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バイエルン放送交響楽団 2007年日本公演
首席指揮者:マリス・ヤンソンス

【 2007年11月23日(金) in サントリーホール 】

■ ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
■ ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 (ノーヴァク版)
本日、楽しみにしていた2007年ヤンソンス祭りも最終日です。
同じオケ&指揮者を集中的に聴きに行ったことはこれが初めてだったのですが、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。1週間に4回ホールへ通った訳ですが(笑い)、最初の川崎からずっとお顔を合わせている方約5〜6人程(全ておじ様)にも親近感がこちらが一方的に湧いたり(当然、相手は私のことなんて知りませんが、必ずホールでお見かけしていました)、オケの方たちだって舞台と客席との違いはありますが、1週間の中で家族と会社の同僚の次に長い間同じ空間にいた人たちなわけで。それもとても濃い時間を! 勝手に仲間意識が芽生えていました(爆、妄想が激しい私)
皆でドイツに旅行へ行っていたみたいで楽しい1週間でした… この時間が終わってしまうのかと思うととても残念ですが、でも生活しなくちゃ、ですし(笑い) 最後の時間をたっぷりと楽しもうと前日の夜からソワソワしていました。

前半は川崎公演と同じくソリストがサラ・チャンさんでブルッフのVN協奏曲です。
真っ赤なドレスでサラ・チャンさんが登場! 3日間全部違うドレスでした。素敵だ…
本日のコンサートマスターさんはバラホフスキーさん…ではありませんでした(笑い、バラさんはどこかのホールでチャイコフスキーのVN協奏曲を弾いていらっしゃいました)。お名前が分からないのですが、19日の公演の時と同じ方(この方のヴァイオリンの音色はとても素晴らしいです)。オケの方が登場する前から、席に腰当ての黒い座布団がありましたので分かっていました。
ハンサムな首席チェリスト君…セバスチャンの姿がありませんでした。それから美しい音色のヴィオラの人も… オケのメンバーって色々入れ替えたりするのかなぁと、思い入れのある方たちのお姿が見れずに最後を迎えるのは残念な気もしつつ、演奏を聴きました。
というか誘惑が全くない状態でしたので、本命のヤンソンスさんをたっぷりと拝見することが出来ました(かえって良かった)!

ブルッフは聴きこんでいる曲ではないので、こだわりもないのですが(笑い)、バイエルンの方々の演奏がいいのか、オケの伴奏がとてもいい曲ですよね。聴いていて、とても気持ちがいいです。
前回はあまり気が付きませんでしたが、激しく演奏するサラ・チャンさんに比べて(床を蹴る・踏みつけるのは当たり前、体の仰け反り方も半端でないです←新体操の選手かと思うくらい。身体が柔らかいのですね…ってそういう問題ではありませんが)、ヤンソンスさんはものすごく控え目な指揮です。
やはり協奏曲は指揮者の魅力が半減してしまうのだなぁ…と再度改めて感じました。ヤンソンスファンには物足りないと思います。曲はいいのですが!

サラ・チャンさんは、極寒の岸壁で弾いている…というような演奏。それがいいのか悪いのかは私には分りませんが、それだけ力が入っているのかなぁ(寒いと自然に体に力が入るような感じ)と。大きく括れば演歌みたいな…といってもいいのかしら。本来のブルッフとは違うのかもしれませんが、こういうのもアリかな、と私は思いました。いえ、もっと良いブルッフは世の中にたくさんあるのだと思いますが。先日のメンコンほどいけませんね…という感じはしませんでした(曲の思い入れの違いでしょうか)。

ただ、とても笑顔の素敵な方なのに、どうして演奏中はああなってしまうのか…というのだけが疑問でした(表情が怖いです。苦しそうだし、睨みつけるし)。彼女の場合、もっと楽しそうに弾かれた方がいいのではないかなぁと。可愛いし! どうしても庄司紗矢香さんを連想してしまうのですよね。
そんな方でした。演奏後は満面の笑顔を見せて下さいました♪

後半はブルックナー7番。
たまたま家にあったエリアフ・インバル指揮、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団さんの演奏がとても良かったので、楽しみにしていました。
このCD。出だしがモワ〜っとしてシーーーンとしている神秘的な雰囲気(語彙が貧困ですいません)がたっぷりと表現された演奏なのですが、少し調べてみるとこれをブルックナー開始(原始霧)と呼ぶのだそうですね。そうそう、霧の中にいるような感じになるのです。

後半はチェロのセバスチャンがいらっしゃいました。ヤンソンスさんがセバスチャンに何か話しかけていて、うなずいていましたので、セバスチャンは体調不良で前半お休みされていたのかな?など勝手に想像していました(笑い、それでヤンソンスさんが「もう、大丈夫?」「ええ、大丈夫です」とのやりとりがあった、と。←たぶん違います)。どちらにしても、最後にセバスチャンのチェロが聴けて大満足です(楽しそうにチェロを弾かれる方で、「バイエルン放送交響楽団ってこういうオケなんだ」というのを教えてくれたような気がします)。それと同時に、今回激しく全国を周って演奏されたヤンソンスさんを始めとしてバイエルンの方々も、相当お疲れなのでは…と気になりました。先日のコンマスだったバラホフスキーさんも楽章間で咳込んでいましたし(風邪でしょうか)。

