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日本フィルハーモニー交響楽団
第311回名曲コンサート
【 2007年1月14日(日) in サントリーホール 】
指揮:小林研一郎    ヴァイオリン:アナスタシア・チェボタリョーワ
コンサートマスター:木野雅之


■ チャイコフスキー : オペラ 《 エフゲニー・オネーギン 》 より「ポロネーズ」
■ シベリウス : ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
■ チャイコフスキー : 交響曲 第5番 ホ短調


アンコール
■ パガニーニ : カプリース 第1番 アナスタシア・チェボタリョーワ独奏
■ ブラームス : ハンガリー舞曲 第5番
以前から書いておりますが、私はアナスタシアさんのヴァイオリンの音色を時々聴きたくなってコンサートに行きます。今回も聴いてみたいなぁ〜と当時チラシを見て思ったので、行くことにしました♪
後半のチャイコフスキーの5番は小林研一郎さんの十八番のようですし(と、チラシには力強く書いてありました!)こちらもとても楽しみにしていました。

近頃はとても静電気が起こりやすい季節のようで、着て行った黒いコートもホコリまみれ(涙)
…そんな1日でした。

本日の1曲目は 《 エフゲニー・オネーギン 》 より「ポロネーズ」。
エフゲニー・オネーギンはプーシキンの作品ですね。私はこの曲の題名を見るたびに「プーシキン読まなくちゃ」と思うのですが、未だに読んでいません…
生演奏を聴くのは初めてだと思うのですが(聴いた記憶が無いので)、日フィルさんの演奏は華やかで安定感がありましたし、とても良い1曲目だったと思います。でも、これはチャイコフスキーのオネーギンかもしれないけれども、プーシキンのオネーギンの世界では無いのだろうな…と思いました(どちらかというとチャイコフスキーよりもプーシキンに興味がある私としては)。といっても プーシキンの作品を沢山読んだわけではありませんし、オネーギンを読んでいないので思う権利も無いのかもしれませんけれども(笑い)、何となくそう思いました。
きちんとオネーギンを読んだ上で、曲を聴くなり、オペラを見るなりしたいです!

次はピンクのドレスを着たアナスタシアさんが登場。
シベリウスよりも眠れる森の美女とか白鳥の湖とか弾いた方がいいのでは… と思えるような輝きでした。オケに一気に華が咲いたような、「お姫様登場!」のような光景でした。>個人的には、髪をアップにされていればもっと良かったのですが! でも、演奏には関係ないことです。

シベリウスのコンチェルトを生で聴くのは初めてでした。
私はクリスティアン・テツラフさん&デンマーク国立管弦楽団のアルバムを愛聴しています。
このアルバムの3分50秒位の所。このテツラフさんの奏でる旋律がとても素晴らしいのです!
「私、今泣いてもいいですか…?」 って言いたくなるような気持ちになります。そこから私はこの曲に感情移入していって、第2楽章がまた泣けてきます(曲も良いし、演奏も良いです)。もう、テツラフさんと一緒にヴァイオリンを弾いているかのような気分になります。そして第3楽章で盛り上がってフィニッシュ!

作曲された背景を知るわけでもなく、そんな勝手なイメージを持っているからでしょうか。
本日の演奏は私としては物足りませんでした。
シベリウスのコンチェルトってこんな曲だったっけ…? というような気持ちでした。

まず第一にアナスタシアさんのヴァイオリンの音色がいつもに比べて小さいような気がしました。アナスタシアさんのヴァイオリンは、すみだトリフォニーホールの3階の一番後ろの席でサン=サーンスのコンチェルトを聴いた時でもしっかりと私の耳に届いてきて感動した思い出があるのですが、今日は本当にサントリーホール全体に響き渡っているのかしら…と心配してしまうような響き具合でした。
シベリウスのコンチェルトは 私が想像していた以上にソリストがとても忙しい、技術を要する曲でしたので驚いたのですが、この音の並びでは大きく響かせることが難しい曲(CDだからこそあの位の音で聴くことが出来る曲)なのかな?とも思いました。他の演奏を聴いたことが無いので、何とも言えないのですが。

ですが、アナスタシアさんのヴァイオリンの音色そのものは いつもの通り、私好みの音色でした。難しそうな曲でも、安心して聴くことが出来ます(アナスタシアさんの場合、感情面で伝わってくる「何か」は私には無いのですが)。私個人としては「ふふふ♪」という気分で楽しませていただきました(笑い) その点は大満足です。

第二にオケの迫力がありませんでした。こじんまりしていると言いますか。ソリストの音色を活かすために配慮した演奏だったのかもしれませんが(アナスタシアさんの音色はオケにかき消される事はありませんでした)。
ヴィオラが頑張って、ヴァイオリンがお休みの場面がとても多く感じましたので、生で聴くとこのようなものなのかもしれませんが、でも第3楽章などもっと盛り上がるものだと思いますし…
疑問が残るシベリウスでした。これが本来のシベリウスなのであれば、随分と地味な曲なんだなぁと思います。私にとってはそのような演奏でした。聴いていても泣きたくなりませんでした。>納得は出来ませんでしたけれども、楽しんで聴かせていただきましたよ!

