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小山実稚恵 ピアノ・リサイタル ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ |
【 2006年10月1日(日) in 壬生町中央公民館大ホール 】 ■ モーツァルト : ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第41番 変ホ長調 K.481 ■ メンデルスゾーン : 無言歌集から(ピアノ・ソロ) 作品19-1 ホ長調「甘い思い出」 作品30-6 嬰ヘ短調「ヴェニスの舟歌」 作品67-2 嬰ヘ短調「失われた幻影」 作品38-2 ハ短調「失われた幸福」 作品67-4 ハ長調「紡ぎ歌」 ■ ブラームス : ハンガリー舞曲集から 第5番 第2番 ■ ブラームス : F.A.E.ソナタより 第3楽章 スケルツォ 休憩 ■ ブラームス : ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108 アンコール ■ パラディス : シチリアーノ |
東京から約2時間程の所にある壬生町。私には初めての場所でしたので、きちんとホールにたどり着けるのか心配でした。しかも夕方から雨が降り始め、暗くなるのも早く感じましたし。そんな不安要素いっぱいの中、追い討ちをかける様に私は家を出る時間が30分遅れてしまいました。 電車の乗換えがスムーズにいけば、何とかギリギリ間に合うかも…という状態でしたが、やはり小山駅で次の電車が20分後に出発という事態に(苦笑い) ここまできて『遅刻』なんて、できるかっ!!! ということで、小山から壬生までがどれ位の距離かも分からないまま、タクシーに乗り込みました。 1人でタクシーに乗るのは、昨年の宇和島公演@川畠成道さんの時以来でしょうか。 …さすがタクシーです。開演15分前に余裕で着いたのでした。>運転手さん、ありがとうございました! 壬生町中央公民館大ホールは、約1000人ほど収容出来る大ホールです。後ろの席がほとんど使われていなかったので、5〜600人程集まっていたのでしょうか(正確ではありませんが)。 昨日のコンサート以上に地元の方が集まっている雰囲気でした。年齢層も高かったです(もちろん、若い方もいらっしゃいました)。壬生町には有名な演奏家(今後の予定では上原彩子さん、千住真理子さん、樫本大進さん、アナスタシアさん、諏訪内晶子さん、などをソリストに海外のオケがあがっていました)を呼んで、町の皆さんに楽しんでいただこう…というコンセプトがあるように感じました。なので、クラシックファンでなくても「町内会の催し」位の感覚でコンサートに足を運べるみたいなのです。 なので、客席もマナーについては御愛嬌(苦笑い)! デュメイさんの美音の聴かせどころで、かばんのファスナーをバリバリと開けて当然のように飴を舐めだしたり、咳・くしゃみも気にせずされます。デュメイさんがこれから演奏しようとヴァイオリンを構えているにも関わらず、隣の方とのおしゃべりに夢中になっていたり。(もちろん、真剣に聴きに来られていた方がほとんどですよ。) 昨日の逗子との違いは、モーツァルトでの第1楽章あとに起きた拍手…でしょうか。私にとってはあまり問題ではありませんが、ああ、こういう所が違うんだな…と思いました。 …と詳しく書いたのは決して怒っているからではなく(だって、今回は町の方のためのコンサートですから!)、映画のように気軽にコンサートへ足を運べる環境っていいなぁと思ったからです。確かに、ファンにとっては演奏家との1秒1秒の瞬間こそが大事な訳ですが、こういう楽しみ方もあるよなぁ(むしろ、これが普通かも?)と感じることが出来ました。 東京を離れる時は こういう町に住みたいです、私。壬生町中央公民館も、入口が立派で、人工の小川とか噴水とか色々あって素敵な場所でした。 さて、リサイタル名を見ていただければお分かりの通り、今回は 「小山実稚恵さんのピアノリサイタル」 だったのです! 日本では、デュメイさんより小山さんの方が認知度高いですし、人気があるからこのようになったのだと思いますが… なので、壬生のチラシは唯一小山さんが前面に押し出されているデザインとなっております(このヴァージョンも素敵です)。 プログラムはグリーグのソナタの代りに小山さんのソロでメンデルスゾーンの無言歌集が入っていました。デュメイさんのグリーグは それはもう素敵な演奏なのですが、少し小山さんの演奏に興味を持ち始めた私としては、小山さんのソロが聴ける機会があったのは嬉しかったです。 休憩の位置も、昨日同様F.A.E.ソナタの後に変更となりました。恐らく、紀尾井でもこのようになると思います。F.A.E.ソナタで前半が終わると、スカッとするのですよね〜v 1つの劇を見終わったような感覚になります。小品なのに深い演奏です。 ということで、本日の感想です。 本日の小山さんのドレスはブルーでした。まるで、人魚のようにキラキラと光っていて素敵でした。デュメイさんは昨日と変らなかったような…(爆)昨日窮屈そうにされていたジャケットとブラウスが変っていたかもしれません。