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関西フィルハーモニー管弦楽団 第223回定期演奏会
伝説のオペラ歌手、ジョゼ・ヴァン・ダム唯一の西日本公演実現!

創立40周年記念ガラ・コンサート
【 2010年9月10日(金) at ザ・シンフォニーホール 】
指揮&ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ バス・バリトン:ジョゼ・ヴァン・ダム
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団


■ モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219「トルコ風」

ジョゼ・ヴァン・ダム、華麗なるオペラ・アリア選
■ モーツァルト:カタログの歌「奥様、これが恋人のカタログ」(歌劇「ドン・ジョヴァンニ」)
■ モーツァルト:「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」(歌劇「フィガロの結婚」)
■ モーツァルト:「ため息をつきながら」(歌劇「フィガロの結婚」)
■ ヴェルディ:「ひとり寂しく眠ろう」(歌劇「ドン・カルロ」より)
■ ドリーブ:「おまえの優しい眼差し」(歌劇「ラクメ」)
■ ロッシーニ:「中傷とはそよ風のように」(歌劇「セヴィリアの理髪師」)

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■ ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 作品93

アンコール
■ ビゼー:アダージェット(「アルルの女」第1組曲より)
再び大阪へやって来ました!
先週のデュメイさんのブラームスを体験出来ただけでも大満足だったので、今回は「ヴァン・ダムさんってどんな方なのかな〜」という気軽な気持ちでシンフォニーホールに向かいました。

本日は1階席の中央の通路に補助席を作った位、お客様の入りが宜しかったようです(なので通路が狭かったのですが…)。しかも大変年配の方が多かったので(杖が必要な位の方)、これはヴァン・ダムさん効果だと思われます。この方たちはカラヤンとの共演なども生で聴かれたのかなぁなどと思うと、とても羨ましいです。
また、男性用のお手洗いがあれほどの長蛇の列になるのも珍しいのではないかと思いました。会場はそのような感じでした。

最初に西濱事務局長の挨拶がありましたが、私には珍しく何をお話されたか忘れてしまいました。

そして関西フィルさんが舞台に登場。
さすがモーツァルトの曲なので、舞台に用意されている椅子の数に比べると実際に登場された人の数が少ないです(他の椅子は2曲目用)。

続いて元気なお姿でデュメイさん登場!

モーツァルトの5番は知っている曲だし〜と改めて予習もしなかったので、久しぶりに聴く曲です。
しかも「デュメイさんの」5番です!
私にとってこの曲はデュメイさんを応援する際の原点ともいうべき曲の1つです。

4年前に関西フィルさんとのこの曲を聴いた時は、今まで聴いてきたCDや映像と演奏するスタイル(オーケストラに対する指示の出し方や、顔の表情など)がほぼ同じだなぁ、私は正にこれが聴きたかったのだと感激したのですが、今回の演奏は少し違っていたのです!
デュメイさんの人生の中でのここ数年の「変化」のようなものを感じることが出来ました。
私の思い込みなのかもしれませんが。。。

特に第1楽章。デュメイさんが弾く部分は、ほとんどオーケストラを見ず、デュメイさんのヴァイオリンと…というよりも、その曲の先のモーツァルトと対話をしているようでした。
(以前でしたらかなりのアイコンタクトと、怖い位の笑顔をあえて出して弾かれていました。今回のお顔は真剣そのもの!)

先週のブラームスの時とはまた違った気迫で(あれはあれですごかったです)、ヴァイオリンの音色は輝きを増し、それでいて瑞々しいと言いますか…
デュメイさんはモーツァルトの世界がぴったりですね〜 素晴らしいです!
一見リラックスして親しみやすい雰囲気の演奏なのですが、デュメイさんの集中力がものすごいので、こちらも一瞬たりとも気が抜けない状態でした。

今までと同じ音、同じテンポであるはずなのに、上手く説明が出来ないのですが、生まれて来る音の表情が違っていた気がします。これが今のデュメイさんのモーツァルトに対しての気持ちなんだ、と思いました。(カラマーゾフの兄弟が訳者によってずいぶん印象の違う作品に感じるのと同じ感覚でしょうか。)

こういう表現方法もあるんだ…と、新しい発見が一杯の5番第1楽章でした。

第2楽章はデュメイさんのヴァイオリンの音色を思う存分楽しめる作りになっている部分です。
全体的にゆっくり目なのですが、デュメイさん、所々ですごくテンポを揺らすのですよね〜
そして、必要以上にオーケストラに指示を出さないので(私にはそう見えたのですが、演奏されている皆様にはもちろんデュメイさんの指示は伝わっているのだと思います)、関西フィルの皆様はよくデュメイさんについて行っているなぁと、なぜかこちらがドキドキしてしまいました。

1・2楽章はモーツァルトの5番の世界を表現することに集中されていたように感じたのですが、第3楽章は「デュメイさんの」5番でした。何か、自由でした〜
元々曲も激しいですが、デュメイさんの演奏が激しすぎて、緩かったと思われるメガネが2ndヴァイオリンの方の前に飛んでしまいました(爆、昔クロイツェルで同じことがありました〜)

デュメイさん、ご自分ではメガネを拾われない方のようですので、演奏が終わった時このメガネはしばらく置きっぱなしにされてしまうのかな、微妙な空気になるのかな、と気になりましたが、終了後すぐに2ndヴァイオリンの男性の方が拾われたので安心しました。

続いて大拍手の中、ジョゼ・ヴァン・ダムさんの登場!

