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東京交響楽団
東京オペラシティシリーズ 第42回

【 2008年2月14日(土) at 東京オペラシティ 】
指揮:飯森範親 ヴァイオリン:庄司紗矢香 コンサートマスター:高木和弘


■ ベートーヴェン:交響曲 第1番 ハ長調 作品21
■ ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調  vn:庄司紗矢香
  * アンコール〜 バッハ:無伴奏パルティータ第1番 ロ短調より プーレ
■ ベートーヴェン:交響曲 第2番 ニ長調 作品36
昨年の今頃の東京交響楽団のコンサートは、ジャナンドレア・ノセダ指揮、諏訪内晶子さんがソリストでシベリウスのヴァイオリン協奏曲とブラームスの交響曲第1番。私の2007年のコンサートの中でもベスト10に入る程、大変感動したのを覚えています。
その後すぐに、来年は庄司さんなんだ…! とチケットを取りました。

1年前に取ったチケット。すっかり存在を忘れていて、気がついたらこの日に予定を2つ入れていて。どちらを選ぶか非常に困りました…(苦笑い)
昨年5月のラ・フォル・ジュルネ〜の庄司さんのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が個人的にはあまり良いとは思えなくて、それから庄司さんの演奏から気持ちが離れてしまったところもあります。
ですが、本日はストラヴィンスキー。
庄司さんの魅力全開になるはずだ、とコンサートを選ぶことにしました。

開演15分前から指揮者の飯森さんのプレトーク(?というのでしたっけ)がありました。私がホールに着いたときは、正に始まった所でして、大急ぎで席に着きました。

そうしたら、本日の寒さもあって両足がつってしまって…!
前の席だったため、立ち上がることもできず、膝から下 つま先から上にかけて硬直状態。身動きとれません(涙) せっかくの飯森さんのお話もあまりの痛さで耳に入りませんでした。

今回のコンサートのベートーヴェン交響曲第1番と2番を取り上げたのには、意味があるということ。
ベートーヴェンが第1番を完成させたのは30歳と遅咲きであった(モーツァルトが第1番を完成させたのは8歳)。父親がベートーヴェンに演奏してお金を稼ぐことばかりを要求して、作曲する時間がなかなか作れなかったことも理由の1つとして挙げられる…みたいなことをお話しされていたような。

第1番はハイドンの影響を大きく受けていて、私たちがイメージする「ベートーヴェン」の作風とは少し違うものである。ベートーヴェンらしさが出てくるのは 第2番以降からで、今回その違いなども感じてほしい・・・

というような内容だったと思います。ノンビブラートがどうとか、ヴァイオリンの配置がどうとか、そういった演奏的な話もされていました。ノンビブラートと言えば、ノリントン+N響…そして庄司紗矢香さんという組み合わせが頭に焼き付いておりますが、個人的にはあまり興味無いです。

間に入るヴァイオリン協奏曲がなぜストラヴィンスキーかは、庄司さんのご希望だから、と(笑い)
難しい曲なのに素晴らしい演奏で、リハーサルの時からブラボーが起こっていた、とのこと。
「でも庄司さんも素晴らしいですが、庄司さんの演奏が終わったからといってそのまま帰らないで下さいね。後半もぜひ聴いて下さい。」という、男性ファン心理をよく理解している最後の締めの言葉には笑ってしまいました。私の前の席の男性も、前半で帰りましたし… 私の右隣の女性も、完全に庄司さんのファンの方でしたし(体の乗り出し方が、全然違う)。庄司さん人気はすごいです!

初めて聴いたベートーヴェン交響曲第1番。
確かに、私が聴いたことがある7〜9番とは違った感じでした。比べる範囲が狭くて比較にならないかもしれませんが。
ハイドンもあまり聴いたことがないので(しかも思い出せない)、どうとは言えないのですが、ハイドンと言われればハイドンっぽいのかな・・・と(苦笑い)
ただベートーヴェンの曲を聴いているときの、無条件に湧き上がる、あのワクワク感とかがありませんでしたので、やはり1番は少し違うのかなと感じました。重々しさもあまりなかったですし。

続いて、多少楽器の種類が増えて(端の方の席だったのですが、私の前にはチューバが!こんなにじっくりとチューバを見たのは初めてでした)、庄司さんの登場!
庄司さんを見ると「ひまわり」というイメージが浮かびます。笑顔が素敵で可愛らしい方です。そして細くて小さい!どこからあのパワーが出てくるのかといつも思います。

ストラヴィンスキーは3年前、五嶋龍くんの演奏で聴いたことがあります。
龍くんはパンフレットで「これはジャズですね」と語っていたと記憶しています。
各楽章の始まりの「ヴィーーーン」と弾く姿を未だに覚えています。

この曲は、第1・2ヴァイオリンの出番があまり無い曲なので(お休みの部分が結構あります)、全体的にちょっと物足りなく感じる方もいらっしゃるのではと思います。その代り、ソリストは全開です! クセのある曲ですよね。

