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NHK音楽祭2008 魅惑のバイオリン 魂のコンチェルト
ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団
【 2008年11月12日(水) at NHKホール 】
指揮:マリス・ヤンソンス(第6代首席指揮者) / バイオリン:ジュリアン・ラクリン


■ ブラームス : バイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 vn独奏:ジュリアン・ラクリン

アンコール
□ バッハ : 無伴奏バイオリン パルティータ 第2番 BWV1004 から サラバンド vn : ジュリアン・ラクリン

■ ブラームス : 交響曲第3番 ヘ長調 作品90
■ R.シュトラウス : 交響詩《 ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 》 作品28

アンコール
□ ブラームス : ハンガリー舞曲 第1番
□ ヨハン・シュトラウス2世 : ポルカ 《 ハンガリー万歳 》
私の『2008年ヤンソンスさん祭り』 10(月)11(火)のサントリーホール公演に続き、このNHK音楽祭で最終日となりました(早い…!)。
夜も小雨が降ったり止んだりする中、原宿駅から初めてのNHKホールへ向かいました。

…が、地図を見ても場所がさっぱり分かりません(汗)!>暗くなってくるし…
目印の代々木体育館は分かるのですが、代々木体育館を基準に右へ行ったらいいのか左に行ったらいいのか見当がつかなくて(涙) サラリーマン風のおじさま数人が向かう、右側方面に付いて行くことにしました。間違っていたら、18:30分からの奥田佳道さんのプレトークには間に合わない… そんな時間帯です。

途中でおば様に「NHKホールはこちらでよろしいのですか?」と声をかけられ、「私も分からなくてドキドキしながら前の人に付いて行っている所です…」と皆で早歩き状態(時間は迫っています!)。
たどり着いた場所はNHKホールでした…良かった。

評論家の奥田さんは以前、川畠成道さん&日本フィルのサントリーホール公演の際のオーケストラ探検隊でお話しを聞いたことがあり、その時と同じく素人にもしっかりと音楽の面白さをお伝えして下さる分かりやすい解説をして下さいました♪
曖昧な記憶しか現在残っておりませんので、詳しくは省略します。
「コンセルトヘボウ」というのはオランダ語で「コンサートホール」という意味で、日本人が普通に「コンセルトヘボウ」と言うとこの『ロイヤル・コンセルトヘボウ』を意味しますが、ヨーロッパなどでは多くの「コンセルトヘボウ」が存在するのですよ、とか、前半に登場するジュリアン・ラクリンさんはヨーロッパ(ベルリンだったかしら?)では大変人気のあるヴァイオリニストで、コンサートで初めてブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いた時の指揮者が本日のマリス・ヤンソンス氏だったのだそうですよ! とか、その他演奏曲目についても色々…

大きな拍手の中、ジュリアン・ラクリンさんと一緒にヤンソンスさんが登場!
私の目が慣れてきたのか、日ごとにヤンソンスさんが元気になられているようです(月曜日のヤンソンスさんが一番お疲れのように感じました)。

1曲目のブラームスのヴァイオリン協奏曲は私の大好きな曲!>好きな曲沢山あります〜v
一度生で聴いてみたいと思っておりました。いつもはオーギュスタン・デュメイさんの音源で聴き惚れている私です(笑)デュメイさんのブラームス、素敵なのですよ。

このブラームスも演奏が始まってからソリストが弾き始めるまでにしばらく時間がある曲です。その間は、たっぷりとヤンソンスさんの素敵な背中を見ていました。RCO(ロイヤル・コンセルトヘボウ)の音色は、相変わらず素敵です。

ジュリアン・ラクリンさんが弾き始めるや否や、私は重大な事実に気が付いてしまいました…

私、この方のヴァイオリン苦手だ…と。(ラクリンさん、すいません…)

これは演奏がだめとか下手とかそういう次元の問題ではなく、個人的好みの問題によるものです。ラクリンさんはファンの方もたくさんいらっしゃいますし、上手いのだと思います。でもラクリンさんの力強い(私には乱暴にさえ思える)弾き方、1音に対する感情の込め方、演奏されるフォーム、そして音色…すべてが私の苦手なタイプの方でした。(でも、お人柄は素敵な方のようにお見受けします♪)
弓の毛がバッサバッサ切れて行くのも、私あまり好きではないのです… ラクリンさん、よく切れるタイプの御方です。

この演奏は11/22(土)22:00〜にBShiハイビジョン ウィークエンド シアター、12/1(月)0:40〜にBS2クラシック ロイヤル シート、年末には恐らく教育テレビで放送されるのではないかと思いますので見ていただけたらと思います。そして、こういうのが苦手なんだ…と思っていただけたら。何度も言いますが決して、悪いわけではないのですよ! 好みの問題です!

