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第7回文京福祉チャリティーコンサート
Narimichi Kawabata & Masahiko Enkoji
【 2009年2月21日(土) at 文京シビック大ホール 】 昼公演・夜公演
ヴァイオリン : 川畠成道 / 指揮:円光寺雅彦 / 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


■ モーツァルト:歌劇 《フィガロの結婚》より序曲
■ チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 with 川畠成道
■ ショーソン:詩曲 with 川畠成道
■ マスネ:タイスの瞑想曲 with 川畠成道
■ ワックスマン:カルメン幻想曲 with 川畠成道

アンコール(夜公演のみ)
■ サクラ変奏曲 vn 川畠成道独奏
【 昼公演 】

昨日の嫌なパラパラ雨も通り過ぎ、空気は冷たいものの日差しはとても暖かなコンサート日和の土曜日となりました。私もめずらしく会場へ向かう準備が整っていましてこのままいけば、開演20分前には余裕で着く…と家を出ました。

ところが、です。
駅に着くと眼鏡を家用のままで来てしまったことに気が付きました!
私はメガネは4つ持っていて、家用・会社用・コンサート用・予備と使い分けています。家用以外は外出時はどれでもいいのですが、家用だけはまずい…。眼鏡が変、という訳ではないのですが、私にとっては寝間着で人に会うような感覚なのです。これで近所の人以外には会いたくないです。かといって、眼鏡を外して1日は過ごせません(特に今日は昼・夜公演ありますから)。ということで、急いで眼鏡を換えに帰りましたら、いつもの私らしく(?)1曲目のフィガロの結婚は間に合いませんでした(涙)

ホールに着いた頃が丁度1曲目が終わった時だったようで、係りの方に促されるまま席に着きました。私のような人があと数名いて、皆が席に着いた頃(少しお時間いただいてしまいました、汗)に川畠さん、円光寺さんが拍手の中 舞台に登場!

以前は「またか」と思っていたのに(すごく聴きに行く機会があったように記憶しています)、今では久しぶりとなってしまったチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。
指揮者の円光寺さんと川畠さんの組み合わせは、私が初めてチャイコフスキーの協奏曲を生で聴いた時の組み合わせです。東京芸術劇場大ホールでした。川畠さんの演奏会に行き始めて3回目、協奏曲では初めてのコンサートでした。すごく記憶に残っています。家に帰って調べてみると、その時のオーケストラは本日と同じ東京フィルハーモニー交響楽団さんでした。びっくり!
(東京フィルハーモニーさんといいますと、爆睡してしまった金聖響指揮でのメンデルスゾーンのvn協奏曲が強烈に印象に残っています、あはは)

この曲も大変素敵な曲ですよね。そして初めてでも聴きやすい曲です。
昼公演では私は1階席の丁度中央付近の席でした。オーケストラの音は抜群(視覚的には管楽器の方の顔は見えても楽器が見えない感じ)、ですが川畠さんの音が少し届きづらい距離でした。
川畠さんのヴァイオリンの音は小さいのでオーケストラに負けがちというマイナス面はありますが、他の演奏家には無い 音色の丸み、優しさ、みたいなものが楽しめるというプラス面もあります。なので、協奏曲で川畠さんのヴァイオリンを中心に楽しみたい方は前列に座るといいのですよね。

ソリストの音が小さい、というのは川畠さんだけのことではなく、思い出すのがアナスタシア・チェボタリョーワさんと日本フィルハーモニー管弦楽団とのシベリウスのヴァイオリン協奏曲。あの時はソリストの音量に合わせて(恐らく)オーケストラも全体的に音量を下げて演奏されていたのですが、その表現方法があまりよろしくなくて、全体的に魅力ゼロの協奏曲になってしまいました(貧弱…とでもいうのでしょうか、失礼な表現かもしれませんが)。

今回素晴らしいな、と思ったのはとても良い配分でオーケストラの音量が抑えられていたこと。その分、オーケストラのみの部分での盛り上がりが大変素晴らしくて、オケの部分できゃ〜っ!!!となってしまったことがしばしば。指揮者の円光寺さんのまとめ方が良かったのでしょうか。東京フィルハーモニーさんの好感度はものすごく上がりましたよ!

