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都民劇場音楽サークル 第582回定期公演
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
【 2010年11月15日(月) at 東京文化会館 大ホール 】
指揮:マリス・ヤンソンス


■ ベートーヴェン : 「レオノーレ」序曲第3番 作品72b
■ ヤナーチェク : 狂詩曲 「タラス・ブーリバ」
■ チャイコフスキー : 交響曲第4番ヘ短調 作品36

アンコール
■ チャイコフスキー:バレエ音楽 “眠れる森の美女”より 第1幕 「アダージョ」
ヤンソンスさん+RCOの来日はとても楽しみにしていた、今秋の中ではメインのコンサートだったのですが、それだけ期待が大きかったにもかかわらず、私が想像していた何倍も何倍も素晴らしいものでした!>期待が大きいと期待負けする時もあるのですが、今回は全然!
コンサートってここまで楽しいものだったか・・・と、生演奏を聴く楽しさを再確認しました。
この魅力を一瞬忘れておりました、私。

夕方から雨が降り(公演終了時は止んでおりました)、寒くなったな〜と感じる中、東京文化会館へ向かいました。日中から妙にソワソワしてしまい(笑、自分ではそこまでヤンソンス氏をLOVEな状態で待っていたわけではないのですが)、仕事が手につきませんので・・・と早々に会社を出ました。東京メトロの上野駅からも早歩き!とにかくホールに着いて、気持ちを落ち着かせたかったのです。

本日は都民劇場主催の公演。
客席の雰囲気も、いつものサントリーホールの時とはちょっと違います。これは1シーズンの中の1公演。楽しみにしているとは思うのですが、誰もが「ヤンソンスLove」「RCO Love」で来ているわけではないのですよね。私の周りは妙に落ち着き払っています。

会員でない私は席を選ぶ余地も無く、オーケストラなのに1列目。
ヤンソンスさんガン観席でした(それはそれで嬉しいのですが♪)。
客席はほぼ満席でした。

開演時間になりますと、舞台にRCOの皆様が。
コンサートマスターさんは、何となく「ロイヤル」って感じの方で(雰囲気がですが)、演奏・見た目 共に非常に好感が持てましたv
私の前はチェロパートだったのですが(バイエルン放送響とは配置が違うのですね〜)、3列目に微妙に(本当に微妙なのですが)ヴァイオリニストのクリスチャン・テツラフさんに似た方がいらっしゃって、心の中で「テツラフ」と呼んでいました(爆)

全員揃ったところで皆様着席し、チューニングです。

そして、大拍手の中、待ちに待ったヤンソンスさんが舞台に登場されました!!!

きゃ〜〜〜っ!!!

見た目的には先日ヨーロッパでキャンセルされたインフルエンザによる体調不良の影響は見受けられません(そして2年前のように咳などはしていらっしゃらない様子。あれは見ていて痛々しく、こちらも演奏どころではありませんでした)。
本当のことは分かりませんが、少しお元気になられたのかな…と安心しました。
もう、日本全国、皆がヤンソンスさんを待っていたのですよね!
無事に来日してくださって良かったです。。。(涙) ありがとうございます、ヤンソンスさん。

ヤンソンスさんも、「これから日本ツアー始めるよー!」と客席を笑顔で見回して(私の想像ですが)、ベートーヴェンのレオノーレ序曲が始まりました。

ジャン…

最初のオーケストラの1音で私は鳥肌が立ってしまいました。

RCOの音色を生で聞くのは初めてではないのですが(3来日目)、改めて何と素敵な音色を出すオーケストラなのだろうかと。初めて名古屋でヤンソンスさん+RCOの世界を目の前にした時の感動を思い出しました。
「音」が宝石であるのだとしたら、それに全く余計なものが入っていないというか、純度が高いというか。言葉では上手く表現出来ないのですが、「私は今、ものすごいものを目の前にしているのだ」ということを体で感じました。

すごい、すごい、すごい!!! 今日 ここに来ることが出来て、本当に良かった!!!

