが、そこに当たり前のようにパッと入って行った内田さんのピアノ…。 すごい。。。 これが内田さんのピアノなんだと。 BRSOの世界と内田さんの世界が一致していますし(お互いの演奏にズレが無い)、ピアノだけの部分でもそれはピアノでは無く、まるでオーケストラのよう。1台のピアノで一体何種類の楽器の音を表現しているのだろうかと。 何度も書いてしまいますが、ヤンソンスさんは協奏曲なのに全開で指揮をしています(いつもは少し控えめに指揮されていると私は記憶しています)。それでも、ピアノがオーケストラに全く負けていない。負けていないというよりもピアノを中心としてこの音楽が成り立っているのです。 BRSOって、世界のBRSOですよ! …って、内田さんも世界の内田さんですけど。 こんなにすごい協奏曲を聴くことが出来て、大感激でした。 第3楽章はピアノとオケの会話が頻繁にある楽章ですが、これもまた素晴らしい。素晴らしくて格好良い。当たり前のように会話している〜! 特に木管(これはクラリネットでしょうか?)との会話部分が私のお気に入りでした。 演奏後は会場、大きな拍手! 内田さんはまた深く、深く、頭をさげてお辞儀をしています。 Webラジオを聴いている時は分からなかったのですが、ガスタイクホールでは演奏者に小さな花束をお渡しするのですね。 やる気の無さそうな(私の主観ですが)若い男性が出てきて、雑に内田さんに花束を渡していました(爆)>何、この渡し方は! それなら私が渡す!!! とか思ってしまいました。 何度も大拍手の中、舞台を行き来された内田女史。 アンコールを弾いて下さいました! ピアノに疎い私は曲目が分からなかったのですが、アンコールにしては長めの曲だったと思います。嬉しかったです。 アンコールを弾いてもずっと拍手が鳴りやまないので(さらに何度も舞台を行き来)、最後はコンサートマスターのバラさんの腕を取って一緒に退場され、前半が終了しました。 後半はBRSOの魅力全開の英雄の生涯! ヤンソンスさんの指揮も楽しみですv 席に戻りますと、舞台上の椅子の数がグッと増えています。 再びBRSOの皆様が舞台に登場し、続いてヤンソンスさんも登場! チェロとコントラバスのうねりのある低音で英雄の生涯が始まりました。 弦はいい感じ〜vvv 格好いい! ですが、続く木管(?)があれ?という感じで。音響の問題なのかもしれませんが、本日のこの出だしの演奏はまとまりが無かったように感じます。明日の公演は少し良くなっているといいなぁ〜などと、上から目線で考えてみたり。 そして、コンサートマスター バラさんのソロの登場ですっ!>待ってました! ヴァイオリンのソロは、英雄の伴侶を表しているのだそうですね。 こんなにバラさんの音を堪能していいの?という位に、バラさんのソロが続きました。 …えー、事件はこのバラさんのソロが終わった辺りに起きましてですね。 バラさんのソロが終わった辺りで、私は意識を失ってしまいました(爆) ヤンソンスさんが高くジャーーーンプ! という光景は覚えているのですが。。。>オーケストラが盛り上がる場面で。格好良かった! ミュンヘンに来てまで居眠りかい、自分! 一体、何やっているんだい! 日中、ずっと歩きまわっていたので、疲れが出たようです。 気付いた時には、バラさんが最後のソロを弾いていて〜〜〜(汗) それがまた美しくて。意識を失った自分を反省いたしました。 友人も同じく意識を失ったそうで(大汗) 演奏後はやはりヤンソンスさんに小さな花束の贈呈(今度は女性がスムーズに渡されていました)。その花束をヤンソンスさんはバラさんに渡していました♪ 日本と同じように、大拍手の中 ヤンソンスさんは舞台を何度も行き来されています(拍手が鳴りやまない!)。それは決して社交辞令などではなく、誰もがヤンソンスさんとBRSOを愛しているのだなと感じるような暖かく、熱意のある拍手でした。 最後はオーケストラの皆様同士で握手をし(私もこの中に混ざりたい)、この日の公演は終わりました。明日は絶対に眠らないぞ! と友人と誓ったのでした。 18日へ続く。 「あーーーっ!」 終演後、向うから内田女史が歩いてくるのを発見! >遠くからでも独特のオーラがあります。すぐに分かりました。 初対面でも心の間口が広いと言いますか、怪しげに近寄った私にも(?)気さくにお話して下さいまして、がっちりと握手! まさかお会い出来るとは… とても手の大きな(指が長い)方でした。この手であのベートーヴェンの音色を出されているのだなと大感激でした。私の内田女史のイメージがとても大きく変わりました。 2011年3月23日 記 |
▲上へ |