戻る

WORLD ORCHESTRAS SERIES 2010-2011 SERIES B
フィラデルフィア管弦楽団
【 2010年4月28日(水) at サントリーホール 】
指揮 : シャルル・デュトワ / ピアノ : イーヴォ・ポゴレリッチ


■ ベルリオーズ : 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
■ ショパン : ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21
■ ラフマニノフ : 交響的舞曲 op.45
■ ラヴェル : ラ・ヴァルス

アンコール
■ ラヴェル : 『ダフニスとクロエ』 第2組曲から
秋のヤンソンスさん&ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団、ゲルギエフさん&ロンドン交響楽団のマーラーが目当てで今年は取ったKAJIMOTOのワールドオーケストラシリーズ シリーズB。
実は今回のこの公演はあまり重要視していなかったのですが、急遽ソリストがアルゲリッチさんからポゴレリッチさんへと変更になったことで、非常に楽しみな公演になりました。
(ポゴレリッチさんのショパンは連休のラ・フォル・ジュルネでもプログラムに挙がっており、悩んだ末他の公演を取ったという経緯があるので。一度ポゴさんの演奏は聴いてみたいと思っていました。)

久しぶりのサントリーホールです!
広場の工事も終わっていました。少し雰囲気が変わったような気がします。

会場に入ると皆さん綺麗な服装で決められていて(特に女性)、仕事帰りのヨレヨレの服を着ている私は少し恥ずかしかったです…
ワールドシリーズのコンサートっていつもこんな感じだったっけ、と。忘れていました。

ホールに入りますと舞台上ではすでに何人ものフィラデルフィア管弦楽団の方がいて、練習をしています。その数がどんどん増えていって、客席の雑談(ざわめき)よりも舞台上の練習音の方が大きく(煩く)なって(鈴だかタンバリンだかも思い切り練習しています!)。ホールの「携帯電話の電源は…」というアナウンスも聞えない位。自由すぎるよ、フィラデルフィア管弦楽団。。。

そして開演になり、コンサートマスターさん、続いて指揮者のシャルル・デュトワさんが登場。

デュトワさん! いつもN響アワーで拝見していたお方ですが、やっと生で会えました(笑)
素敵な方ですね。

1曲目のベルリオーズ。
先程の雑音のような練習音は何だったのかと思う、ものすごく無駄のない音色。美しい管楽器。まとまった弦楽器。すごい…と思いました。私の席から見えたチェロの女性2人が素敵でしたv
デュトワさんもテレビでのN響との演奏の時よりも活き活きしている感じがしました(失礼ですが)。

初めて聴いた曲ですが、大満足でした。今回、聴く機会があって幸せでした♪
色々な楽器があったようなのですが、前の席だったため後ろが見えなかったのが残念でした。もっと後ろの席が良かったです…

1曲目が終わるとチェロ・コントラバスあたりの方以外はほぼ一時退場。ひな壇の一部が下がり、ピアノが舞台の中央にセットされます。
1曲目でもぎゅうぎゅうに皆さんが舞台に上がっていたので、席の並び替えが大変ですよね〜 でも、さっさと席の配置等を直すステージマネージャーさん(?)はさすがだと思いました。
客席側に譜台が向けられたものがあったのですが、楽譜の表紙にはたぶんPhiladelphiaと書いてあるのかと思うのですが(詳しくは見えませんでした)、Pの文字だけが大きくデザインされていて可愛かったです。

セットが終わるとオーケストラの皆様はチューニング。
団員さんの中で笑顔の方と先程と変わってテンション低目の方とが半々にいたように思えたのは気のせいでしょうか(苦笑)

会場拍手の中、なかなかソリストが舞台に現れません。私もポゴさんがどのような方なのか興味津々です。どうしたのかな、何で出てこないのかな。もしかして帰っちゃったかな、なんて。

ゆっくりと、ゆっくりと歩いて登場されたポゴさん。

髪…あるよ?!