そのようなことをずっと思っていました。

私は前半のレオノーレ序曲とタラス・ブーリバは知らない曲で(汗)、前日Webラジオで聴いたくらいの知識しかありません。
それでも、何と入り込みやすい曲なのでしょう!
作曲したベートーヴェンの力もあるのかもしれませんが、でもヤンソンスさんとRCOが作り出すリズムは私好みで、演奏が終わった後も頭の中をずっと流れていて、忘れられないのですよね。
以前聴いたベートーヴェンの交響曲第8番もそうでしたが(あれは今でも私の中のマイベストです)、この組み合わせのベートーヴェンっていいですね。もっと聴きたいです。

弦と管のやりとりは言うまでも無く良いですし、途中上手の扉の後ろからトランペットが聴こえてくるのですが(パンフレットの解説によると、レオノーレ夫婦を救う大臣到着のトランペットのファンファーレだそう)、指揮するヤンソンスさんと姿が見えないトランペット奏者との心のつながりのようなものも(勝手に)感じたりして、とにかく舞台上の世界は輝いておりました。

続いてヤナーチェクのタラス・ブーリバ。
これはゴーゴリの小説「隊長ブーリバ」を元にされたものだということを最近知り(予習を全くしていなかったので…)、先に読んでおきたかったなぁと反省しております。
ヤナーチェクはクロイツェル・ソナタもトルストイの世界を上手く表現されていると思いますし、この曲も小説を知った上で聴くのと聴かないのとでは大きな違いがあるのではないかと。

この曲は時々コンサートマスターさんのソロが入るのですが、これがバイエルン放送響だったらバラホフスキーさんのソロが聴けるのね…vvv と、余計なことも考えたり(集中しろよ、自分!)。

このコンサートマスターさん、とても素敵な音色を出す方なのですが、その姿を満足そうに笑顔で見つめるセカンドヴァイオリンの女性の姿も私は気になりました(笑) 自慢のコンサートマスターさんなのでしょうね。いいですね。

私の席は前過ぎて後ろの管パートは全く見えず、木管も金管も素敵な音色を出すオーケストラだなぁ(金管が素敵だと、それだけでオーケストラ全体が輝きますね!)という位しか分からなかったのですが、非常によく見えた弦パート。しっかりと目に焼き付けてきました(笑)

マニアな視点から言いますと、コンサートマスターさんの足の開く角度が私好みでした。
>どうでもいい話ですね!

それから演奏を聴いていて常に頭の中に浮かんだのが、「当たり前のことを当たり前にする」という言葉。

オーケストラ全体が一体となって「私たち演奏しています!」のような熱気が、こちらの感動をより高めるということがあると思うのですが(非常に統一された弓の上げ下げだったり、体の動かし方だったり)、そういう世界は私も大好きなのですが、RCOはそこまでコテコテした熱気というものは感じられませんでした。
私目線ですが、1人1人が気張ることなく普通に弾かれているように感じ、でも表現される音楽は、まるで1人で弾いたかのような統一感。至高の音色!
普通に弾かれているのですが、熱気とはまた違う何かが私たちに語りかけて来るのですよ。これはCDを聴いていても伝わってこない、目の前で演奏してるからこそ伝わってくる何かなのですが…

皆さん、格好良いなぁ〜と、どんどん惹かれていったのでした。

東京文化会館の1列目は舞台の高さが座席よりもやや高めなのですが、舞台との距離は大変近い造りになっています。
1列目の私の席は客席というよりも、むしろチェロパートの一員になったかのような席でした(体をヤンソンスさんに向けて聴きますから、右横に1・2列目のチェロの方がいる感じです)。

ですので、チェロパートに指示を出しているヤンソンスさんの視線を直で受けてしまったのです!

