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マリア・ジョアン・ピリス ピアノ・リサイタル
【 2009年4月19日(日) at 武蔵野市民文化会館 大ホール 】
チェロ:パヴェル・ゴムツィアコフ


■ F.ショパン / A.グラズノフ編:エチュード 第19番 嬰ハ短調 op.25-7 ※チェロとピアノ
■ F.ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
■ F.リスト:悲しみのゴンドラ S.134 ※チェロとピアノ
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■ F.ショパン:マズルカ ト短調 op.67-2
         マズルカ イ短調 op.67-4
■ F.ショパン:チェロとピアノのためのソナタ ト短調 op.65 ※チェロとピアノ
■ F.ショパン:マズルカ へ短調 op.68-4
久しぶりに会場に行くまでの間がドキドキしたコンサートでした。
友人と一緒に行ったのですが、遅刻魔の私には珍しく待ち合わせ時間の15分前に着いた位、気合いが入っていました! 前日はそわそわしてあまり眠れなかったですし。

何と言っても2年ぶりのピリスさんです!!! (曲目がショパンというのが心配でしたが…)

武蔵野市民文化会館のコンサートはお値段が都心の半額以下ということで有名です。発売初日の電話はつながらず、つながってもすでにSold outだったりしてなかなか買えないのですよね。
今回は、一緒に行った友人の友人がチケットを取って下さったそうなのですが、どうやって取ってくれたのだろうねー、不思議だねー、すごいねー、と話しながら会場まで歩きました。お席も良い場所だったのですよ! お二人の姿がよ〜く見える中央の席です。もう、大感激&大感謝ですv

「平日に時間のある人でないと、ここのチケット取れないよねー、不公平だよねー」と言っていたのですが、席に着いてみると周りの年齢層はかなり高めでした… やはり電話がつながる方というのは、昼間にお時間の作れる方なのだなぁと実感しました(皆様 昔からのピリスさんのファンの方で気合いが入っていたのかもしれませんが)。

本日の公演は「ショパンへのオマージュ」ということで、曲間の拍手は無し。
最後のマズルカop.68-4はショパンの最後の作品ということで、演奏後に作曲家に敬意を表して沈黙し、本日アンコールはしない、というような説明がパンフレットに書いてありました。
2年前のコンサートも曲間の拍手は禁止でした。ピリスさんはコンサートの「流れ」というものをとても大事に、またそれだけ真剣に考えてプログラムを作っていらっしゃるのだなぁと思いました。

舞台に向かって右手に椅子が2つ。テーブルの上にはお水が置いてありました。
チェロのゴムツィアコフさんがピリスさんのソロの時に休むための椅子です(笑) そして、後半のチェロとピアノのソナタの時は譜めくりさんがいましたので、その方のための椅子でした。
今回はピリスさんもゴムツィアコフさんも、一度もお水は飲まれませんでした。

流れ的に、曲と曲の間をあまり空けないようにされていたようで、ピアノソナタ第3番の最後の盛り上がっている時にゴムツィアコフさんは大きなチェロを抱えてご自分の位置にそろり、そろり、とピアノの後ろ側から移動されていたのは新鮮でした。
後半のショパンのマズルカの時は、完全にピアノの前から移動されていました。演奏中に何て大胆な。演奏よりもこっちが気になってしまいますよね(笑)
ラストのマズルカはゴムツィアコフさんも譜めくりさんも移動せずにそのままピリスさんの演奏を聴かれていました。

今回のプログラムはショパンの亡くなる前の3年間に作られた曲を集めたものだとのこと。「別れの曲」とか「ノクターン」とか私でも知っているような曲が1つもありません… それだけに余計に曲というよりもピリスさんの気持ちが伝わってきたような気がしました。

ピリスさんのアルバムで予習して行ったソナタ第3番。
CDとは全然違う雰囲気で、びっくりしました。生演奏の方が(当たり前ですが)こちらに伝わってくる情報量がたくさんあります!
第3楽章は安らぎ…といいますか、ピリスさんの心がものすごく広く感じて、聴き手の私たちはそこへ飛び込んで行ってもいいのだ、という気持ちになりました。聴いていて安心感がありました。気を抜くと眠ってしまいそうでした。あまりにもリラックス出来たので。
続く第4楽章はピリスさんのリズムに乗って気持ちがかき立てられるような感じ。先程のリラックス感とは対照的に気持ちが引き締まるような思いがしました。

