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バイエルン放送交響楽団
2009年 日本公演
【 2009年11月12日(木) at サントリーホール 】
首席指揮者:マリス・ヤンソンス / チェロ:ヨーヨー・マ


■ ドヴォルザーク : チェロ協奏曲 Op.104  VC: ヨーヨー・マ
■ ワーグナー : 「タンホイザー」 序曲(ドレスデン版)
■ ワーグナー : 「神々の黄昏」 より “ジークフリートのラインへの旅” “葬送行進曲”
■ ワーグナー : 「ワルキューレ」 より “ワルキューレの騎行”

アンコール
■ ジャン・ベリエール :『二つのチェロのための二重奏曲』から第3楽章
     ヨーヨー・マ & セバスチャン・クリンガー
■ サイグン :『無伴奏チェロ組曲』から「アドニー」 ヨーヨー・マ独奏
■ ワーグナー :オペラ『ローエングリン』第3幕への前奏曲
■ ハイドン :セレナード「弦楽四重奏」第1番第2楽章
昨日のとても楽しかった幸せ気分が消えないうちに、その幸せをさらに何倍にも増やして記憶にしっかりと焼きつけてしまおう! と、引き続きコンサートです。何て幸せなのでしょう♪
本来、ヤンソンスさん&バイエルン放送響のコンサートのはずなのですが、気分はもう「ヨーヨー・マさんのドボコンを聴きに。」という感じです(笑)
チケット発売当初は「ドボコンは首席チェロのセバスチャンがソリストで十分、というより、むしろセバスチャンのソロが聴きたい!」と文句を言っていたのですが、「本当に申し訳ございませんでした」とお詫びしたいです。ヨーヨー・マさんで良かったです。ここで聴くべき運命だったのだと、嬉しく思います(大げさですが)。

さて、本日のマさん。
満面の笑顔でヤンソンスさんと共に舞台に登場されたのは昨日と同じです。
ですが、気のせいかもしれませんが、マさんが乗る台(名前が分かりませんが)の向きが昨日よりも斜めっているような… 普通にマさんが座ると、正面がビオラになるのですが(汗)いえ、いいですけれども。

曲が始まりますと、「うーーーん。」という感じに目を瞑ってオーケストラの音の集中されているマさん。昨日みたいにアイ・コンタクトはされないのかしら、と思っていましたら、やはりチェロ・ビオラ・ヴァイオリン、と、皆さんに笑顔で交流を。その笑顔を見るだけで昨日のガッツポーズの光景が頭を過ぎり、思わず噴き出しそうになります(汗)
素敵なホルンが流れると、もうほぼ舞台から180度向いてしまいまして、「うん、うん。ホルン、いいよ〜」というような表情をされて聴き入られていました。管が演奏されているときは、なるべく管の方を向きたいようでした。
このホルン、とても素敵なのです(…って、これはホルンですよね?!←私、詳しくないので…)。
大好きです。少しゆっくり目のこのテンポも良いですし、胸がギュッとなって泣きそうになります。

そしてマさんの一音。
昨日は最初の数音でお顔が真っ赤になったマさんでしたが、本日は最初の数音で弓が切れました。。。 昨日の私の感想(一見乱暴に弾いているようだけれども、弓にも弦にも優しい弾き方だった、という)は一体何だったのだろう… と思いました。いえ、弓が切れても切れなくても問題はありませんが。
そしてマさんは昨日よりもさらに弾けていて、よりダイナミックな演奏をされていました。昨日は気づきませんでしたが、マさんは口を開けて演奏されるタイプの方だったのですね。情がさらに音にプラスされているような気がしました。バイエルン放送響の皆さまと息が合ってきたのでしょうか。

その後の演奏中のマさんは昨日とほぼ同じ感じで、でも演奏が大きくなっている分(力強い演奏でした)、アイコンタクトをする回数は少なかったような気がします。
第1楽章と第2楽章の間で、チェロのセバスチャンがマさんをじっと見て吹き出しそうになっていました。その時のマさんは、普通におとなしく椅子に座っていただけなのですが(爆) 笑いをこらえているのがよく分かりました。きっと本番以外の場面で、色々な楽しい交流があるのでしょうね。
このツアー。チェロ奏者にとってはかけがえのないお時間のことと思います。

本日の私の席はヤンソンスさんの動きもよく見える席でしたので、格好良いヤンソンスさんの指揮も楽しんできました♪ 指揮者のあまり目立たない(?)協奏曲でも、しっかりとヤンソンスさんは輝いておりました。素敵だ…v

演奏終了後は、昨日のようにまた 「わーーーい!」 ってマさんが(一人で)盛り上がるのかしら…と思ったのですが、それはありませんでした。

その代わりに(?)最初からセバ弟の所へ近寄って 「チェロ貸してね」 と。

そして 「ごめんね、椅子も貸してね。」 と。(セバ弟は後ろへ下がりました。)

