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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 3日目
熱狂の日 音楽祭2008 「シューベルトとウィーン」
2008年5月4日(日) at 東京国際フォーラム
【363】
ミシェル・ダルベルト(ピアノ)

■ シューベルト:3つのピアノ曲より 変ホ短調 D946-2(D946-1から変更)
■ シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D958
【313】
小曽根真(ピアノ) 児玉麻里(ピアノ) 児玉桃(ピアノ)
上海交響楽団 大友直人(指揮)

■ バッハ:3台のピアノのための協奏曲 ニ短調 BWV1063
■ シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D944「グレイト」
【335】
シュテファン・ゲンツ(バリトン) ミシェル・ダルベルト(ピアノ)

■ ベートーヴェン:歌曲集「遥かなる恋人に寄す」作品98
■ ウェーバー:「私の歌」作品15-1
■ ウェーバー:「なぜ君の誘惑の環に惹かれるのだろう」作品15-4
■ ウェーバー:「それは苦しみなのか、喜びなのか」作品30-6
■ ウェーバー:「輪舞」作品30-5
■ シューベルト:「ガニュメート」作品19-3 D544
■ シューベルト:「魔王」作品1 D328
■ シューベルト:「プロメテウス」D674
アンコール
■ シューベルト:白鳥の歌より(題名分からず…昨日聴いた中の1曲です)
今日の感想は、1つだけ語れば十分! という位、もうこの曲に私の頭は捉われてしまっています。今晩は興奮して眠れないかも(笑い)

シューベルト ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D958

昨年、マリア・ジョアン・ピリスさんのリサイタルでベートーヴェンのピアノソナタ31番を聴いた時の衝撃はすざまじいものでした。何てベートーヴェンってこんな曲を書けたんだ…って。
それと同じ位、頭を殴られたかのような衝撃をこのシューベルトの19番から受けました。
曲がすごいのか、ダルベルト先生の演奏がすごいのか… 当然、両方です。

シューベルトのピアノソナタは最後の19・20・21番がとりわけ素晴らしいと聴いたことがあり(今回ダルベルト先生もこの3曲を弾いて下さいますが♪)、私は最後の第21番をテレビの影響もあり気に入っております。19番は失礼ながら、素晴らしい曲ではありますが、前菜のような位置づけでした。

3つのピアノソナタ(これも良かったです)を弾き終わり、一度退場されてから再び舞台に戻ってきたダルベルト先生。
椅子に座られるや否や、「ダーーーン!!!」と、すざまじい大音量の出だしで弾き始められました。
すごいなぁと思ったのは、この回は小学生位のグループなども来ていて雑音が心配だったのですが、恐怖のダルベルト先生(と言えるくらい、有無を言わせぬ威厳がそこにはありました…)の演奏を前に、会場の誰一人として身動きとれない状態でした。ものすごく「しーーーん」とした中で、迫力あるピアノの連打がしばらく続きました。

その打ち込まれるピアノの音色から、シューベルトの悲しみ(と私には怒りのようなものも感じました)が心に直接訴えかけられたような気がしました。アルバムの演奏もすごいのですが、生の迫力といったら… ものすごかったです。
ダルベルト先生の手の動きも魔法というか、神業。爪で軽く弾いているような時などもあって、本当、すごい(としか言いようがないです)。

実は今日のダルベルト先生。今日の…というよりも、昨日のゲンツさんとの公演もなのですが、遅刻して会場入りされたのです。
開演30分前が開場なのですが、その開場時間にゆっくりと、慌てるスタッフの前に先生は現れました(汗、デュメイさんもそんなイメージが私にはありますが、フランス人って皆様こんな感じの方ばかりなのでしょうか。自分の世界を大事にされているようで、私は好感持てますが)。

それが、ものすごく格好良かったのです!!! きゃ〜っvvv
サングラスして、肩には水色のセーターを掛けて、公演で着る紺の上着が掛ったハンガーを右手で背負って何事もないかのように(時間迫っているのに)現れました。
この格好良さで、全て帳消しにしていいと私は思います(爆)
(何と言うか、真面目・誠実な見た目とは違って、実は相当のワルって感じ。←失礼な発言)

昨日も開場が遅れた時に「演奏者のリハーサルが延びていまして…」と説明があったのですが、来るのが遅いからリハーサルも延びたのですね。並んでいる私たちは、そこまで念入りに打ち合わせされているのか!って感動していたのですが(爆)
ちなみに、本日のこの後のゲンツさんとの公演も同じパターンでした。

ゆっくりと来られた先生は、楽屋に荷物を置いて出てこられたのですが、しばらくは紙コップの水を飲みながら ガラス塔の外をゆっくりと眺めて(何度も言いますが、時間は迫っているのです)、しばらくイメージを作られているようでした。
その後ホールに入られて15分位練習されたのでしょうか。
急いで開場となった訳ですが、入口ではその姿をダルベルト先生が見ていらしたのです。その後のゲンツさんとの公演の時も、廊下に出られて会場入りする私たちの様子を先生は見られていました。
この時、先生は何を考えられていたのでしょうね。

…と、会場入りから本日の(というか、もしかしていつも?!)ダルベルト先生は普通でないことをやって下さいましたが、演奏は別物で、本当に素晴らしかったです。

心の中は、第19番〜!!!な気持ちでしたので、次の公演はほとんど身に入りませんでした。
バッハの曲は素晴らしいし、グレイトも超大作といった感じの曲で、また指揮者の大友さんも良かったしで、出来れば今日ではなく、違う日に聴きたかったなぁ…と。

最後のゲンツさんと先生の歌曲は、昨日同様、ゲンツさんの歌声と先生の歌声とも言えるピアノの音色の掛け合いが素晴らしく、特に私はウェーバーの輪舞においての先生のピアノの音色の表現力に感服いたしました。上手く言葉では表現出来ませんが、すごかったのですよね。

明日はダルベルト先生の公演も最後です(涙)
ですが、本命のソナタ第21番が待っています!!! 楽しみにしています!

2008年5月4日 記

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