戻る

名曲シリーズ クラシックへの扉
新日本フィルハーモニー交響楽団
【 2005年10月15日(土) in すみだトリフォニーホール 】
  指揮:井上道義   ヴァイオリン:アナスタシア・チェボタリョーワ


ビゼー:小組曲 「子どもの遊び」
 T 行進曲(ラッパと太鼓)
 U 子守唄(お人形さん)
 V 即興曲(こま)
 W デュオ(小さい旦那さんと小さい奥さん)
 X ギャロップ(舞踏会)

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 作品61 with アナスタシア
 T Allegro non troppo
 U Andantino quasi allegretto
 V Molto moderato e maestoso

ドビュッシー:海 3つの交響的スケッチ
 T 海の夜明けから真昼まで
 U 波のたわむれ
 V 風と海の対話

アンコール
ドビュッシー:「小組曲」より 小舟にて …だと思います。聴き取れませんでした(汗)
今日のコンサートの目的は、ずばり 「アナスタシアさんのストラディヴァリの音色を聴きにいくこと!」 でした。8月のインストア・イベントでは、今一つ音色が確認できなかったからです。完全に好みでないのならば、わざわざ確認しにコンサートホールまで足を運びません(笑い) とても気になる、好きになりそうな音色の感触が、あの時あったからなのです。

私がチケットセンターに電話した時には ほぼ完売状態で、3階席の一番後ろ、つまりホール全体から言っても一番後ろの席しか残っていませんでした。(でも、その分とってもお手頃価格♪映画のチケット1枚分でお釣りが来るのですから… 見方によっては良い席です。)

すみだトリフォニーホールは、全体的に斜めに席が並んでおりまして。
3階席とは言うものの、一番後ろはエレベーターでは「5階」まで行かなければなりませんでした。
舞台がとっても遠い… おまけに、オペラグラスを持っていったつもりが間違えて母のカメラだったりして(汗) 新日フィルさん、アナスタシアさんの細かな部分は見ることが出来ませんでした。

最初のビゼー「子どもの遊び」が始まりますと、すみだトリフォニーホールの音響のよさを実感しました。一番後ろの席でも、生演奏を聴いている感触が確かにあります! 後ろまで音が響いていました。もちろん、1階・2階席のほうがより良い音が聴こえていたと思いますが。私にとっては、これで十分でした。(個人的には 東京芸術劇場・大ホールの7列目で聴くよりも、この席のほうが良いと思います。)
指揮者の井上さんが飛び跳ねるように指揮をされている姿も何となく分かりました(笑い)とても元気がある指揮で、指揮棒をよくグルグルと縦や横に回されていました。もっと詳しく見たかったところです。残念!

サン=サーンスのコンチェルト。薄いピンクのドレス(恐らく)を着たアナスタシアさんが登場!
ですが、客席のほとんどの方が新日フィルさんを目当てで来られた方のようで、大きなざわめきなどはありませんでした。きっと、その姿は美しかったに違いありません(笑い)

アナスタシアさんの、ストラディヴァリの最初の1音――

すごい! 味のある1本の低音がホール中を響かせました。そして、続いて高音、そしてオケ…
新日フィルさんの演奏も とても素晴らしかったのですが(今回 好きになりました)、その中で、全く違う意味を持った1つの音が響いていて、オケと上手く絡み合っていたのです。すごく綺麗な音色でした。
アナスタシアさん…というよりも、ヴァイオリンが素晴らしい!と失礼ながらに思った位です。

アナスタシアさんの前には楽譜がありました。五嶋龍くんのコンサートの時は楽譜がありませんでしたので 「あぁ、コンチェルトの時は皆さん 暗譜されるんだ…」 と勝手に思っていたのですが、でも 違ったのですね。曲の合間に楽譜をめくられる姿を目にしてしまうと、なんとなく協奏曲の盛り上がりが半減してしまうような感がありましたので(苦笑い)、暗譜される方々って素晴らしい、と改めて思いました。

と言いながら、私の大好きな第3楽章。文句のつけようもなく楽しませていただきました。アナスタシアさんも新日フィルさんも良かったです!この曲って、オケも良くないと楽しめませんから…
アナスタシアさんは 遠くから見ていますとさらっとした感じで華麗に弾かれているように見えたのですが(8月のインストアイベントと同じような)、きっと近くで見てみると違ったのでしょうね。音を聴いているだけでは、その熱意のようなものは分かりませんでした。弾き方に特別特徴があるわけでもありませんでしたので… じっくり、こちらも感情移入して見てみたかったです。次回は、ぜひ近くで(希望)
私は、感情をむき出しにして、一心不乱に弾かれる方の姿を拝見するのが好きなのかもしれません…

結局私は、アナスタシアさんの弾き方に惹かれるのか、ストラディヴァリの音色に惹かれるのか、良く分かりませんでした。入れ込むほどすごいとか、好きとか、そういう訳ではないのですが、なぜか気になる不思議な存在です。でも、演奏というより「音」が好きなような気もします。

―― 本日の目玉は、最後のドビュッシー『海』だったと私は思います。
この曲は、CDで数回しか聴いておらず あまり予習もしなかったのですが。
まず、CDと生とでは迫力が全く違いました! もう、海の偉大さをそのまま表現されたようなダイナミックな演奏でした。まるで舞台の奥から大きな波が客席を襲ってくるような…潮の匂いが漂ってくるような…生命の母とも言える海の安堵感のようなものも感じられました。ですので、途中で安心して眠ってしまいました(苦笑)すごく、聴いていて気持ちが良かったのです…理由になっていませんが。
きちんと、曲を把握してから聴きに来ればよかったと少し後悔しました。本当にとても良かったので、十分に味わって聴きたかったのです。もったいなかったですね。

演奏後には、vn協奏曲では聞かれなかった「ブラボー!」の声がいくつも。アナスタシアさんにもブラボーを出して欲しかったと思うと同時に(自分では言えないので)、このブラボーは当然のような気も致しました。

指揮者の井上さんが最後に「皆さん、今年の夏はいかがでしたか? 海には行かれましたか? 行かなかった方も、今日、ここで十分に味わえたことと思います(笑い)」と話されていました。

確かに、そこには海が存在していました。音だけで海を表現できるなんて、人間(というより作曲したドビュッシーと演奏した新日本フィルさんですが)ってすごいなぁと思いました。
そして、最後の割れんばかりの大拍手をしながら(井上さんは何度も舞台を往復されました、笑い)、改めて今日の演奏はどれも聴き応えのある良い演奏だったと、胸が一杯になったのでした。

2005年10月16日 記

▲上へ
本嫌いさんの読書感想文〜カラマーゾフの兄弟はいつも貸出中?!
YUKIKOGUMA   All Rights Reserved