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パーヴォ・ヤルヴィ指揮
ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団 日本公演
【 2007年7月16日(月) in 東京オペラシティ コンサートホール 】
 ヴァイオリン : 諏訪内晶子


ベートーヴェン・プログラム
■ 「プロメテウスの創造物」 序曲
■ ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61
■ 交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op.55
アンコール
■ 交響曲第8番 第2楽章
大変に素晴らしいコンサートでした。
ソリストの諏訪内晶子さんはもちろん、初めて聴きました指揮者のヤルヴィさん、そしてドイツ・カンマーフィルの方々。すべてが完璧でした。私にとってここまで完成度が高いと感じたのは(個人的な好みは別として)、昨年のヤンソンスさん&ロイヤルコンセルトヘボウ管以来でしょうか。
何かもう、すごすぎて口が半開きのまま聴き入ってしまった感じがします。
そう書いておきながら後半ちょっと意識が無くなりかけたりもしたのですが(汗)、聴き終わった後の満足度は格別でした。>ので、このままの気持ちをすぐに書き留めておこうと思います。

東京オペラシティ コンサートホールに着きますと、そこからいつもと雰囲気が違っていました。
まず、人が溢れていて入場出来ないのです。そして並んで入りますと、ロビーには沢山の人が! ドイツ・カンマーフィルの説明が書いてる垂れ幕のようなものも窓際に掛っていますし、CD売り場も開演前から多くの人だかり。今回はパンフレットは別売りなのですが、そのパンフレットを買うのにも長い列が出来ています…
チケット完売のコンサートとはいえ、すごいです。諏訪内さんファン、ヤルヴィさんファン、クラシックファンが全て集まった感じがします。また、私は女性が主導権を握っているようなコンサートに行くことが多いのですが、今回は男性、それも中年〜年配の男性が多かったように感じます。これだけの人がいたのに、女性用のお手洗いは空いていましたから(笑い)
やたらとあちこちに挨拶をしている人たちが多かったので(ファン同士というよりも上下関係を含めたような挨拶)、何かの団体とか会社の絡みとかそういった人たちが聴きに来ていたのかな、と勝手に想像していました。

今日はソリストが諏訪内さんということで、私のミーハー的な部分が出てしまい、オケなのに1列目の席を取ってしまいました(爆>音色を取るか、視覚を取るか、いつも迷います…
オペラシティの1列目はたぶん本日が初めて… 土曜日に聴きに行った入間市市民ホールでも客席と舞台上の距離の近さに驚きましたが、オペラシティはそれ以上に近いように感じました。それこそ、本当に舞台に手が届きそうでした。
近いので、演奏中も舞台上の照明が1列目にはあたっていて、いつもと違って明るい中での鑑賞となり、恐らく2階席、3階席の人たちには丸見えなのではないか…と妙に気を使ってしまいました(爆) 初めての体験でした。

ドイツ・カンマーフィルの方たちが登場すると、続いて指揮者のヤルヴィさんが登場! 当然ですが、ちらしでよくお見かけしていたそのままの方が目の前に現れました(笑い)
1曲目は知らない曲でしたが、出だしからカンマーフィルの方たちの演奏に圧倒されてしまいました。皆さんの息遣いがそろっているのは当たり前なのですが、とても勢い・迫力のある演奏でした。弓の上げ下ろしも大げさな位、皆さんがそろって動かすものですから、その姿だけでも引き込まれてしまいます。
3人のコントラバスの方のうち、2人が女性。御2人ともすごく素敵な方です(笑い) 演奏は容姿から想像できないくらいに激しく、熱い演奏をされる方たちでした。ヴァイオリンの方たちはハンサムな方が多くて(!どこ見ているんだか)、セカンドヴァイオリンの中には、シューベルトに似ているような方を見つけたり。オケの方たちは緑のパイプ椅子に座られていたのですが、コンマスさん以外は皆様2つ重ねで使用されていました。(なぜコンマスさんだけが1つなのかは不明です…)

本日は先ほど書きましたように、チケットが完売。ということは、1階から3階までの席がほぼ埋まっている状態です。2階席、3階席の両脇の皆様が体を前に乗り出して真剣に聴き入っている姿が、私の席から見えました。その「聴くぞ!」という熱気が、いつものコンサートとは違うのです。そういうのって、きっと演奏される方たちにも伝わるものなのでしょうね。
そんな中、私は急に自分の携帯の電源を切り忘れていたことに気が付きました。
私は滅多にメールなど来ないのですが、こういう時に限って送られてきたりするのが人生ですよね(爆) こんな状態で着信とか来たらどうしよう… と、途中から頭の中は携帯のことで一杯になってしまいました。もったいない…
演奏後、急いで携帯の電源を切りましたが、オペラシティはホール内は自動的に圏外になるようで、あまり心配しなくても良かったようです。1つ勉強になりました。

続いて、紫のドレスを着て銀の靴を履いた諏訪内さんが登場!
相変わらず、無駄のないプロポーションにうっとり。素敵な方です。
私はベートーヴェンのvn協奏曲は好きなのですが、今まで一度も生で聴いたことがありませんでした。もう、ずっと前から 「生で聴きたい」 と思っていて(ラ・フォル・ジュルネの1回目は行けなかったので)、このコンサートを知った時、「これは、聴きに行くしかない!」と感じました(笑い)
ですので、すごく今日の演奏を楽しみにしていたのです。