いやーーー(ため息)。
あんな目線で、「もっと大きく!」とか指示を出されると、実力以上の演奏をしてしまいますよ(笑)
色っぽいというか、あのブルー(と少しグリーンが入ったような)の真剣な瞳で見つめられてしまうと、ドキドキしてしまいますね。瞳を大きくして、時にはチェロパート全体に、時には各個人を見つめて指示を出すのですよv 吸い込まれそうでした。そして、背景にはRCOサウンドが輝いている訳で。
ヤンソンスさんの唸り声(というか歌声?)もたくさん聴いてしまいました。こんな部分で唸りますか、って所も多々ありました(笑)
RCOの皆様もヤンソンスさんと一緒に舞台に上がることを、いつも楽しみにしていらっしゃるのだろうなぁと思いました。>練習は大変でしょうけれども。
その幸せ感も、知らないうちに音に表れて客席に伝わっているのかもしれません。

休憩時間、早めに席に戻りますと、コントラバスに確か1人、そして私の目の前のチェロの方3人が練習されていました。
チェロの方たちの練習は 同じ個所を何度も何度も練習するというものではなく、演奏をずっと弾き流している感じのものでした。ですので、こちらも1つの曲を聴いているようで、余った休憩時間を楽しませていただきました♪>得した気分デス

後半はチャイコフスキーの第4番。
5番ばかり聴いている私は、出だし以外はほとんど忘れかけている曲…(汗)
1楽章を聴いていて、やっぱり5番の方が好きだなぁ…と思いました。

第2楽章。
最初はオーボエのソロ(素晴らしい!)。そしてチェロが加わって…

これか!

休憩中にテツラフさん含むチェロの3人が弾いていたのは、この部分だったのでした。
「やっぱり5番の方が好き」という先程の感想を撤回せざるを得ない、哀愁溢れるしんみりとした素晴らしい世界でした。第2楽章は、オーボエのソロに合わせて一緒に頭の中で歌ってしまいますね。

ピチカートの第3楽章。
生演奏の醍醐味と言いますか。ピチカートのオンパレードは可愛くて、美しいですね。
皆様のピチカートっぷりは観ていて聴いていて全然飽きることなく、ぐいぐいとその世界に引き込まれてしまいました。
指、痛くないのでしょうか… 人によって弾き方が違っていて、それを探すのも楽しかったです。

最後の第4楽章は、文句なく聴き手を音楽の世界へ巻き込んでいくと言いますか。やっぱり、格好良い(笑)>結局、楽しんでいる私。

ヤンソンスさんの指揮。
いつもでしたらもう少し弾けているのでは… やはりお体の具合、まだ全快ではないのかな、と思わなくもありませんでしたが。
席が近すぎてヤンソンスさんの魔法(手をシュッと止めたらオケの音もピタッと止まるような)が見えずらかったということもあるのですが、いつもは もっと高くジャンプをしていると思いますし(ラストは特に)、ヤンソンスさんは指揮台の背もたれ(?)のパイプに左手を付いて背伸びをして舞台の奥の奏者に指示を出したりするのですが、その手を付く左手がちょっと弱弱しかったな…とか(そこか!)。
私、この左手を見るのも楽しみの一つだったりします。このパイプになりたいな、とか思う訳です(笑) マニアックです。。。

でも舞台の上のまとまりはそんなことは関係なく、文句なく最高でした!

アンコールはチャイコフスキーの眠れる森の美女より。
ハープが美しい〜〜〜!!!

ヤンソンスさんはこの公演で一番力の入った指揮だったと思います…>すごく良かったです。
ヤ…ヤンソンスさん、もしかして今日のメインはこれでしたか(汗)という位。ジャンプの高さも高かったし、華麗な指揮がさらに華麗になっていました。
本日最後の力を、全部ここへつぎ込んでしまったかのよう。アンコールなのに聴き応え満点でした。

ヤンソンスさんの公演では、オーケストラが舞台を去られた後も拍手が止まず、もう一度ヤンソンスさんを舞台にお呼びする…というのが通常なのですが、恐るべし都民劇場。
ピタッと拍手が止んでしまい、ヤンソンスさんが再び舞台に現れることはありませんでした。

帰りの出入り口はRCOとヤンソンスさんの魅力にハマってしまった人たちで一杯! CD売場は大混雑していましたし、「良かったね〜」「すごかったね〜」の声もたくさん耳に入ってきました。

私も幸せ気分いっぱいで、東京文化会館を後にしました。
今週末にまたこの音色に出会えるのが楽しみです…♪

2010年11月20日 記

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