バイエルンさんの出だしは、霧の中にいるような幻想的な感じではありませんでした。それはそれでいいです。
実際に演奏を見て、最初にチェロ、そしてヴィオラ、ヴァイオリンと音が重なっていって、あの世界が生み出されるのだということを知りました。

本日私は8列目中央付近の席だったのですが、音響が素晴らしくて!
サントリーホール万歳、とでも言いたくなるような雰囲気を味あわせていただきました。これが不思議と6列目ではだめなのですよね。この2列にどのような違いがあるのかと聞きたい位で。今度からオーケストラを聴くときは8〜10列目辺りを取りたい、と思いました。
何が違うのかといいますと、ホール全体に溢れている音を体で受け止めることができるのです。前列付近ですと生音になりますよね。(それも好きなのですが!)
ヤンソンスさんが音を止めると、一度ピタッと音が止まり、その後ホールに残っている音の粒がふわ〜んと溢れて、そしてそれもピタッと止まる。その余韻のようなものがとてつもなく素晴らしくて、贅沢な数秒間でした。こういうのはCDでは感じることの出来ないものですよね。
本日は、会場の方々が静まり返っていたのも良かったのだと思います。咳とか少なかったです。

第2楽章。
これが、本日1番素晴らしかった(涙)
途中からワーグナーのための「葬送音楽」ということだそうですが、もうヤンソンスさんが「さよなら日本」と言っているとしか思え無くて(想像力豊かすぎ、汗)
すごく良かったです〜〜〜 ヤンソンスさんの背中がとても大きく見えました。私も聴きながら、さよならの気持ちの整理をたっぷりと致しました。
本当だったら、もっとヤンソンスさんの激しい指揮に共感したかったのですが(全体的に)、でもこれはこれで大満足。荘大かつ、暖かなアダージョでした。

第3楽章は、今回4公演の総決算とも言える「ファンはこれが見たかった(恐らく)!」と言えるような豪快なヤンソンスさんの指揮が。曲もいいですよね。ヤンソンスさんも最後とばかりに力が入っていたように感じます。

第4楽章はもう、さよならまでのカウントダウンと「ありがとう、ヤンソンスさん&バイエルンの皆さん」という気持ちしかなく、覚えていません(爆)
最後の1音の余韻は会場皆でしっかりと楽しめたと思います。あと2秒位、私の斜め前のおじさんが拍手を我慢してくれたら もっと良かったですけれども…得意気に拍手されていて! でも他公演に比べたら最高の余韻でした。

もう、大満足の1週間でした♪
心の中では先程のアダージョが。
最後の公演も、大拍手の中、バイエルンの方々が立ち去った舞台上にヤンソンスさんが再び現れて下さいました。素晴らしい方だな…と改めて思いました。

公演後、お手洗いを出ようとすると、友人に会い「2人のサイン会、やるって!」と。
出ると目の前はものすごい列が!!! お手洗いの先のスタッフの出入り口から2列に並んで喫茶の所をぐるっと周り、最後はCD売り場の後ろのスロープを並んでサントリーホールの出口まで…という位。一体、何人並んだのでしょうか?!
前半のブルッフが終わるとヤンソンスさんが客席をぐるっと見回したのですが(本日は満席ではありませんでした。7〜8割位でしょうか)、それはこのサイン会の大まかな人数を計算されていたのでは…なんて。すごいです。大感謝です。それとも、オケの最終日ってこういうものなのでしょうか?

これだけの人数ですから、当然流れ作業のような感じでした。
「立ち止まらないでください」との声が飛び交い、ヤンソンスさんとファンとの間に係りの人が立っていて、係りの人を通じてサインをもらう…みたいな、状況が普通ではありませんでした。小さい机の上に皆のパンフレットやらCDジャケットやらが入り乱れていて、「これは誰のですか?!」みたいな感じ。 そして横にいらしたサラ・チャンさんは可愛らしい笑顔で、元気よくサインして下さいました。
大変疲れていらっしゃると思うのに、本当にありがとうございました、と言いたいです。

夢のような世界でした。私の席の周りには、気軽に聴きに来られたようなセレブっぽい方も多々いらっしゃいましたが(それ以外のファン…いえ、マニアは真剣そのものですよ、爆)、いつかはそんなような、オケも気軽に行けるような人になりたい…と思いました。
でも1つの音に一喜一憂している今の状態の方が幸せだとも思います。楽しいし! また頑張って、ヤンソンスさんやバイエルン放送交響楽団さんの演奏を聴きに行きたいです。

Mariss Jansons Sarah Chang

2007年11月25日 記

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