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東京シティ・フィル管弦楽団 第211回定期演奏会 |
【 2007年9月20日(木) in 東京オペラシティ コンサートホール 】 ベートーヴェン ■ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61 vn独奏:川畠成道 シューマン ■ 交響曲 第2番 ハ長調 作品61 |
コンサートが終わってから10日も経ってしまい、記憶も怪しくなってきましたが(汗)少しでも残っているうちに綴っておきたいと思います。 というのも、今回のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。川畠さんの演奏で聴いてみたいという願いがやっと叶ったコンサートだったからです。川畠さんご自身初めて皆様の前で弾かれると聞いていましたので、弾きなれていると思われるメンデルスゾーンやチャイコフスキーに比べてどうなのかなぁと、楽しみにしてはおりましたがすごい期待を込めていたわけでもありませんでした。失礼な話ですけれども。でも期待しすぎると空振りすることもありますので…(←言い訳がましい) 正直に書いてしまったのは、その予想を嬉しく裏切って(!)とても素晴らしい演奏だったからです! ブラヴォー! 川畠さん!!! この状況を私の言葉で上手く残しておけるか分りませんが、でも残しておかないと…と思います(自分のために)。今後もたくさんベトコンを弾いていただきたいです。 この日は平日(木曜日)ということもあり、週末のコンサートに比べて会場に集まった人は少なめに感じました。私の席からは、2階席のサイドとP席の空席が目立ちました。 川畠さんの初ベトコンなのにもったいない…と無理してでも時間作った私としては思いましたが(笑い)、でも会場の皆様は川畠ファンというよりも、東京シティフィルを聴きにきた方が多かったように感じました。>私の勘はあてになりませんが! やはり、平日の夜は大変ですよね。残念。 私はコンチェルトだから気持ち後ろ目の席で…と思って6列目を今回取りましたが(実際、全然後ろでも何でもありませんけれども…この1・2列の心の葛藤をご察し下さい、爆。フランスの方だったら葛藤しても、間違えなく1列目取ってしまいますし!)、そして6列目の記しの入った席に座ったのですが、実際は4列目。何度も座席を確認したのですが、間違えてなくて。偶然に隣の席だった友人に聞いてみると、1・2列目は舞台になっているとのこと(席が折りたためるので)。 よく見ると、いつもよりも舞台の奥行きがあります。こうやって狭い舞台にもオーケストラが配置できるようになるんだ…と、当たり前のことなのかもしれませんが、私には新鮮でした。 拍手とともに川畠さんと指揮者のゲルハルト・ボッセさんが登場。 ボッセさん…お写真よりもさらにお年を召されています(爆) 私の聞き間違えかもしれませんが、友人が「写真ってどれくらいまで許されるのだろう」って言ったような気がして、その一言が今でも心に残っています。すごくツボを得ている言葉でした。 指揮台にたどり着くまでに、一度川畠さんの背中とぶつかってよろめいたりして。ボッセさんのことについて全く知らなかった私としては、大丈夫なんだろうか…と思った位です(元ヴァイオリニストで、素晴らしい指揮者なんですよ!)。 私の心には7月に同じオペラシティで聴いた諏訪内さん&ヤルヴィさん&ドイツ・カンマーフィルのベトコンの興奮が残ったまま、川畠さん&ボッセさん&東京シティフィルのベトコンが始まりました。 出だしに関して言いますと、恐らく悪くはないと思うのですが(←ここを強調したいです)、ドイツ・カンマーフィルの演奏を聴いてしまうと、やはり受け入れることは出来ないものでした。 ドイツ・カンマーフィルの音ってものすごく「重い」のですよね。そして、私のイメージしているベートーヴェンの世界を何倍にも大きくしたもので、その音楽の中に情報が一杯詰まっている。この曲にはこんなこともこんなことも託されていたのか…って発見がたくさんありました。 だから、お目当てのソリストが弾き始めるまでの数分間はちっとも長く感じませんし、飽きることもありません。あっという間にソリストが弾き始めます。 東京シティフィルさんの演奏はそれに比べて軽いですし、音にメリハリがないので、演奏に引き込まれる感じがしませんでした(指揮者の指示のせいでしょうか)。ソリスト抜きでの演奏に魅力を感じないというのが、私にとってはドイツ・カンマーフィルさんの演奏との大きな違いでした。 それでも、素晴らしいCDを家で聴くよりも、生演奏を聴く方が何倍も楽しいなぁと感じました。(普段はあまり思わないことですが。) そして川畠さんもヴァイオリンを構え始めて、待ちに待った最初の1音… !!!!! 