この曲が終わったら、本当は思いっきり拍手がしたかったのですが…(素晴らしくて)、でも今日は出来ないのです(苦笑) 皆で気持ちを抑えて次のリストの曲へ。

リストの「悲しみのゴンドラ」が終わり休憩へ入ると、友人が「何か飲み物飲みたいね」と。
…はい、私も全く同じ気持ちでした。

初めて聴いたリストの曲でしたが、チェロの音色も曲調も、とにかく睡魔が襲ってくるのです〜
私の左隣は空席でそのさらに隣の方からのいびきは聞こえるし、私の前はやはり空席で(なので視界は抜群でした)そのお隣の方の頭は45度位傾いていましたし。私の周りの皆様ほとんどが別の世界を旅されていました…

チェロの音色も色々あると思うのですが、ゴムツィアコフさんの音色って気持ちが良くて、最初の一音聴いただけで眠れるのではないかと思う位なのです。後半も睡魔と闘いました。一応、覚えていった曲だったのですが、そんなのは関係無いようで(汗)

休憩中、友人が「ピリスさんはチェロとの演奏の時、とても演奏者を活かす弾き方をされる人だね…」と言っていました。2年前のリサイタルの際も、別の友人が同じようなことを言っていました。
ソリストが伴奏者になると、ピアノが勝ってしまうことがよくあると思うのですが、ピリスさんは「ピアノの役割」というものをよく御理解されている方なのだなぁと改めて感じました。そして、それを聴き手の私たちは言われなくても肌で感じることが出来るのですよね。素敵な演奏家ですね!

乱れた筆跡で激しく音符が書き付けられたというショパン最後の曲、マズルカ op.68-4。
最後の曲はこんなに短い曲だったのですね(ピリスさんのアルバムにも収録されていますが、いつも聴き逃していました)! もっと悲壮感が溢れているのかと思いましたが、そういう感じでもなく。シューベルトの最後のソナタと比べても全然雰囲気が違うなぁと色々発見が多かったです。

曲そのものの良さについては1度聴いただけでは分かりませんでしたが、ピリスさんのこの曲に対する思いと集中力が伝わってきて、この曲だけは睡魔とは無縁でした。
演奏後にはホールの照明が落ち、しばらくの静寂。
今日はショパンに捧げるためのコンサートだったのだなぁと、パンフレットに書かれていたピリスさんの意図を受け止めることが出来たような気がします。

ホールが明るくなり、会場一杯の大きな拍手!
ショパンの世界へ小さく一歩近づけたような気がしました。

演奏後はどうしてもピリスさんの笑顔にお会いしたくて、友人誘って楽屋口へ!
本日の楽屋口はおじ様率が高かったです。サインをいただいて出てくる人、皆、笑顔・笑顔!

チェロのゴムツィアコフさんはとても真面目で優しい方に感じました。
2年前はスタッフの方と一緒に立ってピリスさんを待っていたのですよね。
今年はピリスさんと一緒にアルバムを録音されていますし、NHKスーパーピアノレッスンにも参加されていましたし、こちらの見る目も違います(笑)

ピリスさんは本当に素敵な方で、笑顔も間近でたくさんいただいて、私も元気が出ました! ピリスさんの笑顔は人を幸せにします! ピリスさん大好き!!!

スタッフの方は「出来ればサインは御1人様1枚で…」と言いたいところだったと思うのですが(疲れていらっしゃると思いますし)、ピリスさん、ジャケットにもCDにも次々サイン書いて下さって(同じものなのですが)、こんなにたくさんいただいていいの…?! という結果に。
理由は分からないのですが、私5つもサインいただいてしまいました(汗) ありがとうございました。

何はともあれ、とても素敵なコンサートであり素敵なピリスさん&ゴムツィアコフさんでした♪

ショパンのアルバムです♪

2009年4月19日 記

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