背筋が真っ直ぐな、私はヴァン・ダムさんのことは何も知りませんが、お姿を見ただけで普通では無いオーラが伝わってくると言いますか、超一流の方なのだな…と直感致しました。

オペラのアリアは私は疎いので、歌詞なども分かりませんでしたが、ヴァン・ダムさんのお声と表現力は素っっっ晴らしかったです!!!>素人でも分かります!

関西フィルさんも、先程は協奏曲で舞台などで言いますとデュメイさんが主役で関西フィルさんが脇役のような役割でしたが、今度はヴァン・ダムさんが登場人物で関西フィルさんが背景という感じ。
その場面・場面ごとの役割がとても上手だなぁと感じました。
ヴァン・ダムさんのお声の邪魔をすること無く、その魅力を何倍にもされているような伴奏でした。

そういった関西フィルさんの中心にヴァン・ダムさんがいて、目線を横へずらすとデュメイさんが指揮をされていて。

贅沢な空間だなぁ〜と何度も思いました。>BOSSの贅沢微糖のCMが出来ます!

そしてこの時、初めて私はデュメイさんは指揮者なんだなぁと感じました。ヴァイオリニストでなくても指揮者でも素敵だな、と(でも出来ればヴァイオリンを常に弾いていただきたいデス)。

これで前半終了。19時開演でこの時20時30分でした。
ヴァン・ダムさんの部分だけでも前半が作れてしまう位、盛り沢山な前半でした。デュメイさんとヴァン・ダムさんが続けて聴けてしまうなんて。

後半はベートーヴェンの交響曲第8番。
私のイメージはヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウの演奏で作られているので、このような感想になってしまうのかもしれませんが。

幸せと喜びに満ち溢れた第1楽章のイメージ(大好き!)が、デュメイさんの指揮になると大変力強い重々しい世界となっておりました。この重々しさは、デュメイさんのベートーヴェンのvn協奏曲で感じた印象と似ている気がしました。デュメイさんのベートーヴェンってこういったイメージなのかな、と思いました。

私は初めてティンパニの役割というものに気づいたのですが、本日の叩き方はあまりよろしくなかったかな…と個人的には感じました。全体的に生み出している重さに対して軽かったような気がします。。。(偉そうに申し訳ないです。)

その重々しさの指示が、第3楽章で非常に活きていたように感じます。
この楽章は素晴らしかったです! いつまでも覚えておきたい演奏でした。

で、面白いと思ったのが第4楽章。
私はこの楽章が1番好きで、ヤンソンスさんの世界ですと、ここの音の盛り上がりで聴き手の心をぎゅっと鷲づかみされるといいますか(大音量なのに苦痛の無い音色に包まれ、オーケストラの力を瞬時に体で感じることが出来るといいますか)、そこでラストまでオーケストラと一体化して突き進んでいくのです(上手く説明出来ないのですが)。

デュメイさんの第4楽章は速いです! 速い…ですよね?! 元々がどのくらいのテンポなのか分からないのですが、私は速いと思いました。
弦や管の動きが曲の速さに追い付いていないようで、演奏も中途半端に感じましたし、そこまで速くしなくてもいいのではないか…と最初は思いましたが。

所々でオーケストラ全体がそのテンポに一致する瞬間がありまして。

その時に、ものすごく魅力的な世界が生まれたのです(本当、一瞬、一瞬だったのですが)!

このテンポで関西フィルさんが慣れて弾けるようになったら、どれだけすごい第4楽章になるのだろう…って、その時にもう一度聴いてみたいという気持ちにさせられました。
(でも何度も言ってしまいますが、何でデュメイさんったらこんなに急がせたのかしら。)

演奏終了後のデュメイさん。大変嬉しそうに何度も舞台を行き来されました。
デュメイさんも納得の公演だったのだな…と感じました。
私も最初から最後まで色々な方向で楽しませていただき、ここまで楽しませていただけるとは思っていなかったので(元々今年は弾き振り反対派でしたので。←でも、弾き振り良いなという気持ちになりました、笑)大満足でホールを後にしました。

2010年9月13日 記

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