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ヒーリング・クラシックス
バラホフスキーとノヴォシビルスク室内合奏団
【 2007年7月14日(土) in 入間市市民会館 】
 ヴァイオリン:アントン・バラホフスキー フルート:マリア・オシポワ **
 室内楽:ノヴォシビルスク室内合奏団


■ ヴィヴァルディ : ヴァイオリン協奏曲「四季」より“夏”
■ クライスラー : 愛の喜び
■ ショパン : ノクターン 第2番 第20番(遺作)
■ エルガー : 愛のあいさつ
■ ビゼー : 「アルルの女」より“メヌエット” **
■ パラディス : シチリアーノ
■ パガニーニ : ラ・カンパネラ
■ グリーグ : 「ペールギュント」より“朝” **
■ ビゼー : 「カルメン」より“間奏曲” **
■ マスネ : タイスの瞑想曲
■ ポンセ : エストレリータ
■ グルック : 精霊の踊り(歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」より) **
■ フォーレ : 夢のあとに
■ サラサーテ : ツィゴイネルワイゼン

アンコール
■ ベッリーニ : 「ノルマ」より
■ ウィリアムス : シンドラーのリスト
■ ポルトラツスキー : 想い出 ※撮ってきた写真が不鮮明のため、違うかもしれません←追記:あっていました(笑)
台風上陸中のため、雨の中の公演です。
会場の入間市市民会館は私の家からは少し遠いな…という場所にあります。
ですが、本日は約1年半ぶりのバラホフスキーさんの公演です!>待ってました!!!
そして、入間市市民会館。こちらは約2年前、川畠成道さんの公演で大変素晴らしい演奏を聴かせていただいた、思い出深い会館です。

入間市駅から市民会館まではバスで10分、徒歩で20分の距離があります。駅についてバスの時刻表を見てみると、次のバスは約1時間後…(暗) 少し時間も余裕がありましたので、歩くことにしました。道をどんどん歩いていると、川畠さんのコンサートの帰り道、傘をさしながら皆で興奮しながら歩いてきた記憶が蘇ってきました。その時のメンバーが一人一人浮かんでくるから不思議。良いコンサートって演奏だけではなく、そういう周りの部分も心に焼き付いているものなのですね。

当時、会館の係りの人がインカムを付けてテキパキとお客様を案内されている姿が良い印象として残ったのですが、本日はインカムは無し(笑い) 地域の係りをされているようなおじさまがチケットを切って下さり、まったりとした雰囲気でした。
また、この会館で私は初めて 『1列目』 という衝撃的な席を体験したのですが、その思い出を活かして今回もあえて1列目を選びました。
席に着くと、自分の記憶以上に客席と舞台との距離が近くてびっくり。こんなだったっけ…と。手を伸ばせば舞台に届きそうな勢いです(これは言いすぎですが)。

避難訓練か!と思わせるようなとても大きい(大きすぎる)開演前のブザーが鳴り、舞台にノヴォシビルスク室内合奏団さんが、続いてバラホフスキーさんが登場されました。
バラホフスキーさんが弾き振りをされたのですが、オケの方たちもチェロとコントラバス以外は立って演奏されていました。テレビでは見たことがありますが、生では初めてのスタイルです。

久しぶりのバラホフスキーさん!!!
私の記憶と変わりない姿で現れたので一安心(笑い) 演奏の方はどうなんだろう…と、ドキドキです。

1曲目はヴィヴァルディの四季より「夏」。
…これが、良くなかった…(涙) 倒れるかと思いました。
誰かのヴァイオリンの音色は裏返っているし、バラホフスキーさんとオケとのバランスもいまいちです。バラホフスキーさんのヴァイオリンもまだ音が出ていない感じで、私の記憶が美化されすぎていたのかな、と心配になりました(違いましたが)。
何と言いますか、ここはラフォル・ジュルネの会場かと思った位です。
「知らないオケだけど とりあえず聴きたい曲だし、1枚取るか!」 と思ってとった公演がハズレだった…みたいな。このオケにはあまり良い印象を私は感じませんでした。

ただ、1列目の魔法(?)は健在です。
バラホフスキーさんをたっぷりと目に焼き付けることが出来ました。
知的な演奏をされる方、というイメージがありましたが、結構パワフルにダイナミックに弾かれる方でした。演奏するフォームは相変わらず華麗。スッキリしていて私は好きです。
演奏されている手も良く見えまして、右手の薬指に指輪をされているのが素敵だったのと(関係ありませんが、笑い)、1曲目から左手の甲に血管が浮き出ていたのがすごかったです。血管が浮き出ているということがどういうことか私には分からないのですが、バラさんお疲れなのかな…と勝手に思い込んで聴いていました(爆)
バラさんの目の前の席でしたので、演奏中に1歩でも足を前に踏み出すと自分の真ん前に寄ってきたような気がして、ドキドキしたりして(ははは)>アホか!

2曲目からは、クライスラーの愛の喜び、ショパンのノクターン、エルガー 愛のあいさつ…と、バラさんお得意の(?)優しい、甘い曲が続きました。これらは前回聴きに行った時にも聴かせていただきましたが(こういう曲しか弾かないイメージがあります)、とても良いです。ノクターンあたりからヴァイオリンも鳴り始めて、「そう、これこれ!」 という演奏を聴くことが出来ました。
オケも聴いてみると決して悪くは無いのですが(アルバムも買って帰りましたが、良い演奏をされていますし)、でも何かが違うのですよね。バラさんもオケもいいのですが、両者のバランスでしょうか。出来ればミシュクさんのピアノ伴奏で聴きたいなぁ…と思いました。
※12月に御2人のリサイタルがありますので、これは行きます!!!