そして、これまた失礼な表現かもしれませんが久しぶりにオーケストラと川畠さんとの会話を聴くことが出来たと思います。皆さんで一体化していました。そして、皆さん格好良かったです!
第1・3楽章のラストの部分とかこちらの期待通り、いえそれ以上の世界がありまして「やっぱりチャイコフスキーはいいなぁ!」とワクワク・感激してしまいました。

第1楽章が終わった後の拍手がものすごくて(演奏も良かったので拍手があっても当然かと思うのですが、それ以上に演奏が終わったと思われた方の拍手の方が多かったと思います)、私の後ろでは子供が「ブラボー!」とか言っているし、ソリストも指揮者も舞台を退場しないので(そりゃそうだ)拍手は治まらないしで、こんな大拍手は私は初めてでした。

川畠さんのチャイコフスキーは1音1音が細かいと以前から思っていましたが、それを改めて感じました。前の円光寺さんとの時はテンポがオーケストラよりも突っ走ってとても速かったように記憶しているのですが、それに比べて大変落ち着かれた演奏になられたなと。川畠さん独特のテンポというのが時々現れて、それがとても川畠さんらしくて良かったです。他の曲でもそうでしたが、弦を弾く時などもリサイタルを思い出させるような 今の川畠さんらしさ100%のものでした。

後半の1曲目はショーソンの詩曲です。本日の私のメインプログラムです(笑)
詩曲のオーケストラ版ってなかなか聴く機会がないのです(私はオーケストラ版推進派です)。しかもそれを川畠さんの演奏で聴けるだなんて、さらに1日2回も聴くチャンスがあるだなんて…!!!
詩曲そのものが、川畠さんにとって初演奏だったそうです(ピアノ版でも今までは無いそうです)。そう言った意味でも楽しみでした。

改めて聴いてみて、この曲の奥深さといいますか、大変難しい曲なのだな…ということを感じました(ソリストもオーケストラも)。あまり好んでオーケストラが取り上げないという話を聞いたことがあるのですが、私の席の周りの方たちを見て少し分かったような気がします。…ほとんどの方が眠っていらしていました(爆、あくまでも私の周りの話です)

正直に感じたことを書いてしまいますが、川畠さんの演奏はショーソンの世界を恐らく表現し足りていないと思います。出だしとか、こちらに分かりづらかったです(曲が曲と思えないと言いますか、音の並びにしか聴こえないといますか)。弾き込んで、弾き込んで、という作業を必要とするそれだけ深い曲なのだと思います。私の思い入れが深いせいもありますが… でもクライマックスなど聴かせどころの部分がオーケストラと共にとても良くて、私は感激してしまいました。総合的には大満足です。
これからも沢山詩曲を弾く機会を作っていただいて、いつか体から当たり前のようにショーソンの世界が表現出来るような演奏家になっていただきたいな…と強く思いました(それは詩曲に限らずどの曲もそうだとは思うのですが)。そんな未来のお姿がイメージ出来たので。

演奏後に仲間とお話しした際に「ショーソン、良かったわ〜!」と言われていた方が多かったので、皆さんには川畠さんのショーソンが伝わっていたんだ…と少し驚くと同時に詩曲好きの私としては嬉しく思いました。いい曲ですよね〜v

続いての「タイスの瞑想曲」は、明らかに『川畠さんの曲』といった感じ(笑)
頭ではなく体から曲が溢れていました。詩曲とは違って弾き慣れていることがすぐに分かります。会場も演奏後には「わぁ…」とため息が漏れていました。ハープの音色も素敵でした。