アナスタシアさんのアンコールの時は、小林マエストロはヴィオラだったかチェロだったかの方の椅子に半分座らせてもらっていました。ちょこん、と座っている姿が何とも言えませんでした。
アナスタシアさんらしいなぁ…と思えるような選曲でした。こういった曲が好きな方のようですね。
でも、聴いているこちらとしては微妙…もう少し分かりやすく楽しめる曲の方が嬉しいです(苦笑い)

休憩の後は本日のメインとも言える、コバケンのチャイコ5番!
私もムラヴィンスキー&レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で予習して挑みました。
以前、4番を頭の中に入れるのに苦労した思い出があるのですが、5番はとても受け入れやすい曲ですね! 全体的に曲がとても良くて、好きになってしまいました。なので、本日の演奏は楽しみにしていました。

小林マエストロ御自身も、この曲には相当の思い入れがあるのだと思います。
ホール全体が静寂になるまでずっと(結構長い間でした)待って、「無」になってから演奏を始められました。当然ながら(?)マエストロの前には譜面台はありません。

マエストロの指揮はとても深く、私の持ち合わせている語彙ではとても表現できるものではありませんが(笑い)私好みのストレートな指揮でした。すごく、頭を振りながら(!)体全体で指揮される方です。演奏中の唸り声も有名ですね。
各楽章間(第3楽章→第4楽章は続けて弾かれました)に、1度オケの方々に一礼してから指揮台を下りる姿も印象的でした。そして、汗を拭きます。>すごい運動量ですよね。
第2楽章と第3楽章の合間では皆でチューニングをされていました。その時、マエストロは指揮棒をチェロの方に預けて汗を拭き(鼻もかまれていたような気が…)、その後に背中のコルセットを「バリッ!」と剥がして貼りなおされていたのが良かったです(笑い)マジックテープを剥がす音はとても目立っていました。>皆がチューニングしている時ならそんなに目立たなかったと思うのですが。

肝心の日フィルさんの演奏はどうだったかと言いますと、私個人としては80点位かなと思いました。(チャイコフスキーのこの曲そのものは素晴らしいので、悪い印象になる訳がありません!)
日頃聴いているムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの演奏って 何て素晴らしいのだろうって、聴いていて そちらの方に気がついてしまいました(笑い)全体的なバランスとまとまりがとてもいい演奏だと思います。
日フィルさんの演奏は、管が強すぎる気がしました。1度気になってしまうと、だめですね… 最後の方では管の音色に怒りすら感じてしまいます(爆)

ですが、第4楽章はとても良かったです。ここが良かったので、全体的な感想もかなり好印象として残ったのかもしれません。弦の強弱のメリハリもすごく活きていました。
私はこの部分を聴いていると「勝利」という単語が心に浮かぶのです。日フィルさんの演奏も勝利の大パレードのようなイメージが浮かび、紙吹雪の舞う中、皆で行進しているような気持ちになりました。すごく聴いていてスカッとしました。

演奏後はブラボーが飛びました。このブラボーは演奏に、というよりも5番を振ったマエストロに向けられたものなのでは?と思います。ホール全体、大拍手でした。
当の小林マエストロは、どこへ行っちゃうの?と思う位、コントラバスや管などの奥の方へあちこち小走りで向い、握手やら挨拶やらを促しているようでした。

その後、本日のこの演奏を最後に退職されるというチェロの方への花束贈呈がありました。私は当然ですがこの方を存じ上げませんが、何だか泣けてきました… 35年間お疲れ様でした、という気持ちで一杯でした。

アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番。
「これぞ、コバケン+日フィルの実力!」という感じで、すごくまとまりが良く、勢いのあるブラームスでした。正直言いますと、本日1番の名演奏はこのアンコールだったのでは…と(爆)

何だかんだと文句を言いつつ(言いすぎですね…)、とても楽しませていただいたコンサートでした。
小林マエストロの指揮は、また機会があったら聴きに行きたいと思います。

2007年1月14日 記

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