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都響スペシャル 大野和士×都響 火の鳥 |
【 2006年7月17日(月) in サントリーホール 】 指揮:大野和士 ヴァイオリン:庄司紗矢香 with 東京都交響楽団 ■ モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調「パリ」 K.297(300a) ■ ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77 with 庄司紗矢香 ■ ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」 (1910年全曲版) |
今日のコンサートはとても楽しみにしておりました。 私にとって、7月唯一のコンサート…というだけでなく。 庄司紗矢香さんのショスタコーヴィチだからです!!! 私は昨年、N響アワーで庄司さんのショスタコのコンチェルトを見て庄司さんというヴァイオリニストを知り、またショスタコのvnコンチェルトの素晴らしさを知ったのでした。庄司さんとショスタコ。私にとっては特別なつながりなのです。また、先月の渡辺玲子さんwith新日フィルさんのショスタコも大変素晴らしかったので、期待は高まります♪ 私にとって初めての東京都交響楽団さんでした。パンフレットで、ソロ・コンサートマスターは矢部達哉さんと知ってびっくり!矢部さんのディア・モリコーネのCDは愛聴しております。ますます本日の演奏が楽しみになってきました。 1曲目のモーツァルト:交響曲第31番「パリ」。 5月に同じサントリーホールで、ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団さんの演奏を聴いた記憶が少しだけあります…第1楽章だけ、体が覚えていました。第2、3楽章の旋律は全く記憶にありませんでしたので、当時私は寝ていたのだろうか…と反省をしたり(苦笑い) 聴いていて思ったのは、ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団さんとの違いです。 都響さんのモーツァルトは、『日本人が演奏するモーツァルト』 でした。なので、庶民的…とでも言うのでしょうか。聴きやすいですし、分かりやすかったです。ということは、モーツァルトの世界から少し離れてしまっているのかもしれません。 ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団さんのモーツァルトは、やはり本場ザルツブルグのモーツァルトなのでしょうね。とても高尚な感じがして 憧れるような演奏ではありましたが、私との間には1枚の壁があるように思いました。 その違いは何なのかは分かりませんが、弓を振り上げる時の風が違うというか…(笑い)その場の空気と風がそれぞれ違うように感じました。(良い、悪い、は好みによると思います。) パリが終わると、オケの編成が大幅に変るようで、大掛かりな舞台の移動がしばらくありました。この椅子や譜台を移動するのもプロがやると以前聞いたことがありますので、譜台の高さなどは やはり気にしながらセッティングするのかな…とじっくり拝見させていただきました。譜台は、椅子に実際に座って高さを調節されていました。が、考えていたように1人1人に合わせて完璧に丁寧にやっている訳ではないようでした(笑い)短い時間で配置しないといけないので、大変な仕事ですね。 再び都響の皆様が登場し、続いて赤いドレスの庄司さんと大野さんが登場。 庄司さん…本当に細い方ですね!何度見てもびっくりします。どこから、あの力強い音が出てくるのだろうかと。 庄司さんは笑顔でお辞儀をされ、曲が始まると一瞬で表情を豹変されました。 本日の庄司さんのヴァイオリン。とても良く低音も高音も響いていたと思います! 音を聴いた瞬間、すごいなぁ…と思いました。音色もすごかったのですが、曲に対する集中力がすごかったです。いつも安心して庄司さんの演奏に入り込むことが出来るので、嬉しいです。そして、また聴きに行きたくなります。 第2楽章。 ソリストとオケとのやりとり次第で、サーカスのような、ミュージカルのような、観客が楽しく乗って聴くことが出来る大好きな(全部好きですが)楽章です。 庄司さんの演奏にもクセはあるのだな…と感じました。コブシがすごく効いている、といいますか、庄司さんならではの音の溜め方、唸らせ方(?)のようなものが第2楽章にはありました。 庄司さんはとても良かったのですが、そのノリにオケがついてきていないように感じました。聴いていて、こちらもあまり楽しくなりませんでした(本当はもっとワクワクすると思うのです!)。 ソリストからオケに音を繋げていく部分。ここで気分は最高潮!になるはずなのですが…。 弦楽器の音が小さい割に、管楽器(?後ろの方に並んでいる楽器)の音がものすごく(『下品な位に』と言ってもいいかもしれません。失礼な表現ですが。)大きくて、全体のバランスを崩していました。 そして、時には庄司さんのヴァイオリンの音色を消しました(怒)>ここまで大きいと、消えて当然です。 前回聴いた新日フィルさん。第2楽章の最後は、音をそろえるだけでなく 皆で弓を上げる腕の高さもそろえていました。なので、渡辺さんを筆頭に全体がまとまっているように感じましたし、見た目も格好良かったです。(新日フィルさんは いつも、見せ方・聴かせ方が上手ですよね!) 今日の都響さんの腕の高さはバラバラ。そういった部分も、ちょっとマイナスに感じました。 第3楽章。 ソリストの聴かせどころ満載の楽章です。 客席、そして指揮者を、ケンカを売るかのように睨みつける庄司さん…怖かったです。そして、自分のイメージする世界に入っていかれたのだと思うのですが… どうして こう苦しい顔をして弾いているのに、あんなにも優しい、大きく温かい音色を出せるのだろうかと思いました。まだ若いのに、どうしてここまで大きな世界観を表現出来るのだろうかと。 何をイメージして第3楽章を弾かれているのか教えていただきたい位、素晴らしい入り方でした。 ここまで素晴らしいと、ソロ部分ではもう少しショスタコの世界に入りこんで表現されても、もっと迫力ある演奏でも良かったかな…と欲も出てしまうのですが(爆) 履いている靴が足と合わなかったのでしょうか…。両足の踏ん張り具合が、いつもより弱かったように感じましたし、靴を気にされていたようにも見えました(私の想像ですが)。 注:色々なブログの感想を読んでいると、「地にしっかりと両足を着けて3楽章まで引き続けたので足が痺れたためか、足を振ってリラックスさせていたようだ」との文にたどり着きました。考えてみると、それが正しいような気がします。ヒールで演奏されていますし! この素晴らしい独奏に続く、オケの第4楽章がまた… 盛り上がりに欠けたのですよね。これでは、こちらが音楽に入っていけません! 庄司さんの演奏が浮いているようで、残念でした。ソリストとオケの一体感が欲しかったです。 演奏後は当然、大きな拍手が! (終わった後の庄司さんの笑顔を見て、こちらも力を抜くことが出来ました。) 皆様、庄司さんの演奏とショスタコのすごい曲(と大野さんの指揮)に対して拍手を送っていたのではないかと感じました。改めて、ショスタコーヴィチのvn協奏曲が好きになりました。 ですが、好きな曲ほど要望もうるさくなってしまいますね(苦笑い) これはあくまでも、私個人の感想です。御了承ください。 後半は、ストラヴィンスキーの火の鳥。 初めて聴いた曲で、しかも相当記憶が飛んでおりますので(汗)、この曲については省略させていただきます。(ショスタコでブツブツ文句を言った割に、これでは…と反省しています。) この曲の後にも大きな拍手がしばらく続き(素晴らしい演奏だったのだと思います!)、本日の公演は終了しました。 2006年7月17日 記 |
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