数曲フルートのマリア・オシポワさんが演奏されました。
「ヒーリング・クラシックス」という題名から言いますと、これが一番癒されたような気がします(笑い) バラさんの演奏は、癒しではないと思うので…(感動して疲れるから、爆)
このマリアさん。素敵な方なのですが、無表情で登場、演奏、そして退場… といった感じで、笑顔が1つも無いのです。緊張しているのか、何か怒っているのかしら…とこちらも気を使ってしまいました。ただ、フルートの音色は良かったですv

一番最初にバラさんが舞台に登場された時に、客席を見て少し驚いた表情をされていて、また、こちらも演奏後の拍手をする時に、何か拍手が響かないといいますか、いくら叩いても鈍い音がして変だなぁと思っていたのですが、前半が終わって客席の後ろを振り向いてびっくり!
目算ですが、会場には1/2弱程のお客様しかいなかったのです(涙、1/3位かも)>拍手も盛り上がらないはずです…
怖くて会場の客席数を確認しておりませんが、でも少ないです。前回のバラさんの海老名公演やデュメイさんの逗子や壬生の公演を思い出しました。大好きな演奏家の公演がこういう感じですと、きちんとお客様集める努力はされたのっ?!(恐らくされたのだとは思いますが)って言いたくなります。
本日はバラさんたちの公演の初日でしたし、最初がこれだとどうなってしまうのでしょう。申し訳ない気分になりましたが、その分聴きにきた私達で何倍も楽しまなくちゃ、と後半は聴き入りました。

そう考えると、川畠成道さんは本当にすごいなぁと思います。
当時、当然のように(?)会場一杯に人を集められていたのですから。
会館が用意したパンフレットも待遇が全然違うのですよ(笑い) 川畠さんの時は素敵なデザインのパンフレットでしたが、今回はパンフレットというよりもチラシを少し加工した1色刷りのコピー…しかも、これはツアー中、全部の場所で使いそうな勢いです(暗) >いいですけれども。

バラホフスキーさんは2枚アルバムを出されていて(「麗しのヴァイオリン1・2」)、これはコンサート会場、もしくは事務所に電話して通販でしか購入できないものなのですが、私はどちらもとても気に入っています。>会場で迷われたら、ひとまず2枚とも購入されることをお薦めします!
その中に収録されている「タイスの瞑想曲」が私は大好きで、他の方の演奏と比べても、やはりバラさんのタイスを手に取ってしまいます。私にとってのタイスはバラさんの演奏なのです(ここはさすがのデュメイ氏も負けます…)。

バラさんの後半の1曲目はその「タイスの瞑想曲」です!
素晴らしかった…(欲を言えば、しつこいようですがミシュクさんの伴奏で聴きたかったです、笑い)
上手いというのとも少し違うのですが、この弾き方、音の出し方、みたいなものが私の好みに合うのですよね。入間まで聴きに来て良かった、と思った瞬間でした。

ラストのツィゴイネルワイゼンも私のお気に入りv バラさんのツィゴイネルは大好きです。
(バラさんの演奏は、他にはサン=サーンスの序奏とロンド・カプリッチョーソ、サラサーテのカルメン幻想曲、などもお薦めです。)
弓の毛も演奏中にスパン!と数本切れ(1曲目の「夏」でも早々に切れていました)、曲の勢いが伝わってきました。最後の曲で皆のハートを掴みました!という感じで、会場は大拍手。初めて、演奏家と観客が一体化したようでした。

でも、一番良かったのはアンコールの3曲(笑い)
この3曲が良かったので、良いコンサートだったなぁと、今思えるのだと思います。
最初の1曲目は私の知らない曲だったのですが、バラさんらしい、甘い素敵な曲だなぁと思いながら聴かせていただきました。
2曲目はシンドラーのリスト!
バラさんがこの曲を弾かれるとは想像もしていなかったので、色々な意味で楽しみました。
ここで会場は大拍手が起こり、もう演奏は終了…の雰囲気になったのですが、バラさんが 「あと1曲だけ!」 とその流れを自ら断ち切り(笑い)、弾いて下さいました。
この3曲目も知らない曲で、しかもアンコールの掲示を撮った写真がピンボケで文字がほとんど読めない状態でしたので、題名に確信が持てないのですが、出だしが 「ボギーとベス」 かな、と思わせるような雰囲気で、今までの曲とは全く雰囲気の違う、楽しい曲でした♪
チェロの人は盤上(?)を太鼓代りにポコポコ叩き続けていました… 結構良い音が出ていたのが新しい発見でした。
ノリの良い曲なのですが、その「ノリ」を絶妙に生み出し、演奏で表現されるバラさんが素晴らしかったです。こんな一面も持っているんだ… と、今までのイメージでは想像していませんでした。

演奏がひとまず終わると、さらに 「One more!」 という感じで人差し指を上げて、今度は同じ曲を違う雰囲気で弾き始めました。会場も演奏に合わせて手拍子を(笑い)
これは本当は何と言う曲なのでしょう。楽しい曲でした。月末にオペラシティ公演も行ってきますので、その時にきちんと確認してきたいと思っています。

最初は何だかんだと心配と不満があった公演でしたが、終わってみると良い公演でした(笑い)
だって、2日たった今でも演奏が頭の中を駆け回っているのですから!
続くオペラシティ公演も楽しんできたいと思います。
(出来れば、バラさんとオケとのバランスが少し良くなっていると嬉しいのですが)

2007年7月16日 記

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