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富士電機スーパーコンサート
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
【 2010年11月20日(土) at サントリーホール 】
指揮:マリス・ヤンソンス ヴァイオリン:ギル・シャハム


■ ロッシーニ : オペラ「ウィリアム・テル」序曲
■ メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64 vn独奏:ギル・シャハム
■ ブラームス : 交響曲第4番 ホ短調 op.98

アンコール
■ J.S.バッハ:パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006より Vガボットとロンド vn:ギル・シャハム
■ J.S.バッハ:パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006より Tプレリュード vn:ギル・シャハム
■ ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番 嬰ヘ短調
■ ビゼー:組曲「アルルの女」第2組曲より 「ファランドール」
月曜日の大興奮の東京文化会館公演からあっという間に数日が過ぎ去り、再び「マリス・ヤンソンス祭り 夢のトリプルDAY」がやってまいりました!>嬉しい!
本日は19:30開演と、通常より少し遅めです。サントリーホールのマチネーでは都響+インバルさんでブラームスの1番。こちらも名演だったようです(私も行きたかったです)。

今日のヤンソンスさん+RCOの皆様は、東京文化会館公演の時とはだいぶ違っていたように思います。京都公演、名古屋公演と回を重ねるうちに深みが増してきたのでしょうか?! といっても元々が素晴らしいオーケストラなのですが!

まず、RCOの皆様の演奏が熱い、熱い! コテコテに熱かったです(笑)
見た目的に熱くはならないオーケストラなのかなぁと東京文化会館では感じたのですが、そんな感想は吹き飛びました。

そしてヤンソンスさん。
お体の具合が心配でしたが、「ヤンソンス氏は全快されているに違いない!」 と確信出来る位に元気、元気!>嬉しい!
ジャンプは高いし、指揮する手にも力が入っていて、これはかなりの運動量だろうなぁ…と感じる位に激しい指揮を終始されていました。そして何より、楽しくて仕方がないようなオーラがビシバシと伝わってきましたので、聴いているこちらも幸せな気持ちになりました♪
指揮台の背もたれパイプを持つ左手も力強かったですよ! (余談ですが、オーケストラの後ろに指示を出す時よりも、1stヴァイオリンに指示を出す時によくパイプを掴むみたいですね。)

本日の私の席は2列目の中央(今回、後ろの席が取れなくて残念です、涙。全体を見渡したい…)。
目の前にヤンソンスさんがいらっしゃいます! しかも、1列目のなぜか私の前の席だけ空いていたので、ヤンソンスさんガン観席です。>きゃっv
でもここまで目の前だと、恥ずかしくて直視出来なかったり…

拍手の中、RCOの皆様が舞台へ登場。
本日のコンサートマスターさんは東京文化会館の時のロイヤルさん(と勝手に命名)ではなく、頭がもじゃもじゃしている方のかたでした。この方のヴァイオリンソロも素晴らしかったです。
そして、このコンサートマスターさんの隣に座られているのが、現在YouTubeでアジアツアーのレポートが掲載されているのですが、東京から京都へ向かう新幹線の中でインタビューを元気に受けていたおば様(と書いたら失礼でしょうか)でした。映像を見ていて、すごく印象深かった方です(笑)
チェロの1列目の御2人は先日と同じ。テツラフさん(こちらも私が勝手に命名した方です)はいらっしゃいませんでした。

そして、皆が待っていたヤンソンスさんが元気に登場!!!>わーい!

1曲目のウィリアム・テル序曲。
全てが格好良かった〜〜〜vvv

冒頭のチェロの方(この人も「ロイヤル」な雰囲気をお持ちの方だと思いました)。素敵なチェロの音色でした。そしてチェロパートの皆様でしばらく演奏されるのですが、チェロっていいなぁ…と誰もが思うであろう世界が広がっておりました。

…はい、当然BRSOではこの部分はSebastianとMaximilianなのね…と考えたりもしました。

そして徐々に盛り上がって「嵐」の部分になるのですが、ここが本当にもう最高! 胸がギュッとなってしまいました(笑、舞台上があまりにも格好良いので) ここだけ何度もリピートして聴きたい位です。
チェロパートの皆様が、特に熱く弦をガリガリ弾かれていて、そこから何かが飛び出してくるのではないかと思える位の勢いがありました。

RCOはヴァイオリンやチェロだけでなく、コントラバスも素晴らしいですね。普段はあまり耳に届かない存在なのですが、しっかりとその美しい低音が耳に届くのです。それが胸の奥まで沁み込んでくるようで、聴いていて心地よいのです。今回もそれを感じました。

そして、打楽器の何と素晴らしいこと!
今年に入って打楽器にイライラすることが何度かあったのですが、RCOの方たちはこれ以上でもこれ以下でもないという適切な演奏をされていて、演奏全体が引き締まっていました。コントラバスと同様、打楽器で感動することもないのですが、あまりにも素晴らしいので気になりました。

2曲目はギル・シャハムさんとのメンデルスゾーン。
ヤンソンスさんとRCOを聴きに来て、今更ありきたりの(と書いては失礼ですが)メンデルスゾーンはね… などと少しだけ思いましたが、でもやはり然るべき方たちが造り上げる世界というのは、ありきたりな曲であろうがとても素晴らしかったです。素晴らしい曲だからこそ、人に愛され、いつでもどこでも聴けるありきたりに感じる曲という位置づけになってしまったのだろうということを考えさせられました。「素晴らしい曲」であるということを原点に戻って教えて下さったように感じます。