髪がありました(爆) チラシのスキンヘッドのちょっと普通では無い(?)ポゴさんの印象が強い私はびっくり。でも、あのチラシがかもし出していた異様なまでのオーラ(ねっちょりした感じとでも言いましょうか←失礼だったらすいません)は健在です。

何と言いますか… ポゴ氏の周りだけ空気の流れが違うのです。そして、それは誰も逆らうことが出来ないような気がしました。

そして使い込んだ楽譜持参。
詳しくは分かりませんが、ポゴ氏はどの曲でも楽譜を持参されるタイプの方なのでしょうか(もちろん無くても弾けると思います)。珍しいな…と驚きました。

また、譜めくりの男性がチャラい感じの方で(見た目が、です。本当がすごい方なのかもしれません)、どうしてこういう方が譜めくりをされるのかしら?と。もしかしてポゴ氏の推薦?!と疑うような、ちょっとこの場には相応しくないように思えた方でした。>思ったままに書いてしまってすいません。
演奏中も譜面では無く、デュトワさんをぼーっと見ている時があったのですよ。私にはそう見えました。彼の勉強のためにわざと楽譜を置いているのではないかと思った位です。

楽しみにしていたショパンの協奏曲が始まりました♪

オーケストラの出だし。

…あれ? ショパンの協奏曲ってこんな曲だったっけ?と。
私、はっきりと聴き込んでいないので余計に思ったのかもしれませんが、「ショパン」という感じがしませんでした(オーケストラの段階で)。このオケはショパンに向いていないのかしら…なんて。元々ラヴェルのピアノ協奏曲でしたからね。

もやもやした気持ちの中、ポゴ氏のピアノ。
(余談ですがポゴ氏は待っている間、譜台の角度を直したり、ちょこまかされていました。)

すごい存在感!!!

上手いとか下手とか私には分かりませんが(上手いのだと思いますが)、オーケストラと全然かみ合っていない〜(あはは)
先程、何て素晴らしいオーケストラなんだ! と感動した、あのオケが、ポゴ氏のピアノの前では何の役にも立っていませんでした。オーケストラの存在が全く無くなってしまいました。
これならいっそうのこと、ピアノだけで演奏してもいいのでは…と。
でも聴き手もなぜか緊張するような空気がホールを埋め尽くしていました。

ものすごく繊細で、美しい音色を奏でたかと思うと、即、ガン!ガン!ガン! と叩きつけるように連打したり(汗、椅子からお尻が浮いていました)、元のショパンの曲がどんな曲だったかすでに私の頭の中は分からなくなっていたので、それが普通なのかポゴ氏のオリジナルだったのか判断できず、ただただ目の前のポゴ氏を見つめることしか出来ませんでした…

でも手の動きはダルベルト先生同様、美しかったです。ここでこの指を使って強打するにはポゴ氏なりの意味があるのだと言うことが伝わって来ました。あとは好みの問題でしょうか。 否定しながらももう一度聴きたくなるような魅力を持った演奏家だと感じました。私は興味を持ってしまいました(爆、演奏以外の部分で) また機会がありましたら、ぜひ聴きに行きたいです。

第2楽章だったでしょうか。
このまま演奏終わってしまいますか…?というようなスローーーーな部分が何度もあり、私ももう少しで意識を失いそうになった時、

「きみ、何しているんだい? 早く楽譜をめくりたまえ。」

みたいに、譜めくり君に右手でイラっとした感じで指示を出しました。独奏の前です。
譜めくり君も「えっ? 今めくっていいのですか?」みたいなリアクションをして。(そこから譜めくり君のテンションが一気に下がったように私には思えました。背景が白かったです。)

