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関西フィルハーモニー管弦楽団 第214回定期演奏会
完全無欠の弾き振り! デュメイと紡ぐ古典美  現代の叙情詩人
【 2009年9月11日(金) at ザ・シンフォニーホール 】
指揮・ヴァイオリン独奏:オーギュスタン・デュメイ / ピアノ:ヴァネッサ・ワーグナー


■ メンデルスゾーン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲 ニ短調
■ ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22

アンコール
■ ショパン:ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op64-2  ※ ヴァネッサ・ワーグナー独奏

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■ シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44 第1楽章
■ メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調 作品90「イタリア」
1年ぶりの大阪シンフォニーホール。1年ぶりのデュメイさん+関西フィルさんのコンサートです。
ホールに入ると関西フィルさんの関係者の方々(だと思うのですが)が、「ようこそ!」とお出迎えしてくださるのが印象的でした。

定期公演は開演10分前にその日の指揮者によるプレトークがあるのがお決まりなようなのですが、本日はデュメイさんのご意向で無しとのこと。変わりに事務局長の西濱さんがお話して下さいました。また、プレトークが無い変わりに 後半の最初にシューマンのピアノ五重奏第一楽章を演奏し、室内楽者としてのデュメイさんのお姿も楽しんでいただきたいとの事でした。(そういう客席に対する気配りが素晴らしいですね、関西フィルさんは!)

個人的には通訳を介して話されるデュメイさんのトークよりも、事務局長さんのお話のほうがいいなと思いました。確かにデュメイさんのお話はどんな内容であれ聞きたいですけれども(!)、それ以上に事務局長さんのお話から得るものは沢山あると思うので…面白いし、声もいいし、言葉が柔らかいし、サービス精神旺盛な方ですので(って、昨年少しお話を聞いただけの感想ですが)大満足でした。大変頭の良い方だと思いますし、関西フィルを、そして関西のクラシック界を何とかしなくちゃ!と常に考え行動されている方に思えます。だからこそデュメイさんと関西フィルさんのこういったすごいご縁が生まれたのだと、この方のお話を聞くたびに思います。関西フィルさんは、良い方をトップにお持ちだなぁとクラシック抜きに普通の「組織」と考えても羨ましく思いました。(これはコンサートの感想とは全然関係無しです!)

話の内容としては、この1曲目はメンデルスゾーンが14歳の時に作った曲だという曲の説明。そして、1年前からデュメイさんは関西フィルを世界のアーティストと共演させる機会を作りたいと言われていたそうで、今回デュメイさんの親友のダニエル・バレンボイムさんから「彼女を日本の人たちに紹介してくれ!」と頼まれ バレンボイムさんの秘蔵っ子ヴァネッサ・ワーグナーさんをお呼びしたとの事でした。ワーグナーさんは今回初来日だそうです!

舞台には中央にピアノ、そして名古屋と同じように回転する丸椅子と譜面台、ピアノの奥にももう1つ譜面台がありました。ということは、デュメイさん椅子に座ったり立ったりされるということなのね・・・と初めて見る光景に益々期待が高まりました♪

関西フィルさんに続いてデュメイさんとワーグナーさんが登場!
デュメイさんは名古屋と同じ上下黒のスーツです。
きゃ〜っ!!! ワーグナーさん めちゃめちゃ可愛いのですがv そしてウエスト細い〜vvv
(デュメイさんとワーグナーさん、お二人並んでとても良い感じ♪)
ワーグナーさん、CDジャケットの少し気品があり近づきづらいような雰囲気とは違います。優しさ溢れるいくらでも近づけてしまう(というか近づきたくなる)空気をお持ちの方に感じました。背中側が上から下へのチャック式のような服になっていて、腰の部分でチャックについた長めのリボン(?)が2本ヒラヒラしているのが印象的でした。
(目的のデュメイさんよりも、演奏中もついワーグナーさんを見てしまう自分が悲しかったです… でも、本当に可愛かったのです!)