続いてセバスチャンに 「いい? 一緒に弾こう。」 と、チェロの首席奏者のセバスチャン・クリンガーさんとアンコールを一緒に弾きました♪

セバスチャンのソロの音色を聴いたのは私はこれが初めてで(CDなどはありますが)、とても嬉しかったです。マさん、粋な計らいをありがとうございます!
このお二人の光景ばかりが記憶に残って、今はセバスチャンがどのような音色で演奏していたかは忘れてしまったのですが、お二人の息がぴったりで素敵なひと時でした。伊達に演奏中に何度もアイコンタクトをしていないわ、という感じです。しかも、主旋律はセバスチャンだったのですよね〜
バイエルン放送響は1人1人が素晴らしい演奏者で形成されているのだということを証明したかのようでした。

会場も「ほぅ〜〜〜」とため息交じりの歓声が上がり、大拍手!
おじきをするセバスチャンの顔は一瞬で真っ赤になりました(笑)
席に戻ったセバ弟からは「やったじゃん!」みたいに、ベシッっと肩を叩かれていました(そして本人以上にはしゃいでいました)。団員同士、仲がいいなぁと客席にも伝わってきました。

何度も「ブラボー!」が飛ぶ中、今度はご自身のチェロを使ってもう1曲弾いて下さいました♪
それでも拍手が鳴りやまず、大人気のマさんでした。

休憩中、
「やっぱりヨー・ヨー・マは素晴らしいわね。いつもああやって笑顔を絶やさずオーケストラの人を盛り上げて、オーケストラの人たちも楽しそうに弾くのよね。今日もコントラバスの女性が、ずっとヨー・ヨー・マのことを嬉しそうに見ながら演奏していたわよ。指揮者のこと全然見ていないのだもの(笑)」
と、お話されているご婦人がいらっしゃいました。
私の席からはコントラバスの方までは見えませんでしたが、コントラバスの方たちもマさんを見ていたのですね。マさんのお人柄が2公演しか聴いていない私でも分かるような気がしました。

それから
「あのチェロの若者もいい経験になったわよね。ヨー・ヨー・マと一緒に弾くなんて、普通出来ないわよ。」
と、セバスチャンについても話していました。
…セバスチャンも単なるチェロ奏者ではないのですよ!
ドボコンのソリストとして舞台に上がりますし(恐らく他の協奏曲も弾かれているはずです)、CDだってソロで2枚、アンサンブルで5枚くらいは出されていますしで、積極的に活動されていると思います。
でも、セバスチャンも嬉しいでしょうね〜♪ これはマさんの優しさですよね、きっと。

後半も良かったです。
お席の関係か、昨日よりも何倍も素敵な音色が私のところには届いたような気がします。幸せv
ヤンソンスさんの指揮も、やっぱり格好良いですvvv 魔法の指揮がさく裂しました。

特に葬送行進曲でしょうか(曲を覚えていないので違うかもしれませんが)、後半ものすごく盛り上がって、大音量、弱音、大音量、弱音…と、交互になるところがあるのですが、ここがものすごーーーく良かったです。ワクワク・ドキドキしてしまいました。ディズニーランドに行った時のワクワク感と一緒です。とにかくこの音に包まれることが嬉しくて、楽しくて。
2年前にマーラー第5番でキャーキャー言っていた時と同じ位の興奮でした♪
(今年はさらにブラームス第2番やチャイコフスキー第5番という楽しみが待っています!)

やっぱり音楽は素敵だ。。。と、再確認です。

後半のアンコールは1曲目が昨日と同じく 『ローエングリン』 第3幕への前奏曲。
その後、第1バイオリンの方たちが1列ずつ席を後ろへ移動したので、もしかしたら…とその空いた空間を見て思ったのですが!

ヤンソンスさんが舞台へ登場して指揮台に立ち、その後 「早くおいでよ!」 と、扉の奥に向かって呼びました。

そうなのです♪
そこには恥ずかしそうにちょこんとチェロを持ったマさんの姿がv
こそこそっと出てきて、席をオーケストラの人たちの間に移動させて、昨日1曲目に演奏されたハイドンのセレナーデが始まりました。

昨日は一部のバイオリンの方たちが主旋律を弾き、残りのバイオリン、チェロ、ビオラの方たちはずっとピチカート。バイオリンとビオラはギターのように横に持ってポン、ポン、と弾かれていました。

その最初の主旋律をマさんが。途中から昨日同様バイオリンに変わり、マさんはピチカート。最後はマさんとバイオリンで一緒に主旋律…という具合でした。
チェロとバイオリンって音の質が違うな〜(どちらも良いです♪)と感じました。
特にマさんの音色は優しさに溢れていて、思いがけないプレゼントに感激しました。

会場、大拍手! マさんはヤンソンスさんを立てて、前へ出ようとしませんでした。2ndバイオリンの方の横にずっと(オーケストラの一員として)立っていました。もう、バイエルン放送響に入団してしまえばいいのに(笑)

とても楽しいひとときで、ホールを出る時に時計を見ると、21時40分でした!
最初から最後までマさんの魅力に溢れた、マさんのためのコンサートだったような気がします。
マさんとの公演はあと1回。オーケストラとの交流はより深まっていると思いますし、どのような舞台が繰り広げられるのか、今から楽しみです。

2009年11月14日 記

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