この曲は、出だしからソリストが入るまでが長い曲です。それで私も映像などを見る時に、ソリストが入る前に眠りについてしまう(結局肝心のソリストの演奏を見ることが出来ない)ことが多いです。
ですが、実際生演奏は違うのですよ! ソリストが入るまでの長い曲の中にも聴きどころが満載。聴いていて、すごくワクワクしてしまうのです。ヤルヴィさんの指示はメリハリがあり、それに合わせたカンマーフィルの演奏も、強弱がとても良い感じで、聴いていて飽きることがありません。皆さんが演奏している姿そのものも迫力があるので、視覚的にも楽しませていただきました。

あっという間に諏訪内さんの出番です。
キュル、キュル、キュル、キュル…(一応、ヴァイオリンの音色を表現しています) と、ドルフィンの音色がオケの演奏に合流していきました。
私はこの時、蕾から花が開いていくイメージと、そしてその中から蝶々とか妖精とか、そういったものが花の中から生まれ出てくるイメージが浮かんできました。そして、その妖精を中心に物語が展開していくような… オケの中から当たり前のように、ごく自然にドルフィンの音色が生まれてきたような気がしたのです。
諏訪内さんのドルフィンの音色は、やっぱり素晴らしいです。カンマーフィルの力強い音色に負けていないのです。それはいつも思うのですが、ドルフィンそのものも素晴らしいですが、その力を活かすことの出来る諏訪内さんの腕も素晴らしいのだと感じます。諏訪内さんとドルフィンの相性がとてもいいのだな、と思います。高音が掠れるなんてありえない、と確信が持てるくらいに安心して聴くことができます。きっとこの音色は3階席の後ろまで響き渡っていたはずです。しっかりとした音色でした。

初めて諏訪内さんの生演奏(バッハの協奏曲)を聴いた時に感じたことが嘘であるかのように、今では諏訪内さんの演奏が好きです。今日もそう感じました。
今日の協奏曲は全体的に速い感じがしたのですが(ヤルヴィさん+カンマーフィルのベートーヴェンの交響曲のアルバムを聴きましたが、これも速いですね)、それに合わせるかのようにカデンツァでの諏訪内さんの演奏も速い、速い。そして、すごく馬力がある演奏でした(これぞソリストって感じでした)。こんな諏訪内さん、私は初めてでした。第1楽章が終わったとき、拍手したい気分でした。それ位、良い演奏を聴かせていただきましたv
対照的に第2楽章では優しい音色を表現されていて、こちらも大変聴きごたえがありました♪
オケとソリストのやりとりが多い曲だなと私は感じたのですが、そのやりとりがすごく自然に行われていました。まるで1人がずっと弾いているかのように。上手い、としか言いようがありませんでした。音に皆が吸い込まれてしまうかのようでした。
そして、すごく格好良い! 指揮者もソリストもオケも皆、格好良かったです。

近くの席の特権として(?)諏訪内さんの演奏する姿もしっかりと目に焼き付けてきたのですが、やはり左腕は肘から手の甲までにかけて血管が浮き出ていました…力をすごく使うのですね。右腕は肩から指まで一体に筋肉が使われているように感じました。見た目は華麗に弾かれているようですが、1音1音に力を込めて弾かれているのだなと思いました。いつもは顎にハンカチを当てていなかったと思うのですが(私の記憶では←やはりいつも当てていらっしゃるようです)、本日は白いハンカチを当てられて演奏されていました。

CDを聴いていても、第3楽章になると もう終わってしまうのだな…と私はさみしい気持ちになるのですが、本日も同じ。もう少しでこの演奏も終わってしまうのだと思うと、悲しくなってしまいました。
すごく私にとっては贅沢なvn協奏曲を聴くことが出来ました。今後、これだけの演奏を聴くことが出来るのか…そちらの方が心配になりそうな位(笑い) 秋も色々なオケがベトコンを企画しているようですので、機会があれば聴きに行きたいです。

演奏後は、会場割れんばかりの大きな拍手! 当然です!!!
すごいなぁ… という言葉だけが私の頭の中を埋め尽くしていました。

後半は交響曲第3番「英雄」です。
こちらも、ベトコン以上に迫力のある演奏を終始繰り広げられていたのですが、そしてその世界観を感じることができたのですが、私はこの有名な曲を知らないこともあり、日頃の疲れも一気に出てしまって、半分位記憶が飛んでいます(爆) こんなすごい演奏を聴いているのに眠るわけにはいかない、って思っていたことは覚えているのですが、何分体が言うことを聞いてくれなくて。申し訳ないです…

アンコールはヤルヴィさんが会場の大きな拍手の中、何度も舞台を出入りされる際にオケの方たちに徐々に曲目が伝えられて演奏されました。ヤルヴィさんが「ベートーヴェン」と言われて始まった曲は、何と私が知っている数少ない交響曲の中の1つである第8番でした!
昨年、ヤンソンスさん&コンセルトヘボウ管が弾いた曲ですv
でも、楽譜が違うからでしょうか。コンセルトヘボウとは少し違う感じの曲に仕上がっていました。(個人的にはコンセルトヘボウの演奏の方が好きです。)

コンサート後はヤルヴィさんのサイン会がありました。
この客数を考えれば当然なのですが、長蛇の列! あれだけの指揮をされたのに、その上皆のサインまで… と思うと申し訳ない気もしたのですが、私もしっかりといただいてきました(爆)

とにかく大満足のコンサートでした♪
私は引き続き、みなとみらいのトリプルコンチェルト(これも生で聴くのが夢でした)を聴きに行きますので、こちらも楽しみです。今度は「エグモンド」序曲と交響曲第2番です。しっかりと予習して聴きに行きたいと思います。

2007年7月16日 記

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