とはいいつつも、やはり好きな曲なので目線はヤンソンスさんではなくラクリンさんを追ってしまいます。ああ、こういう部分でこういう風に弾くんだ…など、CDで聴いているだけでは分からない部分を勉強です。

ラクリンさんって、少し私の好きなアレクサンダー・シトコヴェツキーさん(Sasha)に似ていました。Sashaも成長すると、いずれこのようになるのかも…と思う位に(笑) 力強い弾き方も少し似ているので、Sashaはここまで弾く方にならないで下さいね、と心の中で願ったりしました。

演奏が終わると、間を入れずに「ブラヴォ〜!!!」の声。
NHK-FMで他のNHK音楽祭の放送を聴いておりましたが、毎回いつもそんな感じ。本日は楽章間の拍手が無いのがいつもと違うかな、程度で(過去2回は楽章間の拍手がありました)。
皆さん怒っていますが、このブラヴォ〜!!!って言っているおじ様方。下品極まりないです! 今の演奏の質をこの掛け声で落としているかのよう。
特に次のブラームスの3番の時なんて、ある意味犯罪ですよっ(怒)
皆の余韻をこの方たちの声で台無しにされたのですから。(この曲は、最後しーーーんとした感じで終わり、演奏の後の数秒間の無音が演奏家にとっても客席にとっても最高の宝なのですv 演奏家と客席の心が一体になる瞬間でもあります。)
後ろに座っている方はパンフレットで思いっきり頭を殴っても、誰も文句言わないと思います。椅子をけってもいいかと思います。隣の方はどうぞ足を踏んで下さい。ぜひ、次回遭遇した時はそうしていただけたらと思います。この方たちは何しにコンサートホールへ足を運ばれているのでしょうか。
何か、がっくり来てしまいますよねー。

…愚痴はその位にして。
続いて後半はブラームスの交響曲第3番。
私はこの曲を前日に聴いておりまして、この時はブラームスの第3番とラヴェルの「展覧会の絵」でした。この時は展覧会の絵に大変感動して、ブラームスの3番は演奏が上手過ぎて、音も美しすぎてその場では特にこれといったことはなかったのです。いい演奏だな…位にしか。
でも一晩経って頭に流れていたのは、感動した展覧会の絵ではなくブラームスの3番!
あの時何気に聴いていた弦の音色、そしてヤンソンスさんのお姿が頭の中で一杯になりました。

そんな状態の中、改めて向かい合ったこの曲。
感動しない訳がないではありませんかっ!!! めちゃめちゃ感動しましたよ(笑)
2日間、ロイヤル・コンセルトヘボウさんの敷居の高い(?)演奏の世界に入り込めずにもがいておりましたが、今回はどっぷりと入り込むことが出来ました。
押し寄せてくる美しい弦の音色の嵐。心地よい管の響き、そして素敵なヤンソンスさんのお姿v

美しい第3楽章が有名なようですが、私は力強い第4楽章が好きです。この時のヤンソンスさんも格好良いのですよ! 一心不乱に演奏されるRCOの皆様も素敵。ドラマチックな続きを予感させるような旋律に、こちらもワクワクします。このまま終わらないでほしい…と思ってしまいます。

これでブラボーおじさんがいなければね…

この記憶を忘れずに後日のテレビ放映を楽しもう、と思いました。
本当、良かった〜v

すでに満足していたのですが、ラストの「ティル・オイレンシュピーゲル〜」が想像以上に良くて!
CDの解説などにも「昔々、悪戯者がいましたとさ(ヴァイオリン) そいつはティル・オイレンシュピーゲル(ホルン)」などと書いてあるのですが、その雰囲気がCDでは伝わってこなかったのです。
でもRCOの演奏を聴いて、その意味がやっと分かりました。本当におとぎ話のように、楽器が私たちに語りかけてくるのですよ〜 夢中になって聴いてしまいました。

ヤンソンスさんはティル・オイレンシュピーゲルそのものに成りきっているかのようで、すごく可愛い…といっては失礼なのですが、可愛かったです。
ブラームスとは空気ががらっと変わり、会場はとても愉快な雰囲気に。首つりの部分などは、RCOの大音量にゾクゾクしてしまいました。
ヤンソンスさんの指揮はマーラーもベートーヴェンもブラームスも好きですが、こういった曲が一番好きかも、と思いました。楽しかったです(これもテレビ放映が楽しみ♪)。

アンコールの2曲目は、ヨハン・シュトラウス2世の「ポルカ 《 ハンガリー万歳 》」。月曜日のサントリーホール公演でも弾いて下さったのですが、これは私が初めてテレビの前でマリス・ヤンソンスという指揮者の存在を知った2006年のニューイヤーコンサートでウィーン・フィルが弾いたラストの曲で、私には特別な曲。2008年のヤンソンスさん祭りのラストがこの曲だなんて、大感激でした。
ヤンソンスさんのワルツとかポルカ、これからもたくさん聴きたいです。大好き!
最後はオケの皆さんの掛声(何といっているのか分かりませんが)でこの曲は終わるのですが、NHK音楽祭の終わりとしては、とても良い雰囲気だったと思います。

前日のサントリーホール公演と違ったところは、アンコール2曲が終わると客席の皆さま方、さっさと帰られてしまったこと。通常、ヤンソンスさんの公演は拍手が鳴り止まず、最後にもう一度ヤンソンスさんが舞台に登場して下さって、さらに大拍手の中終わるのがお約束なのに…
本日の皆さま方は冷めているのね、と思いました。

とはいうものの、3日間の公演の中でこのNHK音楽祭が一番私は楽しめました!
聴きに行って良かったです。
来年はヤンソンスさんはバイエルン放送交響楽団さんと一緒にご来日です。再来年はきっとRCOでしょうか(笑) どちらも素敵なオーケストラですね。ヤンソンスさんの指揮を中心に、また楽しむことが出来たらいいなと思います。

2008年11月14日 記

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