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新日本フィルハーモニー交響楽団 ニューイヤー・コンサート |
【 2007年1月3日(水) in すみだトリフォニーホール 】 指揮:広上淳一 ヴァイオリン:堀内麻貴 / 山田容子 コンサートマスター:豊嶋泰嗣 司会:榎本有紀子 ■ 千住明 : Dry & Wet ■ レハール : ワルツ 「金と銀」 ■ ヨゼフ・シュトラウス : 鍛冶屋のポルカ ■ ヨハン・シュトラウス2世 : ワルツ 「ウィーン気質」 ポルカ 「観光列車」 ワルツ 「皇帝円舞曲」 ワルツ 「加速度円舞曲」 ■ J.S.バッハ : 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043 ■ ワーグナー : 楽劇 『ラインの黄金より』 「神々のヴァルハラ城への入城」 アンコール ■ ヨハン・シュトラウス2世 : 美しき青きドナウ ■ ヨハン・シュトラウス1世 : ラデツキー行進曲 |
2006年最後のコンサートである第九は広上マエストロ&新日フィルさんの組合せで聴かせていただきましたが、2007年最初のニューイヤーコンサートも再び同じ組合せで聴くこととなりました。 久しぶりのすみだトリフォニーホールです。前回(1年以上前ですが)は3階のさらに後ろの席で(舞台なんて見えません、笑い)アナスタシアさん@サン=サーンスのコンチェルト、そしてドビュッシーの海を聴きました。とても音響の良いホールでした。今度は1階席2列目。音を楽しむには前過ぎる席ではありますが(ここしか取れなかったので)、それでも頭の上を音が飛ぶことなく、良い演奏を聴く事が出来ました。今回改めて、このホールが好きになりました。 舞台に登場した新日フィルさん。ニューイヤーだからか女性の方はそれぞれ自前と思えるドレスを着ています。色も形もまちまちなので全体的なバランス感は欠けますが、華やかでいいですね!当然ですが、和服の方はいらっしゃいませんでした(爆) 続いて指揮者の広上さんが登場。前回も感じましたが、広上マエストロは小柄な方です。 …ヴァイオリニストのデュメイさんが横に立ったら、指揮台に上がっている広上さんよりも目線は上になるよな、と思わずにはいられません。きっと、そのままのデュメイさんの方が高いと思います。 いつか この御2人の組合せで協奏曲を聴いてみたいです(笑い) 2人とも演奏中によく唸りますし、曲に対する思い入れも激しい方々ですし、ひょっとしたら合うのではないかと思います。 さて、本日の…というよりも今年の1曲目。 ―― これが、ものすごく格好良かったです!!! 曲がすごくいいですし、指揮する広上さんもいいし、演奏される新日フィルさんもいい! もう、全てが格好良くて、新日フィルさんのニューイヤーを選んで良かったなぁ…と思ったのでした。 私はプログラムを頭の中に入れていなかったので、演奏中 「これは誰の何という曲なんだろう…でも、すごくいいなぁ」 とずっと思っていました。 曲が終り、千住明さんの「Dry & Wet」と知ってびっくり! へーーーーーっ、という気分でした。オーケストラの曲って、クラシックと呼ばれるような(?)ベートーヴェンだったり、バッハだったり、そしてショスタコーヴィチであったり…そういう「昔の曲が1番」という固定観念が私の中には少しあったのと、さらに日本の作曲家には関心が無かったので(中野稔さんは別です)、千住明さんという名前こそ知っていましたが、聴こうと思ったことはありませんでした。こんな素敵な曲を作られているなんて! 食わず嫌いと言うか、聴かず嫌いのようなものですね(笑い) 今年は音楽に関して 今までより もう少し視野を広げていきたいと思っていたので、正にそんな今年の私の思いを象徴するかのような この曲との出会いでした。改めて 演奏家に限らず、クラシックに限らず色々な音楽を聴きたいと思いました。 とても気に入ったので、家に帰ってからこの曲のアルバムなど出ていないか調べてみました。 出ていました! ですが視聴してみると、違うのですよね。これは私が感動した「Dry & Wet」ではありませんでした。違う曲のように感じました。 広上マエストロ&新日さんのは、リズム感が溢れていて、切れがあり、迫力があり、で本当に素晴らしかったのです。管と打楽器の音量も丁度良くて。この感動は、ここに居合わせた人たちにしか分からないのでしょうね。残念! 何度も書きますが、良かったですよ〜v 本日は榎本有紀子さんが司会をされていて、曲の合間に広上さんとのお話が入りました。 私は新日フィルさんのニューイヤーコンサートは今回が初めてだったのですが、毎年キーワードを決めて曲目を選んでいるそうです。 今年は何だと思いますか? ―― ちょっと じらしてみました(笑い) 『金』 だそうです。 「Dry & Wet」はアサヒビールのCM曲なので、ビールの色(強いて言えば「金」)をイメージして…ということです。 