見ているこちらにも緊張が伝わってきて、眠気が吹き飛びました。

第3楽章の始め、ポゴ氏とデュトワさんがアイコンタクトをしたようで(私の席からはピアノでデュトワさんが見えなかったのですが、ポゴ氏がニコッとしていました)、初めてピアノとオーケストラがまとまったように感じました。でも、相変わらずポゴ氏のピアノは弾けておりましたが…

演奏が終わってブラボーが飛び交う会場大拍手の中、ポゴ氏はすぐにデュトワさんの所(ピアノの後ろ)へ行き、何やら長話。舞台中央になかなか来てくれません。
そして舞台に登場された時のようにゆっくりと中央に行き(デュトワさんも一緒に前へ来るように誘って)、ゆっくりとお辞儀。このお辞儀の仕方はとても丁寧で、好感が持てました。

会場の止まない拍手の中(オーケストラが下がらないと、拍手も止められませんよね)、2度目に舞台へ呼び戻された際にピアノの横へ立ち、「私はアンコールは弾きませんよ」と左手でピアノの蓋を閉められました。顔は何となく笑っていて、お辞儀も丁寧なのですが、何か怖かったです…

こんな感じで前半が終了しました。
休憩に入るとすぐに、先程の譜めくり君が早歩きでホールから立ち去る姿を目撃しました。彼は一体誰だったのでしょう…

後半、舞台へ登場したデュトワさん。オーケストラの方からも拍手で迎えられ、指揮者とオーケストラの暖かい関係が伝わって来ました。先ほどの恐いショパンをまるで消し去るかのように(苦笑)

ラフマニノフの交響的舞曲はヤンソンス&ロイヤル・コンセルトヘボウのアルバムで予習をし、こんなに格好良い曲があったのかと大好きになった曲です。

デュトワさん&フィラデルフィア管弦楽団の演奏も良かったです。でも、ロシアな感じではありませんでした。聴き手も飽きてきた(?)最後の最後に、もう一度ものすごい盛り上がりを見せて観客の心をもう一度掴んで、曲が終わるのですよね。CDではよく聴こえなかった楽器なども生でははっきりと聴こえますし、この曲にピアノも参加していたことを知りましたし(前半のピアノが置いてあるだけかと最初思いました、笑)、デュトワさんも乗りに乗って指揮をされていました。

パンフレットによると、交響的舞曲をアメリカ初演したのはフィラデルフィア管弦楽団さんだそうです。

最後がラヴェルのラ・ヴァルス。
以前ヤンソンスさん&ロイヤル・コンセルトヘボウで聴いたことがありますが、やはりデュトワさんの方が決まっている(似合っている)気がしました。デュトワさんはラヴェルのイメージがあります♪

この曲のオーケストラ版は、何か混沌として、時々横に流れるような感覚に襲われたり、気持良く気持ちを音に乗せることが出来ないので苦手です。ラヴェルがそのような曲に作ったのでしょうけれども…(なので、2台ピアノ版が分かりやすくて格好良いので好きです。)

でも、「何が」とか「どこが」とかは言えませんが、終わった後に「皆さん格好良いなぁ!」という気持ちが沸き起こりました。何となく、全体を聴き終わった時に良かったな、と。

でも一番格好良かったのはアンコールのダフニスとクロエでした。客席も盛り上がりますし、最後に持ってくるのに良い曲ですね。
これはデュトワさんが1回舞台を去って、再び登場してすぐに演奏されたので、セカンドヴァイオリンの方などは楽譜の用意をまだしていなくて、演奏中にあわてて楽譜を探していたりしました。

ポゴさんは怖かったですが、でも全体的にいい音楽に出会えて良かったなぁ〜と外に出ますと、ホール前の広場は緑のライトに照らされていました。
これも改装工事によって変わった部分なのでしょうか。

もうすぐラ・フォル・ジュルネが始まります。
こちらも楽しんできたいと思います。

2010年4月29日 記

▲上へ
本嫌いさんの読書感想文〜カラマーゾフの兄弟はいつも貸出中?!
YUKIKOGUMA   All Rights Reserved