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魅惑のデュオX(感想)
DAIKANYAMA CLASSIC CONCERT SERIES VOL11
【 2005年11月13日(日) in 代官山ヒルサイドプラザホール 】
ヴァイオリン:藤原浜雄     ピアノ:三上桂子


■ ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第3番 変ホ長調 Op.12-3 ★★★
■ R.シュトラウス:ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 Op.18 ★★★

■ プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリンソナタ ニ長調 Op.115 ★★★★
■ パガニーニ:カンタービレ ★★★★
■ パガニーニ:鐘 
■ ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ 第2番 イ長調 Op.21 ★★★★★

アンコール
■ クライスラー:精霊の踊り >記憶に自信がありませんが…  ★★★★★
■ ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ 第1番 ニ長調 Op.4 ★★★★★
友人に誘われて(招待されて)、初めて藤原浜雄さん&三上桂子さんのコンサートへ行ってまいりました。コンサート中の、自分の気持ちの盛り上がり・下がりを で表現してみました(5つが最高とします)。これが、今回は1番分かりやすい私の感想表現だと思います(笑い) だからこそ、非常に印象深いコンサートでもありました。

代官山ヒルサイドプラザホールでは、藤原さん三上さんが演奏する場所と私たちが座っている席との高さが同じ…言い換えれば、私たちの目の前で、インストアイベントのような感じで演奏されましたので、前に座られた人は非常に楽しめましたし、後ろに座られた人は前にいる人の頭が邪魔して少し大変だったと思います。(私は、図々しく前の方の席で楽しませていただきました!)

初めてでしたので、最初の1曲を聴くまでが私はとても緊張しました。私たちの前に登場された御二人は、とても大人の雰囲気を漂わせていました。今まで私が聴かせていただいた いくつかのコンサートとは違うタイプの御二人だと思いました。タキシードの前ボタンを 演奏時には全部はずす藤原さんの姿(入退場時はきちんと留め直されます)も、好感が持てました。というのも、私はジャケットの前ボタンを全部はずしていつも仕事をするからです(関係ないですね)。「演奏時には、自分なりにリラックスして」ということなのではないかな、と思いました。

ベートーヴェンの『ヴァイオリンソナタ第3番』が始まりました。
私は前方の右手側の席に座っていたのですが、自分的にはこれが大正解だったと思います。
ヴァイオリンソナタ第3番。デュメイ・ピリスのCDで予習をした時に、「この曲はピアノが活きなければだめでしょう!」 と思いました。自分の中では、ヴァイオリンソナタというよりも、ピアノソナタと言っても良い位のイメージを持っていました。>ベートーヴェンのVnソナタは全般的にそんな気がするのですが…
右手の席は、ピアノの音色がガンガンに届きます。そして、三上さんのピアノは決して藤原さんのヴァイオリンを殺していないと思いましたので、私としては大満足でした。(ヴァイオリンの音が聴こえない位、大きく聴こえてはいたのですが。)
『シュトラウスのソナタ』も同様で、大人の魅力がにじみ出ているような(?)情熱的なソナタだったと私は思いました。

休憩をはさみ、『プロコフィエフの無伴奏』です。
私はパンフレットをいただき忘れてしまい、また この曲を知りませんでしたので、これは誰の無伴奏なんだろう…と頭の中でグルグルしていました(笑い)
その時思ったことですが、無伴奏というのはとても難しいものだ、と。
第1楽章は、音が並んでいるだけとしか私は思えませんでした。これが正直な気持ちです。藤原さんの音色は素晴らしいのですが、これは音楽なんだろうか…と聴きなれていないので、その作り出すリズムや感覚に入り込むことが出来なかったのだと思います。この第1楽章を聴いている間に、無伴奏というものについて色々考えました。>これを書くと長くなるので省略します。
耳が慣れてきた第2・3楽章では、私にも やっと音楽らしく聴こえてきて、分からないなりにも一緒にリズムを刻みながら聴かせていただけたと思います。この時点で、藤原さんのヴァイオリンに対して気分が高まってきていました。

ですので 次の『カンタービレ』は、とても盛り上がった気持ちで聴くことが出来ました。藤原さんはこの曲から目の前の譜台をはずし、伸び伸びと弾かれていたようにも感じます。

ですが、その次の『鐘』です。
???という感じでした。すごく難しい曲なのだな…とも思いました。
聴いているこちらも 思わず体全身に力が入ってしまうような、本当に繊細な曲なのですね。CDを聴いているだけは分からなかったことでした。(今までに生で聴いたことが無かったので。)
ヴァイオリンに引きずられるようにピアノも「あれ…?」というような演奏になってしまいましたので、先程の盛り上がってきた気持ちも一気に急降下してしまいました(汗)演奏後の拍手で、それは自分だけの感想ではないのだという事が分かりました。少し、流れが45度位違う方向へ行ってしまったかなぁ…というか。御二人が退場する時も、何だか気まずい雰囲気が流れたような気がしました。>失礼な発言、おゆるし下さい。

と・こ・ろ・が…!!!
私たちは藤原さん・三上さんの素晴らしさを、次の演奏で実感することとなったのです。
次でありプログラムではラストの曲であるヴィエニアフスキ『華麗なるポロネーズ 第2番』を、先程の空気が嘘であるかのように弾きこなされたのでした。
この気持ちの切り替え、この集中力は すごすぎる… と驚きました。そして、聴いているこちらの気持ちが熱くなってしまいました。今度は拍手喝采です! 会場の皆が藤原さんの演奏に酔いしれたのだと思います。ブラボーが出ても良い位の盛り上がりでした。

アンコールで「先程2番を演奏しましたので、今度は1番を」と言われて『華麗なるポロネーズ 第1番』を聴くことが出来たのも、嬉しいプレゼントでした。アンコールなのに、同じ位の熱い演奏。周りの方も公演後に「アンコールで、まさか1番が聴けるとは…」と感激されていました。私も同じ気持ちです。

会場には、藤原さん・三上さんのお弟子さん(と思われる方々)が多くいらっしゃっていまして、終了後は一気に楽屋に列が出来たのも印象的でした。しかも、その列が短くなる気配も無く… 楽屋は一体どのような状況になっているのだろうかと思いました。また、ヴァイオリンをお持ちになられている方が多かったのも不思議なことの1つです。(持たれている皆さん全てが、レッスン帰りだとは思えなかったので… )

色々なことを学び、考えることが出来たコンサートでした。また1人、素晴らしい演奏家を知り、出会えることが出来て良かったです。>友人に大感謝! どうもありがとうございました。

2005年11月26日 記

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