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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2009
前夜祭 スペシャルコンサート

【 2009年5月1日(金) at 東京国際フォーラム ホールA 】

小泉和裕 指揮 / 東京都交響楽団
■ ベートーヴェン:交響曲第5番 「運命」 第1楽章
■ モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 第1楽章
  (vn:矢部達哉 / va:鈴木学)
■ ドヴォルザーク:交響曲第9番 「新世界より」 第4楽章
■ シューベルト:交響曲第7番 「未完成」  第2楽章

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ジャン=ジャック・カントロフ 指揮 / シンフォニア・ヴァルソヴィア
■ ヴィヴァルディ:「四季」 作品8より「春」「夏」
  (vn:ネマニャ・ラドゥロヴィチ)
■ J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BMW1042
  (vn:パヴェル・シュポルツル)
本日は すみだトリフォニーホールでマリア・ジョアン・ピリスさんのベートーヴェンのピアノ協奏曲(2曲)という、とても魅力的な公演がありました。
ですが、私はこちらのラ・フォル・ジュルネの前夜祭を選びました。
連休前の月初ですし何かの時は仕事を優先したい、でも公演に行けなくなくなった場合の精神的なダメージが少ないようにしたい、と思ったからです(ピリスさんの公演だったら後悔してもしきれませんから…涙)。ピリスさんの協奏曲はすごく聴いてみたかったのですが。

と言っても、この前夜祭もとても楽しみにしていました。朝から「ここまできたらもう連休に入ったも同然だ」くらいの気持ちでしたし(!)、頭の中は東京国際フォーラムのことで一杯でした。

ホールAの入口の人だかりを見て「ああ、今年もこの季節がやって来たのだな」と実感しました。
もう、ワクワクしますよね〜v 楽しいですねv 嬉しいですねv

本日は前夜祭ということで、曲の間に司会の朝岡聡さんとルネ・マルタンさんのお話が入りました。個人的にはこの曲間のトークは必要ないと感じました。でもトークがなければただのコンサートですね(苦笑) 朝岡さんのお話しするトーンは元気過ぎて、仕事帰りの私の疲れた体にはキツかったです。こちらが同じテンションまで持って行けないといいますか。これからクラシック聴くぞ〜という空気とも合わなかったかな、と。トークショウだったら、とても楽しくためになるお話が満載で良かったと思うのですが。少し疲れてしまいました。
ラ・フォル・ジュルネのお祭りはクラシックを聴くというよりも一種のエンターテイメント的な催しだと思うのですが、それを象徴しているかのようでした。本気で音楽の世界を楽しみに行ってしまうと、周りの騒音やマナーが気になったりしてなかなか楽しめることが出来ないのですよね。>分かってはいるのですが、やはりちょっとムッと来るときとかあります(ははは) 本気は禁物です。大きな気持ちで楽しまないと、というのが今までの経験で勉強したことです。

前半は、これまでのラ・フォル・ジュルネのテーマを都響さんの演奏で振り返る、というものでした。
都響さんと言いますと、私にとってはやはり昨年のデュメイさんのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲! 1人で思い出してきゃ〜っv って気持ちになっていました。デュメイさんとのベートーヴェンの記憶は私の宝物です。
しかも1曲目はそのベートーヴェンの運命ですよ。ベートーヴェンつながりです。わーい♪

ところが、です。
ホールAの魔力(悪い意味で)といいますか… 音が客席まで届かないので、曲そのものはいい曲だなぁと思いますがそれ以上のことは何も起こらず、吸収出来ず、と言った感じで。
この大きな多目的ホールの恐ろしさを改めて思い知らされました。きっと他のホールで聴けば素晴らしい演奏だったのかもしれません。いくら好きな演奏家がホールAで演奏したとしても、私はここでの公演は避けたいと思いました。勿体無いという気持ちが強くなってしまうので。
プラス、指揮者の小泉さんの作りだす曲のイメージがちょっと私の好みとずれているような気が… あっさりし過ぎていると言いますか、良い悪いでは無くて個人的好みの問題です。どれを聴いても「ちょっと違うかなぁ…」のような気持にしかなれませんでした。