1曲目はメンデルスゾーンのダブルコンチェルト。
4月にネットラジオで聴いた ピエタリー・インキネン指揮、ピアノがルイ・ロルティさん、ヴァイオリンがデュメイさんでの演奏が忘れられず、とても楽しみにしていました。
思わず顔が緩んでしまいます♪

始まり―――
デュメイさんは指揮者の立ち位置で指揮されていました。

「好き」と騒いでおきながら今更なのですが。これは弦楽器とピアノの曲だったのですね!
管楽器が無いとは知りませんでした。
ですので、出だしはどうも曲という感じがしませんでした(あくまでも個人的な感想ですので)。以前、アンサンブル・ラロでシューベルトの弦楽五重奏を聴いたときに感じたものと同じ気持ちが蘇ってきました。少し残念と言いますか… やはり弦だけだとメロディーが作りづらいのでしょうか。
もしかしたら私の席の問題もあるのかなぁ…なんて思いながら、頭の中で自分も一緒に歌いながらメロディーにしていきました。

今思うと、席の問題って大きいと思います。今回、お席が空いていなくて前の方になってしまいましたので上手くまとまった音が届かなかったのかもしれません。

そして、ワーグナーさんのピアノが入り (いい感じ!)、デュメイさんのヴァイオリン (最高!)。

ピアノが入るとメロディーになります。そしてデュメイさんのヴァイオリンはいつも必ず音楽を奏でてくれます。そうなると、関西フィルさんの音色も「音楽」してきた感じがして…(偉そうで すいません)
デュメイさんは舞台の奥へ行って指揮をし、ヴァイオリンパートの時は手前の椅子に座ってヴァイオリンを弾かれていました。
デュメイさんのヴァイオリンはとてもパワーがあって、それでいて美しくて。いつも何度も言っていますが私は大好きです。言葉では表せないのですが、ものすごく伝わってくる「何か」があるのです。

その気持ちは変わらないのですが、今回のこの曲… 私は「感動した」というよりも「楽しかった」という気持ちのほうが大きかったです。
始まるまでは想像もしていなかったのですが、まるで「デュメイさん小劇場」みたいでした(汗)
>色々なデュメイさんの一面を見ることが出来て嬉しかったのですが。。。

ソロでヴァイオリンとピアノが入り「音楽」してきたなぁという感じになると、とたんに関西フィルさんの演奏がまとまってきました(冒頭とは全然違う!)。コンサートマスターさんを中心として、1つにまとまっているのがすごく伝わってきたのです。この団結力というか熱気がすごく良い感じで、皆さん1人1人が格好よく見えました。それだけではなくて、音も美しく輝いていました。デュメイさんの影響かもしれませんが、関西フィルさんの弦の音色はとても美しくなったように思います。

そしてワーグナーさんは着実にご自身のピアノを弾き通されていて、こちらもこちらで良かったです。細かく言ってしまうと、私の好みとは少し違う弾き方をされる方でした(溜めの長さとか、指の流れ具合とか)。ネットラジオでデュメイさんとのリサイタルを聴いたときも少しそれを思ったのですが、でもそれはとても小さな感想で、目の前のワーグナーさんは良かったです。

デュメイさんのヴァイオリンは最高、ワーグナーさんも良い、関西フィルさんも良い演奏されている… と、個々それぞれがとても良い状況なのに、この曲全体を遠くから考えてみると、うーーーん…という感じでした。この曲に対しての思い入れが強すぎたということもあるのですが、きっと私の中での原因はデュメイさんです。
デュメイさんが御1人でとてもテンパっているように感じました(汗)
初来日のワーグナーさんを引っ張らなくちゃ、関西フィルさんを引っ張らなくちゃ、と、子育て奮闘中のお父さんのようでした。
でもデュメイさん。それ程心配しなくても、ワーグナーさんも関西フィルさんも素敵な演奏されていますよ!って言いたくなってしまいました(苦笑) 強いて言えば一番乱れていたのはデュメイさんのヴァイオリンだったような気が…(でも素敵ですよ!)
また、この曲は弾き振りするにはちょっと忙しすぎる曲かな、とも思いました。椅子を使われていたので余計にそう感じたのかもしれません。見ているこちらが落ち着かないといいますか。

とにかく、デュメイさんはものすごく気合が入っていて、それが最初から最後までずっと伝わってきたので、マイナス的な言い方をしてしまうと強弱が無かったというか、聴き終わった後にちょっと疲れてしまったというか、でも皆それぞれは素敵でした♪ という、大変複雑な感想を持ちました。

