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南紫音 ヴァイオリン リサイタル
【 2008年11月15日(土) at 紀尾井ホール 】
ピアノ:江口玲


■ ベートーヴェン : ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調 作品12-1
■ ブラームス : ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108
■ ラヴェル : ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
■ サン=サーンス : ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 作品75

アンコール
■ プロコフィエフ : 「3つのオレンジへの恋」より行進曲
■ ドビュッシー : 美しき夕暮れ
南紫音さんというお名前は「ロン・ティボー国際コンクール」という言葉と一緒に数年前からよくチラシで見かけておりました。現在、大学1年生(だったはず)。3月に発売されたデビュー・アルバム、そしてそれに伴うインストアイベントをきっかけに、私の中でも「ヴァイオリニスト・南紫音さん」という存在が大きくなっていき、本日のリサイタルにも(気合いを入れて)足を運ぶこととなりました♪

南さんは聴きたいなぁと思う曲をアルバムにしろリサイタルにしろ曲目として選んで下さるので、私目線では「大変センスの良い方」というイメージです。デビューアルバムにブラームスのスケルツォを入れて下さって(超大好きな曲です!)、演奏も良かったのです。ヴァイオリンの音も私好みですし、思い切りが良いと言いますかはっきりとした音楽の表現方法も聴いていて気持が良いです。

今回のリサイタルでの注目は、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ 第1番です!
一度、生演奏で聴いてみたかった曲です。この曲も大好き! 楽しみにしておりました。
ブラームスのソナタ第3番、ラヴェルのソナタ(遺作)もあります。ベートーヴェンのソナタは何番でも聴きたいですし(笑) 本当、私好みの選曲をして下さるのですよね〜v

楽しみにしていたリサイタルでしたが、本日の演奏開始時間は18時(平日ですと19時が多いのですが…土曜日だからでしょうか)。夕方に用事があった私は急いで紀尾井ホールへ向かいましたが、四ツ谷駅に着いたのが18時!>きゃ〜っ!!! 四ツ谷駅から紀尾井ホールまでは5〜10分は歩きますので、当然開演までには間に合いませんでした(涙)

1曲目のベートーヴェンの第2楽章から後ろの席で聴かせていただき、2曲目から自分の席で座ることとなりました。

紀尾井ホール。後ろから聴いていても(後ろから2列目中央の席でした)、音が素敵に響くホールですね〜v うっとりです。演奏にもホールの良さにも。
南さんはピンクのドレス。とても優雅にヴァイオリンを弾かれているように、その時は感じました。ベートーヴェンの時代の御婦人方を思い起こさせるような雰囲気です。

ところが2曲目で前の方の席で聴いて分かったのですが、南さんは庄司紗矢香さんのように 眉間に皺を寄せて1音1音を集中して出されるタイプの方だったのですね! 前回のインストアイベントでも後ろの席だったので分かりませんでした。真面目な方だと思っていたのですが、演奏する姿も本当に真面目! ヴァイオリンから流れる音にもそれがしっかりと反映されていて、力強い真っ直ぐな気持ちが伝わって来ました。

ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番。
私にとってこの曲を聴くときには、オーギュスタン・デュメイさんの演奏が必ず横に存在します。比べるとかそういうのではなく、まずデュメイさんの演奏が根底にあって そして他の演奏家の方の演奏を聴く…という感じです。デュメイさんのブラームスの3番は私にとって特別なのです。

南さんがどのようなお気持ちでこの曲と向かい合っていたのかは分かりませんが、第4楽章が圧巻でした! 昔はこの第4楽章が苦手だったのですが、今は一番のお気に入り。不思議なものです。この部分が良いと、聴き終わった後の充実感も格別です(笑)
途中で楽譜を2枚めくってしまい(わざとだったのかしら?)、ピアノとのバランスが少し怪しくなったように感じたのですが、江口さんが上手く合わせてまとめていたように感じました。私も曲全部を暗記しているわけではなく楽譜も読めませんので、あくまでも推測なのですが…(気のせいかもしれません)