でも、蝶ネクタイにスーツというスタイルはそのままでした。 お二人が舞台に登場し、デュメイさんが楽譜を譜台へ置き、眼鏡を掛けて…までは昨日と一緒です。 デュメイさんの譜台の高さは、ピアノの前に座られた小山さんの頭の上にあります。お二人が立った時、小山さんの頭はデュメイさんの肩よりも下にあります。…デュメイさん、大きいでしょう? 昨日の私は デュメイさんの生態に(?)驚きっぱなしで、音色は二の次になっていた感があるのですが、免疫が出来たのと(ひどい言い方、汗)、本日はデュメイさんの顔の表情がリアルには見えない位置ということもあり、デュメイさんそのものではなく、デュメイさんの『音色』をたっぷりと満喫することが出来ましたv もう、すご〜〜〜く素敵なコンサートでした!!!>改めて、デュメイさんの美音に惚れ直しました♪ 今日の聴き所は、特にモーツァルト K.481 だったと私は思います。 あまりの色っぽさに(当然ですがデュメイさんではなく、デュメイさんの音色が、です)ため息が出てしまいました。もう、しばらくはデュメイさん以外の演奏は聴きたくないです…このまま1ヶ月位仕事も何もかも放り投げて、この演奏の思い出に浸っていたいです。それ位、素晴らしいモーツァルトでした。 フランスの宝とも言える音色と響きが昨日よりもさらに磨きがかかっていました! これは聴いて下さいとしか言いようがないのですが、1音でも聴けば この気持ちが分かっていただけると思います。「うわっ、何だ?この異様に美しい音色は…?!」 と最初は感じるはずです(笑い) デュメイさんの気合の入り具合は昨日の方があったように感じますが、その分クセが和らぎ、私には聴きやすい演奏になっていました。足の踏み込みも控えめ(笑い) びっくりすることなく、素直に音楽だけを楽しむことが出来ました♪ それから本日のモーツァルトは第1楽章〜第3楽章まで全てが素晴らしく、最初から最後まで満遍なくモーツァルトの世界に浸ることが出来る演奏でした。デュメイさんのリズムが 昨日私の頭の中にインプットされましたので、一緒に弾いているかのように楽しんで聴かせていただきました。 続いて、小山さんのソロ演奏。 私はピアノに関しては ほとんど免疫がなく、聴きなれていないのですが、そんな私でも飽きることなく最後まで聴くことが出来ました。小山さんの指から出てくる音はとても透き通っていて、耳に心地よいのですよね! 初めて聴いたのですが、素敵な曲だなぁと思いました。 そして、再びデュメイさんが登場して、私のテンションも急上昇(笑い)! 本日は雨も降っていたということもあり、デュメイさんは演奏が終わるごとにチューニングを念入りにされていました(昨日はポンポンと弦を弾いただけで、すぐに演奏に入っていました)。 ヴァイオリンは繊細な楽器なのですね… チューニングだけでなく、デュメイさんは演奏中によく肩当を確認したり、弦を確認したり、弓を確認したり、ちょこまかとされていました(爆、2日間とも) 最初は、ヴァイオリンの調子が悪いのかしら…?大丈夫??? と心配になりましたが、これはデュメイさんの単なるクセなのかな、というのが私の結論です(笑い) 後半のブラームス3番は、これまたモーツァルトに劣らない位に素晴らしかったです(感涙) 最初の1音から非常に美しく、優雅な音色が会場全体に響き渡ったのです。 途中で、音が少し疲れてしまったような時があり(私の思い込みかもしれませんが)、デュメイさんもそれを気にされたようでした(演奏中に軽く弦の確認をされてました)。 やっぱりプロだなぁと思ったのは、その後 恐らく弾き方を少し変えられたのだと思うのですが、疲れていた音が また美音に戻ったのです! すごいですよね。 デュメイさんの音色で今回私が教えられたのは、音だけも人を感動させることって出来るんだ…ということです。私は今まで、音色を聴きにコンサートホールへ足を運んでいましたが、でもやはり感動する、しない、の基準は、『演奏家の演奏+舞台上の雰囲気』 で判別していたような気がします。最近、特にそれを感じていました。 ですが、デュメイさんの場合は完全に 『音』 だけで、今までのコンサートと同じような感動・感銘を味わうことが出来るのです! 素敵な音色を好きになった自分が誇らしく思える位です(ははは) …そして、感動の内に本日のコンサートは終わったのでした。 最後に、公民館の係りの方からデュメイさん、小山さんに花束が贈られました。 なんとデュメイさんは、その女性の手に無理矢理 キスを!!!>さすが、パリジャン! 私としては羨ましい限りですが(笑い)、その女性は明らかに嫌がっていました… 終演後は、小山さんのサイン会がありました♪ 小山さん、ファンの方1人1人に笑顔を絶やさず丁寧にお話をされて(お疲れなはずなのに)、演奏だけでなくお人柄も素晴らしい方なのだな、と思いました。>サインの字もすごく綺麗なのですよ! デュメイさんはといいますと、演奏が終わったらすぐに帰られてしまったそうです(爆) 全く、掴みどころの無いお方です…。 2006年10月2日 記 |
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