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土曜ソワレシリーズ 女神との出逢い
松山冴花 ヴァイオリン・リサイタル
【 2007年6月23日(土) in フィリアホール 】
 ピアノ:若林 顕


■ ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ「F.A.E.ソナタ」(第3楽章「スケルツォ」)
■ J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調BWV1004
         第1楽章:アルマンド
         第2楽章:クーラント
         第3楽章:サラバンド
         第4楽章:ジーク
         第5楽章:シャコンヌ
■ ショーソン:詩曲 Op.25
■ フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
■ サラサーテ:序奏とロンドカプリチョーソ

アンコール
■ クライスラー:美しきロスマリン
■ サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25(部分)
昨年の秋、オーギュスタン・デュメイさんが演奏されたブラームス F.A.E.ソナタ「スケルツォ」にすっかりはまってしまった私は、再びスケルツォを生で聴きたくて、その後チラシを色々チェックしておりました。その見つけた1つが今日の松山冴花さんのコンサート。失礼ながら、松山さんの事はお名前しか知らず、どのような方なのかは全く分からずにホールへ向かいました。

本日のホールはフィリアホール。
昨年、川畠成道さんとダニエル・ベン・ピエナールさんのコンサートで素晴らしいクロイツェルを聴くことが出来た、思い出深いホールです。音響も良いのですよね♪
本日のコンサートはNHK-BSクラシック倶楽部の撮影が入っておりましたので、後日見ることが出来ると思います。>ぜひ御覧になって下さい♪
客席的には残念ながら満席…ではありませんでしたが(逆にひどい空席も見られませんでした)、主に海外で活動されている方のようですので、知名度など考えるとこれだけ集まればすごいのでは、と思いました。圧倒的に男性(しかも年配の)が多かったです。

開演前にパンフレットに書かれていた松山さんのお言葉を読んだのですが、これが面白くて。
>以下、引用です。

フィリアホールで弾けるのをずっと楽しみにしていました!ヨコハマにはまだ一度も行ったことがなく、フィリアホールがすごく綺麗なところと聞いていたので、ちょっと興奮ぎみです。
その勢いでプログラムを作ったので、冷静にプログラムを見ると、バッハの後にショーソンがあったり、体力的にかなり大変です。なので、今はお天道様の下を走って、本番に向けて鍛えています。(NYはこのところずっと30℃を超えているのでいいチャンスです。)
でもせっかくのフィリアホールでのリサイタル、弾きたい曲を精一杯弾いて、感謝一杯の楽しめるコンサートにしたいです。
がんばります!


バッハの後にショーソン…って、プログラムを確認しますと、確かにバッハの全5楽章のあとにショーソンの詩曲がありました(笑い)すごい・・・ こちらも、何だか楽しみになってきました。

舞台に登場された松山さんと若林さん。
松山さんは、写真では少しキツめな感じの印象を受けるのですが、実際は違いまして、とても優しい笑顔をされる方でした。髪も短くされていました。

1曲目がいきなり、私の楽しみにしていたスケルツォです(爆)
ジェラール・プーレ先生のリサイタルの時にも感じましたが、どうしてスケルツォを1曲目に持っていかれるのかしら…音が響かないのでは…と。もったいない感じがしました。

ですが、松山さん。プーレ先生とは違って、このスケルツォをものすごくヴァイオリンを鳴らして演奏されていました! (ここで一気に松山さんのヴァイオリンに惹かれてしまいました、笑い)
当然ながら上手いですし、ヴァイオリンの音も私好みです。そしてスケルツォの世界観も大きい。
と同時に、若林さんのピアノの音色も美しく、御2人のバランスが良かったので、大満足でした。
デュメイさん&小山さん組のスケルツォでは、小山さんは勢いのまま弾かれておりましたが、若林さんは勢いはあるけれども全体のバランスもきちんと考えているような(1音1音が正確というか)、また違ったタイプの伴奏をされていました。
ヴァイオリンとしてはデュメイさんのスケルツォのほうが、やはり世界観は大きいですけれども(爆、ひいき目で見ているのもありますし、何と言いますか、松山さんよりも横幅がもっとあるような気がしたのです。右腕の振りも大きかったですし)、松山さんもかなりのものでした。幸せでした♪

続いて、ピアノの蓋が閉じられて、バッハの無伴奏です。
私はこのパルティータ2番を生で全部聴くのは今回が初めてでした。シャコンヌのみは聴く機会がありますけれども。第1楽章のアルマンドから大変素晴らしい曲ですよね!
松山さんのヴァイオリンの音色そのものを気に入った私としては、最初からスッと松山さんのバッハの世界に引き込まれました。第3楽章のサラバンドは優しくゆっくりと、第4楽章のジークは勢いのまま、一気に弾き通されました(と、記憶しております)。
有名な最終楽章シャコンヌですが、松山さんはとても熱く、自分の感情を曲に込めて弾かれていたように感じました。私は良く聴きに行きます川畠成道さんのシャコンヌには宗教的な要素を感じるのですが、松山さんの演奏はそういったものは無く、松山さんの情熱をたっぷりと感じることが出来ました。とても熱く、激しいシャコンヌでした。同じ曲でも演奏家によって雰囲気がだいぶ変るのだなぁと思いながら聴かせていただきました。
シャコンヌに入ってからは少しお疲れになったかしら…と思うような、少し指や腕の振りの遅れのようなものを感じましたが、でもその集中力に私たちは圧倒されました。演奏後にはブラボー!の声が。
…そして、私の後ろで携帯電話の着信音が(怒)信じられません。即刻、退場していただきたかったです!松山さんに失礼ですよね!!!

続いてのショーソン「詩曲」でも、松山さんの情熱は爆発(笑い) 松山さんの思いにヴァイオリンの音色が答えてくれていたので、聴いていて気持ちが良かったです。
ですが、私としては詩曲はオーケストラ版が好きなので、ピアノ伴奏ですと少し物足りなくて。ピアノも良かったのですが…(好みの問題ですね)

休憩を挟んで、後半はフランクのソナタ。
久しぶりに聴いたフランクでした。この時だけは松山さんの前に譜台があり(他はありませんでした)、そのためか、他の曲に比べると松山さんらしさが欠けてしまったかな…と。
若林さんのピアノも、思い切り「楽譜通りです」のような伴奏で、正確ではあるのですが、聴いていて面白味や感情移入が出来ませんでした。フランクのソナタは少し音符を飛ばしても良い位、突っ走って弾いていただくのが好みなので(笑い、特に第4楽章のラストの部分!)
悪くは決してないのですが、こじんまりとまとまりすぎでしまったような気がしました。>言いたい放題で申し訳ございません。

フランクとは対照的に、ラストのロンカプはとても良かったです!

アンコールは2曲。
美しきロスマリンは、松山さんのヴァイオリンの音色にぴったりの曲だと思いました(そういう音なのです)。カルメン幻想曲は、後半のとても盛り上がる部分のみを(1曲は長いですし)。久しぶりに聴きましたが、ラストの段々速くなっていく辺りはやはりいいですね!弾かれている松山さんも、カルメンのようにとても色っぽく感じました(笑い)
2曲一気に弾いてくださったのですが、その後若林さんが「もう、これで終りだよね?」と松山さんに確認して(声は客席までは聴こえませんでしたが、笑い)、終りだと分かると満面の笑みで客席にお辞儀をされたのが可笑しかったです。

思いもよらず、すてきなヴァイオリニストの演奏に出会えて、得した気分でした。はまる…というのとは少し違いますが、また機会がありましたら松山さんの演奏をぜひ聴きに行きたいと思います。

2007年6月24日 記

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