私にとっては初めてのギル・シャハムさん。
へらへらへらっって感じで出てきて、言葉が悪いですが、正直「誰だ、こいつ?」と思ってしまうような方でした(すいません)。
コンサートマスターさんに握手をし、言葉を交わしています。

とてもへらへらしていて緊張感がないように見えたのですが(ずっと口を空けていらっしゃいましたし)、演奏が始まりますと、これが真面目一直線な演奏で大変好感が持てました。このギャップがすごいと思いました。
1音1音が正確ですし、個性というものを恐らく捨て去って、真摯にメンデルスゾーンの世界に向かい合っているのだろうなと思う世界でした。
単に楽譜通りに弾くというのとも違っていて、自分の中で確信を持ってその1音を出しているといいますか。考え、計算され尽くした中での1音…上手く説明が出来ないのですが。
無駄なものをそぎ落とした音色を出すRCOのサウンドとは相性がいいのだろうなと思いました。

ギルさんはほとんどがヤンソンスさんの目の前で、そしてヤンソンスさんに向かって弾いていて(そうでなければアイコンタクトを熱くしながらコンサートマスターさんに向かって弾いていました)、「観客はこっち!」と思わず突っ込みたくなる位でした(笑)
だって、ヤンソンスさんのために弾いているかのようなのですから!
ヤンソンスさんも1stヴァイオリンに指示を出そうと左をパッと向くと目の前にギルさんがいるから、左手はあまり広げられないし、指揮がしずらかったのではと。>ヤンソンスさんに近づきすぎ〜っ!

でも時々、舞台の端まで前に出てきて客席に向かって弾いて下さることもあって(きちんと客席を見ながら)。その時に会場に広がるヴァイオリンの音色は素晴らしかったです。

カデンツァの時は舞台の前に出て弾いて欲しかったのですが、ヤンソンスさんに向かって弾かれているし!

でも第2楽章は客席に向かって弾いて下さったので、幸せ気分を味わうことが出来ました。
暖かく、優しい第2楽章でした。

第3楽章はギルさんの音色から始まりますので、その時はギルさんとヤンソンスさんが見つめ合って(しかも顔を寄せ合うようにして!)タイミングをそろえていましたので、「やっぱり協奏曲だなぁv」とワクワクしました。あの瞬間は良かったです。
ソリストと指揮者とオーケストラは一体なのだなぁとということが形で分かったような気がしました。

演奏後はアンコールでバッハの無伴奏を2曲。
きちんとコンサートマスターさんに「今から弾かせてもらいますね。」と、断って(手でヴァイオリンを弾くジェスチャーをして)弾かれていたのが印象的でした。

協奏曲と違って、ヤンソンスさんに向かって弾く必要も無い訳で。
今度は客席の隅々に向かって弾いて下さったのでした。
暖かい心配りが嬉しいですし(立ち振る舞いで伝わってくるといいますか)、演奏も抜群に上手いと思いますし、ギルさんの無伴奏コンサートは最初から最後まで飽きることはないだろうな…と思いました。きっと楽しい演奏会になると思います。

前半が終わったのが確か20:30。20分間の休憩で、後半は20:50から始まりました。
ブラームスの交響曲第4番。私はそれ程好きな曲では無い…です(すいません!)。
第4楽章がまだ私には早いかな…と思うのです。最後まで集中して聴くことが出来ません。楽しいのは3楽章までです。本日もそうでした。

出だしは、弦の重なり具合が美しくて♪ RCOでこの曲を聴けるのは贅沢なことだと、ただただその美しさを楽しみました。

苦手なこの曲も、第3楽章は大好きです。
ヤンソンスさんもRCOも、ものすごく格好良くて、ここで終わりでいいと思います(私的には)。
弦の「ジャーーーン」に続いて管の「パーーーン」というやり取りがまた良いのだな♪

第4楽章になるとヤンソンスさんの指揮はヒートアップし(各パートに指示を次々と出し、ジャンプしたりしゃがんだり、右・左・右・左…と横に振る右手は激しくなり…)、RCOの皆様の集中力もヤンソンスさんに向かって熱く発せられているようで(何となく伝わってきました)。
ブラームスが作った最後の協奏曲の最終楽章ですから、ブラームスが込めた思いというものもたくさん詰まっているのだと思います。そこが私にはまだ受け止めきれないと言いますか、集中力が途中で切れてしまうのですよね。最後はとにかくヤンソンスさんとRCOの皆様の姿を何も考えずに目で追っておりました。

演奏後のヤンソンスさんは、とても満足そうにされていました。すごい汗だくでした。

アンコールは2曲。
ブラームスのハンガリー舞曲第5番は、素晴らしいオーケストラで聴くと、盛り上がりますよね!
聴く機会の多い曲ではありますが、こんなに良い曲だったっけ?と惹き込まれてしまいました。

最後のファランドール。
恐らく、明日・明後日のマーラー3番の後はアンコールはされないと思うので、事実上、今年のツアーの最後のアンコール曲だと思うと余計に胸がドキドキしてしまったのですが、ヤンソンスさんのファランドールは私、大好きなのです。聴けて嬉しい!
とても格好良くて(ヤンソンスさんもRCOも)大満足でした。

今日も素敵な時間をありがとうございました、と。
出入り口が混雑していて、ホールを出たのは22:00でした。
出口にはすでに楽器を持って帰られているRCOの団員さんの皆様が!>早い!

明日は待望のマーラー3番。
一体、どのような世界が待っているのでしょうか。聴き手のこちらもなぜか緊張してしまいます…


2010年11月21日 記

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