龍くんのストラヴィンスキーはとても楽しい、明るい演奏でしたが、庄司さんのストラヴィンスキーはまた違っていて。同じ曲ですが、確かに庄司さんの演奏は「クラシック」していました。龍くんは「ジャズ」。雰囲気が違うのです。そして楽しさのポイントが違う。どちらの演奏も良いと思いました。これが演奏家の個性なのでしょうか。

庄司さんは、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー…のような音楽がとても似合います。メロディの内容というよりもリズムを重視する曲、とでも言うのでしょうか。5月のチャイコフスキーは一体…という位、素晴らしい演奏を聴かせていただきました(私の偏見かもしれません)。

難しい曲なのでしょうが、当たり前のように簡単にさらっと弾き続けて、ポイント部分ではしっかりと聴かせてくれて。ヴァイオリンの音ももちろん良いです。
昔は苦しそうな表情で終始弾かれていたように思うのですが、本日は演奏中に時々笑顔も見ることが出来て、あ、少し変わられたのかな・・・と思いました。

第4楽章になると雰囲気がガラッと変わって、きっと睡魔と闘っていた人も目が覚めて聴き入ってしまうのではと思う、私好みの旋律になります。
ここで少しだけコンサートマスターの高木さんと庄司さんがやりとりをする部分があるのですが 「この部分は永久保存しなくちゃ」 と思う位、素敵な一時でした。
御2人とも息がぴったりで、素晴らしかった〜v
2人のヴァイオリンの音の組み合わせがとても良かったです。
欲を言えば、庄司さんがもっと高木さんに近付いて弾かれても良かったのでは…なんて(笑い、演奏とは関係ありませんが) サラ・チャンさんだったら、ものすごく近くに寄っていたはず。そこまでとは言いませんが、2人で弾いています、みたいな雰囲気があったら嬉しかったです。

本日はアンコールまで弾いて下さって! 大変満足致しました。
今年のラ・フォル・ジュルネは庄司さん聴きに行こう、と思い直しました。

後半はベートーヴェンの第2番。
飯森さんのご説明通り、確かにこれはベートーヴェンの交響曲でした(笑い)最初の1音から。
それで、この曲は昨年あたりに聴いたことがあるなぁ…と思いだしてみたら、パーヴォ・ヤルヴィ+ドイツ・カンマーフィルでの演奏でした!>あれは素晴らしいの極致でした。
通常だったらドイツ・カンマーフィルの演奏を聴いた後では、あれ以上の演奏に出会えることはほとんど無く、どのような演奏を聴いても受け入れることが出来ないと思うのですが、でも今日の東響の演奏も良かったのです。世界観とか管や打楽器の響きとか比べてしまうとそれまでですが、でもこの2番もアリだな…と思えるような演奏でした。
高木さんもそのお隣の方も、椅子から立ち上がりながらの元気あふれる演奏でしたし、全体的にとても楽しそうに弾かれていました。

昨年のブラームス1番も、確かこういう雰囲気だったのだよなぁ…と思い出しました。だから東響に興味を持って、昨年の夏に神尾真由子さんのサン=サーンスを聴きに行ったのですが、その時は全然魅力が感じられなかったのですよね。この違いは何なのでしょう。この時の指揮者の大友さんの責任?!>まさか!
何はともあれ、ベートーヴェンの第2番を楽しませていただきました。庄司さんの演奏に続き、大満足です♪

余談ですが、コンサートマスターの高木さんの隣で弾かれていた男性。
以前にも他のコンサートで記憶に残っている、私の前職での知り合い「田村さん」にそっくりな方でした。そして2ndヴァイオリンには「角野卓造さん」(に似ている方)がいらっしゃいます。
うーーーん。何のコンサートでお見かけしたのだろう。昨年だったと思うけど… でも、昨年のノセダ氏との演奏では気が付きませんでした。
さらに、庄司さんのストラヴィンスキーの時には登場されたトランペット(だと思うのですが)の男性は、会社の「宇佐見さん」に似ていて(爆) 何で宇佐見さんがこんな所に… という気分でした。
時間を置いて何度見ても、やっぱり宇佐見さんなのですよね。不思議。

家に帰って調べてみると、2年前の川畠成道さんのクリスマスコンサートでした。アレクサンドル・シトカベツキーさんとのドッペル! そして四季。>そうだったか!
私のメモによると、あの時は田村さん(仮名)がコンマスさんでした。
あれも素晴らしいコンサートで、もう一度聴きたい位です。こちらの記憶も蘇ってきました。

龍くん思い出したり、シトカベツキーさん思い出したり、他の演奏を色々思い出したコンサートでした。そして、ベートーヴェンも庄司さんも東響も全部楽しめたコンサート。
思わず、来年の東響さんのスケジュールが気になったのでした。

2008年2月17日 記

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