前からずっと生で聴いてみたいと思っていた江口玲さんのピアノの音色。今回、やっと聴くことが出来ました! 江口さんのピアノってチューニングのために出す「ポロン…」ってところから、他のピアニストさんとは違うのですよね。テレビでずっとすごい…と思っていましたが、生も素晴らしかったです。

また、今回の譜めくりさんは男性の方だったのですが(通常男性のピアニストには女性の譜めくりさんの方が多いと思うのですが)、この方がハンサムで…! って、一体どこを私は見ているのでしょう(苦笑) 普通でしたら、南さんの演奏するお姿9割、江口さんの手の動き1割の割合の目線配分の所、南さん9割、譜めくりさん1割で見てしまったものですから、江口さんの記憶がチューニングの音出し部分の時位しか無いです(涙)何やっていたのだろう私…と、只今反省しております。

いや、でも江口さんのピアノは素晴らしく、江口さんの伴奏があってのこのブラームスの完成度の高さだったと思います。3番って1番に続いてよく演奏されますが、難しい曲だと思うのです。

ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ(遺作)。もう1つのソナタは何度か聴いたことがありますが(これも好きな曲です)、遺作の方は初めて。CDでは当たり前のように聴いていたのですが、生で聴くとこの曲はとても難しい曲なのだな…ということがよく分かりました。技術とかそういう面ではなくて、音の取り方と言いますか。普通に弾いてしまうと、曲が曲に聴こえないのです。ピアノも主旋律を弾くわけであはりませんし…
最初少し、音の並びにしか聞こえなくて(申し訳ないのですが)、それが分かりました。音が曲に代わる瞬間って何の力が働いているのでしょう。不思議ですね。でも、そういうひねりを効かせたような難解な部分がラヴェルらしいな、なんて何となく思いました。

最後の曲は楽しみにしていたサン=サーンス!
この曲はピアノも大変重要になると思うのですが、南さん&江口さんなら全然心配ありません。聴く前からそう思っていました。

大変素晴らしい演奏でした♪ 大満足です♪♪♪
ピアノが想像以上に忙しいのですね。江口さんの指の動きには圧巻(この時は譜めくりさんではなく、しっかりと江口さん見ていました、笑)! 南さんの演奏への音の合わせ方も上手いです。ぴったりでした。時々チラッと南さんを確認されたりするのですが、本当良かったです。

南さんの演奏にも力が入ります。プログラムの一番最後に持ってくることからも、気持ちも相当入れられているのではないかな…なんて想像します。もう一度聴きたいです〜v
第2楽章の後半部分が想像以上に激しい曲でした。南さんの弾き方なのか、元々そのような曲なのかは分かりませんが CDでは感じなかった部分です。会場全員、南さんのヴァイオリンに釘付け! それ位の気迫が南さんから感じられました。

演奏後は会場から大きな拍手が!
先ほどの激しい演奏とは変わって、恥ずかしそうにおとなしくお辞儀をされる南さんのギャップがまたいいです。本当、謙虚で真面目な方なのですね。

2曲のアンコールの選曲も私好みで「きゃ〜!」でした。
プロコフィエフの3つのオレンジへの恋。
世界観が大きい…と感じました。女性が弾いているとは思えませんでした。プログラムの演奏以上に力の入った弾き方で、聴き入っているとあっという間に終わってしまいました。

2曲目はドビュッシーの美しき夕暮れ。
…これはもう、私としては先日のデュメイさんのアンコールを思い出さずにはいられません!
南さんの演奏を聴きながら、失礼ながらもデュメイさんを思い出してしまいました。幸せでした。
南さんがこの曲を弾く前に、先ほどのプロコフィエフから気持ちを切り替えるために(全然雰囲気の違う曲ですし)目を閉じてしばらく集中されていたのが印象的でした。

またリサイタルがある時はぜひ聴きに行きたい、と思いました。
今後の演奏の成長の過程を追って行きたいですし(今でも素晴らしいのですが)、何より南さんの選曲に興味があります。次は何を弾かれるのだろう…と、今から楽しみにしております♪
サン=サーンスは他の演奏家でもまた聴きに行きたいです。好きな曲が一層好きになりました。

2008年11月16日 記

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