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川田知子 ヴァイオリンリサイタル
【 2009年2月28日(土) at サントリーホール(ブルーローズ) 】
ピアノ:ダイアナ・ケトラー


■ モーツァルト:ヴァイオリン ソナタ 40番 変ロ長調 K.454
■ ラヴェル:ヴァイオリン ソナタ
■ ショーソン:詩曲
■ フランク:ヴァイオリン ソナタ イ長調

アンコール
■ ラヴェル:ハバネラ形式による小品
■ ファリャ:スペイン民謡による組曲より 第6番 JOTA
ダイアナ・ケトラーさんファンの友人から「急に用事が出来たので…」と、チケットを前日にいただいて川田知子さんのリサイタルへ行ってきました♪
今日は会社の勉強会もあったので18時開演に間に合うのだろうか…と心配でしたが 勉強会が予定よりもかなり早く終わりまして、夕食まで取って余裕でホールに着きました(良かった)。

ダイアナ・ケトラーさんと言いますと私の中では「川畠成道さんのピアノ伴奏の方」というイメージもありましたが、今は何といっても「アンサンブル・ラロのメンバーの1人」という存在です。そして川田知子さんと言いますと、「そのアンサンブル・ラロと一緒に素敵な室内楽を演奏して下さったヴァイオリニストさん」という認識です。昨年のびわ湖ホールでの演奏は素晴らしかったです。

舞台に川田さんとダイアナさんが登場! 御2人がとても懐かしく感じました。
私の2列前の席に座った男性が背の高い方で、丁度中央に立たれた川田さんとダイアナさんの姿を嘘みたいにまるっと見えなくしてくれたので(汗、本当に何も見えませでした…)、今日は音をたっぷりと楽しませていただきました。なので、写実的な感想は今回無いのです…

1曲目のモーツァルトから、川田さんのヴァイオリンの音色がホール一杯に響き渡りました。川田さんのヴァイオリンって伸びがいいと思います。力強さもあるのかもしれませんが、気持ちの良い位に私の耳に届きました。川田さんの音色は美音とは違いますが、私の好きなタイプですv

ラヴェルのヴァイオリンソナタは私のお気に入りの曲で、今まで生では2回位しか聴いたことがありません。プログラム見て、とても楽しみにしていました。
この曲、テンポの取り方とか結構難しい曲でもあるのですよね… 自分との感覚が演奏者と合うか合わないかで演奏の印象もだいぶ変わってくるかと思います。私は最初、川田さんとダイアナさんのテンポにちょっと好みが合わなくて(でも御2人の音色は素敵でした)残念だな…と思っていたのですが、第3楽章最後の私の大好きな数10秒間。

この部分の御2人の演奏がすごかった…!!! 思わず、鳥肌が立ってしまいました。

ピアノが格好良い旋律を鳴らして、ヴァイオリンがリズムを刻むのですよねv
我儘言えるのなら、この部分を5回位リピートして弾いていただきたかった位です(笑) リズムも音量も音色も最高でしたv 最後の最後で御2人のラヴェルの世界に引き込まれてしまいました。もっと長時間に渡ってワクワクしたかったです。2人とも最高でした!
素晴らしいな…と気づいたらすぐに演奏が終わってしまうなんて。

ラヴェルの余韻に浸りながら大変気分の良い休憩時間を過ごした後は、先日川畠成道さんのオーケストラ版でキャーキャー言っていたショーソンの詩曲。これも大好きな曲です(今日のプログラムは全部良かったです)。
ダイアナさんのピアノが悪いというのではなくて、ピアノ伴奏版の詩曲ってオーケストラ版に比べてかなり世界が小さくなりますよね。それは今日も同じでした。
ソリストの表現する世界がこの曲ってとても深いものなので、脇でその世界を支えるにはやはりオーケストラで無いとだめだと思うのです。ピアノ1台では、ヴァイオリンの迫力を支えることは出来ない(つり合いが取れない)と。私が勝手に思っていることですが。
川田さんのヴァイオリンはすごく伸びて、鳴っていましたので、ダイアナさんの伴奏に合わせて私もオーケストラパートを心の中で歌って(アホだ…)、一生懸命ヴァイオリンの旋律を支えてみました。そうしたら、自分の中でとても素敵な詩曲の世界を作り上げることが出来ました。
川田さん、素晴らしい演奏でした! (出来れば川田さんのこの詩曲をオーケストラ伴奏で聴きたかったなぁと。)ますますこの曲が好きになりました。