2曲目のモーツァルトもソリストの音色が聴こえず(涙) 矢部さんは次の曲からコンサートマスター席に座られて、オーケストラの一員として弾かれていました。恐らくヴィオラの方も戻られたのだと思います(私の席からは確認出来ませんでした)。
3曲目のドヴォルザークは、この曲って曲そのものも素晴らしいのですが、聴いているうちにドヴォルザークが作曲していた時の気持ちにまで聴き手も遡れるというか、すごく深いところまで曲に入り込むことが出来て、心が熱くなって… となるはずなのですが(私は)、今回はそうはなりませんでした。
都響さんの演奏が…というよりも、やはりホールのせいだと思います。

15分間の休憩の後は「バッハ」のプログラムとなりました。
1月にフランスで開催された時と同じ「バッハ」が今年のテーマではありますが、フランスと東京とでは少し内容が違うのだそうです。フランスはバッハ自身と過去10年に渡る作曲家たちを取り上げたとのこと。東京ではバッハ自身とバッハは楽譜をたくさん蒐集していたのだそうですが、そのバッハが集めていた作曲家たち(ヴィヴァルディなど)の作品を取り上げるのだそうです。
単に楽譜を集めていただけでなく、その楽譜を違う楽器で演奏できるように書き直してみたり、またそれを元に作曲してみたり…と色々な方向にバッハは膨らませていったのだそうです。その1つが本日最後の曲、ヴァイオリン協奏曲第2番。バッハの曲はその後ほとんどが埋もれていき演奏されなくなったのですが、この曲は昔から今に至るまでずっと皆に愛され続けてきた完成度の高い曲だということです(そのようなお話をマルタンさんと朝岡さんはされていたと記憶しています)。

後半の シンフォニア・ヴァルソヴィアは素晴らしいオーケストラですよね!
ラ・フォル・ジュルネで聴くのをいつも楽しみにしております(あとオーヴェルニュ。この2つのオーケストラが私は好きですv)。
そして今回指揮者のカントロフさんは、演奏を聴いたことはありませんがお名前は良く聞くフランスのヴァイオリニストの方。ちょっとカントロフさんのヴァイオリンも聴きたかったなぁとは思うのですが。
というか、カントロフさんが来るなんてすごくないですか?!
そしてソリストが元気一杯のネマニャ君と青いヴァイオリンが気になるシュポルツルさん。

ああ、この場所がホールAでなければ最高なのに…(涙)

何度思ったことか。この2曲はそれぞれ違った意味で、大変素晴らしい演奏だったと思います。音がもったいなかったです。

聴きなれたヴィヴァルディの四季ですが、カントロフさんの作り上げた世界は今まで聴いたことのないようなものでした。アンネ・ゾフィー・ムターさんの四季も他の演奏家とは違った世界で私は惹かれましたが、カントロフさんはまた違った物語性があると言うか。音の強弱、テンポのバランス。全て細かな計算をした上でのこの世界だと思うのですが、オーケストラ、そしてソリストのネマニャ君がきちんとそれを表現していることがすごいと思いました。ネマニャ君独特の激しい表現力が、カントロフさんの世界と合っているのですよね(笑) こんな所でテンポ落としてしまうの?! とかここ、速すぎ! とか。でもこの世界もアリだよな、と納得してしまう。大変楽しい四季でした。
この公演を取られている方、驚きの世界が待っていますよ〜!!!>おすすめの公演です♪

そしてシュポルツルさん。なぜ青いヴァイオリンなのでしょう…
見た目で想像すると、他の演奏家と違って破天荒な(ネマニャ君以上の)弾き方とかされるのかなと思っていましたが、実際は「正統派」と言った感じで、安心して音楽を聴くことが出来るような、嫌みのない素敵な演奏でした。どちらかというと、私は「好き」なタイプの演奏でした♪

これからまたドキドキ・ワクワクな3日間がやって来ます!
昨年は個人的にはダルベルト先生一色のラ・フォル・ジュルネでした(大満足でしたv)。今年は先生のお姿はありませんが、悔いのないように楽しんできたいと思います。

2009年5月2日 記

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