何て若々しいベートーヴェンなのでしょう! これが川畠さんのベトコンなのですね、って出だしを聴いただけで納得出来た気がしました。他の方にはない(あまりアルバムでも聴き比べている訳ではないので大きなことも言えないのですが、汗)川畠さんの世界がそこにはありました。 諏訪内さんの出だしは、何かが生まれてくるような、徐々に下から上に広がっていくような華麗な世界に感じたのですが、川畠さんの場合は何かが元気よく会場全体を駆け出していくような、そして柔らかく、優しい感じ… 諏訪内さんは大人好みの演奏ですが、川畠さんは老若男女、皆さんに受け入れていただけそうな、そんな演奏でした。聴きに来て良かった…と思いました。 この日の川畠さんのヴァイオリンは高音が素晴らしい位に響く・響く! 最近 川畠さんのヴァイオリンの音色が素晴らしいなぁと思ったのは、3月のスプリングツアーなのですが、それよりも良かった…と思います。今年入ってから私としては1番の音色でした(これは個人差がありますのでご了承下さい)。 音の伸びも良いです。気持ちよく頭にスッと川畠さんの音が入っていきます。 お楽しみのカデンツァは、期待通りの…いえ、それ以上のものを聴かせていただきました。 間の取り方やテンポなどが川畠さんらしいなぁと思えるもので、夏の名残のバラを感じさせるような表現もあり、優しい音色で思わず眠りに誘われてしまうような(?!)表現もありで、大満足でした。 N響&ノリントンさんと演奏された庄司紗矢香さんはカデンツァを自作されたことで話題になりましたが、今回の川畠さんはどの方のカデンツァを使われたのでしょうか… 川畠さんの独奏に入るとすぐに、指揮者のボッセさんは指揮台の背もたれ部分に体を預けました(爆) 第3楽章の最後まで、指揮を振り続けられるのかしら…と余計な心配をしてしまいました。もちろん、ボッセさんらしい着実な指揮を最後までされていました。指揮をするって腕の振りが大きい・小さいではないのだなぁとボッセさんに教えていただいたような気がしました。決して派手な指揮ではありませんが、でもきちんと指示したいことは気持ちで演奏者に伝わっていました。 第1楽章が終わると、会場のざわつきがしばらく続いたためだと思うのですが、ボッセさんはコンサートマスターさんに何か大きな声で言っていました。雰囲気的には「もう少し客席が落ち着くまで、始めるのを待ちましょう」みたいなことを言われているように感じました。 そんな所も、ボッセさんらしいマイペースさ(?)を感じました。本当、声大きかったです。 川畠さんのヴァイオリンは、オケに負けてしまうことが多いと思うのですが(悪い意味ではなく、音量的な問題で)、今回はそういったことはなく、とても良い演奏を聴かせていただきました。 ただ、コンチェルトはソリストの演奏からオケにつながる…といいますか、お互いが会話をする部分が決まると、1+1が2になるのではなくて、6にでも7にでもなる位の感動と興奮を私たちに与えて下さいますが、今回その部分が弱かったのが残念でした。それだけが心残りです。 また、ぜひぜひ川畠さんのベトコンを聴く機会に出会えるといいなぁと思います。 …と、東京シティフィルさんの演奏について少し苦言を申してしまいましたが、後半のシューマンが良かったのです! 個人的には、第1・4楽章の盛り上がりに大満足です。 ボッセさんも格好良かった! オーケストラは、やはり協奏曲よりも交響曲を得意とされるのでしょうかね。 この素晴らしさを前半にも出していただけていたらと思うと… (でもいいです。期待以上のものを吸収出来ましたから!) 最後は大拍手の中、ボッセさんは何度も舞台を出入りしました。 お年を考えると何往復も大変だよな…と思いつつ、こちらも拍手を止めることが出来ず。 そしてボッセさんはオケの方々と握手をし出し、最後にコンサートマスターさんの手を取って「帰りましょう!」と2人で舞台を去っていきました(笑い) 今回、客席のマナーが良いとは言えませんでしたが(演奏中の咳とか飴なめたりとか色々ありましたし)、でも拍手のタイミングはとても良かったです。 普通は演奏が終わった瞬間、余韻も無しに拍手が始まりますが、今回は2曲とも余韻を会場皆で十分味わった後で拍手が起こりました。 気持ち良かったなぁ…とその時思っていたのですが、家に帰ってプログラムを開いてみますと、東京シティフィルさんが色々な注意書きをされた用紙が入っていまして、その中に 「コンサートの雰囲気や余韻の妨げとなる拍手やブラボーなどもご遠慮下さいますよう、お願い申し上げます。」 と書いてありました。このせいだったのかは分りませんが、でも細かいことでもきちんと提案するっていいなぁと私は思いました。 2007年9月30日 記 |
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