面白かったのは「ウィーン気質」の時のトークで、「これは『気質(きしつ)』と書いて『気質(かたぎ)』と読みます」と広上マエストロが語ったのですが、その後の言葉が続かなくなってしまって…(笑い) 「えーーーと。」と言いながら、紙を読み始めるマエストロ。 「『ウィーン気質』は未完の曲…だということですよね?!」とフォローに入る司会者の榎本さん。 「私もこのオペラをきちんと観たことがないので、よくは分からないのですが…」とまだ紙を読んでいるマエストロ。 「マエストロは、小さな字を読むのが大変になってきているようですね。しばらくお時間がかかりますのでお待ち下さい(笑い)」と再びフォロー。 そして紙を読み終わった広上マエストロが一言。 「この 『ウィーン気質』 は未完の作品でして…」 (笑い) ウィーン気質が未完のオペラだという事が、よく分かりました。広上さんと榎本さんとのやりとりは、全体的に面白かったです。 また このコンサートでは、毎年干支にちなんだ曲を1曲やるようで、今年は「こじつけなのですが…」と、『猪突猛進』にかけて「加速度円舞曲」を演奏されました。 後半の1曲目は私の好きなドッペルでした。 ソリストは、新日フィルの第一ヴァイオリン・フォアシュピラー奏者(コンサートマスターを手助けする役割を持った方)の堀内さんと山田さん。このお二人は、多く新日フィルさんを聴きに行っているわけではない私でもお顔を覚えている方です。他のオケの方たちよりも、ヴァイオリンの構え方とか弾き方とかが際立っているのですよね。いつも、上手だなぁ…と思いながら拝見しています。 そして本日のドッペルなのですが、私はヴァイオリンを弾きませんし、この曲がどれ位難しいものなのかは分からないのですが、ただ何回か他の方たちの演奏を聴いた記憶を元に正直な感想を述べさせていただきますと(大変申し訳ないのですが)、「これは本当にバッハのヴァイオリン協奏曲なのだろうか…」と思いました。 恐らく、お二人は相当上手に弾かれていると思うのです。ですが、オケにヴァイオリンの音色が埋もれていましたし(なので、ソリストの存在感が無い)、1つ1つの音の運びが重く感じました。これは、私の知っているドッペルでは無いなぁという感じでした。大好きな曲なのですが、曲に魅力を感じないのですよね…聴いていて、面白くないと言うか。「平凡」 というのともまた違うのです。 ドッペルの感想で私の記憶に新しいのが、昨年の川畠成道さんのクリスマスコンサート。プーレ先生とのドッペルです。 あの時 私は川畠さんの演奏に対して、「オケと調和していない」とか色々不満を感じていたのですが、今回の演奏は それ以前の問題でした。オケの調和以前に、自分と目の前の楽譜との闘い、というような演奏でした。聴いていて、川畠さんの演奏ってすごかったんだ…と感じました。 そしてさらに、諏訪内さん、チョー・リャン・リンさん、プーレ先生、サッシャたち(私がこれまでに聴いたドッペルの演奏者の方々です)はもっと、もっとすごかったんだ…と思いました。 ソリストという存在が、どれ位すごいものなのかを少し知ったような気がしました。その違いを見せつけられたような気がしました。本当、選ばれた力・魅力を持っているからこそ! なのですね。 最後の曲は、ワーグナーの歌劇「ニーベルングの指輪」の序夜「ラインの黄金」のなかの1部分。 「私は全部観たことは無いのですが…」と広上マエストロ。>観ずに指揮されるものが多いのですね! これは全部で15時間以上にも及ぶ大曲だそうで、序夜と3夜、合計4日間かけて上演されるそうです。(ニーベルングの指輪は、私は昔 漫画で読んだことがあります、爆) 本日の部分は、虹の橋が現われる場面とのこと。舞台上には、照明の虹が掛かるという演出がされていました。 曲が終わると、2階席の両端からクラッカー(?)のようなものがポン!と鳴って、金・銀・白の四角い紙が空から降ってきました。すごくびっくりしました。でも素敵な演出でした。 アンコールは「ありきたりの曲ですが、これを演奏しないと皆さんが許してくれないでしょう!」(by.広上マエストロ)ということで、ラデツキー行進曲♪ …ではなくて(笑い)、「美しき青きドナウ」でした。 これがまた、疲れがすーーーっと取れてしまうような、綺麗な、気持ちの良い演奏でした。 確かに、これを弾かないと皆が許してくれないかもしれませんね。 そして本当の最後にラデツキー行進曲。 指揮を堀内さん、山田さん、そして司会の榎本さんが順番にされていました(笑い) とても楽しいニューイヤー・コンサートでした。 (曲の合間には、今年の抱負大賞とかプレゼントの抽選などもありました。) 来年もニューイヤーに行くなら、新日フィルさんがいいな…と思いながらホールを後にしました。 2007年はどのような演奏に出会えるのか…今からとても楽しみです。 2007年1月4日 記 |
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