ラヴェルも良かったのですが、自分の中では 「詩曲ラヴェル」 のようなテンションになりました(笑)

最後は聴きなれた(でも最近聴く機会があまり無い)フランクのソナタです!
フランクのソナタと言いますと、数年前の川畠成道さんの宇和島公演でダイアナさんの伴奏で聴きました。ダイアナさんの伴奏はとても力強くて、メインの川畠さんの音色に勝ってしまう時があったのですよね… なので、川畠さんのファンの間ではその力強さは賛否両論です。好みが2つに分かれています。

曲が始まった時、ダイアナさんの伴奏を聴いて宇和島公演のことが一気に蘇りました。ダイアナさんはあの時と同じく、力強くフランクの世界を表現されたのです!

…ですが!

川田さんのヴァイオリンはダイアナさんに負けない位に(むしろ勝っている?!)力強いので、それはもう素晴らしい2人の世界を聴くことが出来たのです!!!
フランクのソナタってこんなに聴きごたえのある曲だったっけ…と、最初から最後まで曲に入り込んでしまいました。ダイアナさんのピアノって本当に素晴らしいのです。ヴァイオリンとの相性が良ければこんなにすごいことになるのだな、と驚きました。
私の中では、宇和島公演がやっと終わったような気がしました。
これほどのフランクが聴ければ、もう大満足ですよ。何がすごかったのか自分でも良く分からないので(その場の空気がすごいと言いますか)言葉に表すことが出来ないのですが、とにかくすごかったです。自分の中では一気に 「フランクのソナタ詩曲>ラヴェル」 な気持ちに。

演奏後にサイン会がありましたので、もちろん並びました(笑)
フランクのソナタの感動と感謝の気持ちをとにかくお伝えしたくて。久しぶりにサイン会の列に並びたくなったコンサートでした。

そして川田さんにはもう1つ。昨年のアンサンブル・ラロとのシューベルトの弦楽五重奏を聴いたことによって、この曲が大好きになったことも。第一ヴァイオリンの川田さんが素晴らしかったことって影響が大きかったと思うので(姫路でのサッシャの第一ヴァイオリンも良かったのですが)。

そうしたら「アンサンブル・ラロは今年武蔵野に来ますよね!(私は参加しませんが)」と。

「ほ…本当ですか?!」

「今日のチラシに入っていますよ♪」

…感涙。今年の10月にアンサンブル・ラロは武蔵野に来るのです! やったーーー!!!
頑張って聴きに行きたいと思います。サッシャに、ダイアナさんに、ベルンハルト直樹さんに、ポポヴィッチさんの演奏に会いに。チケット取れるかなぁ。
しかもサッシャは知らない間にユリア・フィッシャーさんのアルバムにバッハのダブルコンチェルトを録音されていました… びっくり。

良い演奏を聴いただけでなく、嬉しいお土産までいただいてしまった気分でした。
本当だったら友人が今日の感動を味わうはずだったのに、私がこんなに楽しんでしまって申し訳ないような。友人にはとても感謝しています。ありがとうございました。

川田さんのヴァイオリンは、こちらの心にとても届く何かがあるので ぜひまたコンサートがあったら聴きに行きたいと思います。上手い…というのとも少し違っていて、聴いていてとても気持ちが良いのです。今まで読み流しておりましたがNHK-FMなどでもよく演奏が流れる方なのですので、今度は少しチェックを入れたいと思います(やはり生演奏にはかなわないとは思いますが!)。
好きな曲がたくさん聴けましたし、演奏も良かったしでとても楽しい一時でした

2009年2月28日 記

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