ラストのワックスマン「カルメン幻想曲」もオーケストラの出だしがとても素晴らしくてワクワク感一杯だったのですが、川畠さんの音がオーケストラ(音を抑えてはいるのですが)に負けてしまっていたのが勿体なかったです。客席の位置にもよると思うのですが、音色が届かない席の方にはラストの曲としては物足りなかったかな、と。ラストの川畠さんの素晴らしい聴かせどころなども良く伝わってきませんでしたし(知っている人には聴こえなくても分かるのですが)。
でもこの曲もオーケストラでは川畠さん初演奏。本日もう1つの目玉でした♪
演奏後はソリスト・指揮者・コンサートマスターさんに主催者から(?)花束が贈られました。

演奏後のサイン会は長蛇の列。休憩中もアルバムの販売コーナーには沢山の人が!
とても楽しいドキドキ・ワクワクな演奏会でした。
これがもう1度夜に聴けるだなんて。友人たちとの会話もいつも以上に弾みました(笑)
今日は久しぶりにお会い出来た友人もいて、そういう意味でもとても楽しい一時でした。

【 夜公演 】

いつものメンバーは昼・夜両公演の参加は当たり前(私以上に皆様、川畠さんのファンなので)。

そう思い込んでいたのですが、私の仲間内では両公演参加は私ともう1人の2名のみでした(爆)
…だって、詩曲ですよ、皆さん。チャイコフスキーももう1回聴けるのですよ。
こんなチャンスはなかなか無いではないですか!

昼公演では途中から入場したため分からなかったのですが、コンサートの始まりに主催者の財団法人富士福祉事業団の会長の方(?)からご挨拶がありました。そういえば、以前のコンサートでも挨拶があったような…この方のお顔に見覚えがあります。
この富士福祉事業団さんの昼・夜公演のチャリティーコンサートへの川畠さんの参加は今回で3回目。1回目の時はやはり土曜日でしたので、その時も両公演参加して楽しませていただきました(笑)
(競輪などの補助があるため、オーケストラなのに通常公演の半額くらいのお値段でチケットが販売されるのですよ! このコンサートって要チェックなのです。)

その挨拶によると、この公演は「普段コンサートに足を運べないようなこの地域のお年寄りの方、身体障害者の方に音楽を楽しんでいただくために企画しているチャリティーコンサート」なのだそうです。 なるほど…と、昼間色々感じたことがこの言葉につながり、納得いたしました。

夜公演は2列目の席でした。
今度は川畠さんのヴァイオリンの音はばっちり届きました。オーケストラの音も頭の上を飛ぶことはありませんでしたし、視界は悪いですが やはり前の席がいいと私は思いました。

演奏に関しては同じ曲目でしたので省略します(笑)
夜公演で特に感じたことは、コンサートマスターさんの笑顔がとてもいいということ。>そこか…

満面の笑顔でソリストに拍手を送る姿って、見ていて気持ちが良いですよね!
そういえば、普通はオーケストラの皆さんが舞台に登場してから、後からコンサートマスターさんが1人で登場して拍手をもらうものですが、東京フィルハーモニーさんは全員一緒に出てこられていました。ですので、昼公演ではコンサートマスターさんの存在が特に感じられませんでした。

そしてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が終わった後、汗だくになって指揮台から降りた円光寺さんのお姿が印象的でした。確かに、ダイナミックな指揮でした。ソリストも大変そうですが指揮者の運動量も相当なものなのだな、と感じました。

夜公演では川畠さんのアンコールでサクラ変奏曲がありました♪
私にとってはすごく久しぶりの曲。後ろのおじいさんがとても感動されていて、日本人には日本の曲だよなー、みたいなことをおっしゃっていました。会場からも大きな拍手が!
この曲を、といいますか日本の曲を集めてアルバムを出されると素敵かもしれませんね。

昼公演に続いて、夜公演も公演後に川畠さんのサイン会がありました。
私は用事がありましたのでそのまま失礼しましたが、たくさんの方たちが並んでいましたよ!

帰りの電車の中では東京フィルハーモニーの方(たぶんヴァイオリンとフルートだと思います)と一緒になりました。オーケストラの方って片づけて帰るのにずいぶん手際が良いのだな…と思いました。
とても楽しい1日でした。
今でも詩曲とチャイコフスキーのコンチェルトが交互に頭の中を流れ続けています(笑)

2009年2月22日 記

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