2曲目の後にワーグナーさんのアンコールが。
客席も恐らく舞台上の関西フィルさんも、ワーグナーさんの可愛らしさに微笑みっぱなしでした!
ピアノに関しては、私にはよく分からない世界ですので良いとか悪いとかの感想はないです。ですが、他の方のブログ等を拝見した限りでは、通常より速めに弾かれる方のようです。

後半は 思いがけずのプレゼント、シューマン ピアノ五重奏 第1楽章です。
この感想については、13日のコミュニティコンサートの際に語りたいと思います。この日の演奏はデュメイさんの音ばかりが耳に入ってきて(何度も言いますがお席の関係かと思われますが)、アンサンブルとしては微妙な感じでした。

続いてデュメイさん指揮、関西フィルさんでメンデルスゾーンのイタリア。
昔どこかで読んだ記憶が正しければデュメイさんは198cm。もちろん指揮台はいりません。
デュメイさんの周りにザーーーっと囲んでいる関西フィルさん。この光景がたまらなく格好良かったです! デュメイさんと1列目の方との距離感とか、照明の当たり具合とか、何もかも。

演奏もすごく良くて! 関西フィルさんってこんな演奏をされるオーケストラだったかしら?! と、自分の中でものすごく好感度が上がりました。
(やはり先程のダブルコンチェルトはデュメイさんが足を引っ張っていたのではないかと…)

これは、デュメイさんの指示が良いのか(だとしたら、デュメイさんは素晴らしい指揮者なのですね)、関西フィルさんの腕と団結力が素晴らしいのか、それとも両方なのか、私には分かりません。
最後まで大変楽しく聴かせていただきました。「すごいなーーー。」という気持ちで一杯でした。

終演後の出口では、今回の公演のスポンサーである大塚製薬よりSOYJOYが配られました。
わーい! まるでラ・フォル・ジュルネのようでした(笑)

そしてデュメイさん、ワーグナーさんにサインもいただいてきました!>きゃ〜っ!!!
お隣に同じフランス人のワーグナーさんがいらっしゃるせいか、デュメイさんお疲れのご様子もなく(もしかしたらお疲れなのかもしれませんが)大変にこやかでした。この御2人の組み合わせは周りを和ませてくれるような、そんな雰囲気でとても良かったです。

Debussy
ワーグナーさん。
自らブックレットを取り出し 1枚めくり、スラスラ…とメッセージ入りで書いて下さいました。「この場所に書く」と決めていらっしゃるのでしょうね。バランスいいですよねーv

Brahms piano trio
そしてデュメイさん。
これは話が春に戻るのですが、ピリスさんが今春来日された際に なぜかたくさんサインを書いて下さった日がありまして、そのひとつがこのCDです。ブックレットとディスク 両方に書いて下さいました。
デュメイさんは大変真面目な方のようで、これを見まして デュメイさんも丁寧にブックレットとディスクに書いて下さいました。>ありがとうございます。嬉しいです。

―― このサインを見て、ピリスさんの あの素敵な笑顔が蘇って来ましたv

ピリスさん、デュメイさんと大変御2人でパランス良くサインを書いて下さいましたが、でもこのアルバム。ブラームスのピアノトリオなのですよっ! (デュメイさんのアルバムの中で5本の指に入る位、私が大好きなアルバムです。)
いつかジャン・ワンさんに締めていただこうと思っています。でも、ほとんどもうスペースありませんけど… これを差し出した時、ワンさんは一体どこに書いて下さるのでしょう。

この日に関西フィルさんの2010年のスケジュールが配られまして(表紙が格好良いのですよ♪)、それによるとデュメイさんは3月11日(木)に弾き振りでベートーヴェンのvnコンチェルト(弾き振りですか?すごくないですか?!)、9月10日(金)がシンフォニーホール、9月14日(火)がサントリーホール(!)でガラコンサートをされるそうです。来年は2回来日されるのです! しかも、関西フィルさんと一緒に東京でも演奏されるのですよ!
関東の皆で この組み合わせの世界を楽しむことが出来るかと思うと、今から大変楽しみです。
昨年とは全く違った(と思います)関西フィルさん。来年はさらにどのような魅力あふれるオーケストラになられるのか、こちらも楽しみになりながらコンサートホールを後にしました。

2009年9月15日 記

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