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川畠成道
Spring Tour 2007 東京公演
【 2007年3月24日(土) in 東京オペラシティ 】
 ピアノ : ダニエル・ベン・ピエナール


■ タルティーニ : 悪魔のトリル
■ モーツァルト : ソナタ K454
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■ カッチーニ : アヴェ・マリア
■ シャミナード : スペイン風セレナーデ
■ モシュコフスキー : ギターラ
■ リムスキー コルサコフ : 熊蜂の飛行
■ ドビュッシー : 美しき夕暮れ
■ ワックスマン : カルメン幻想曲

アンコール
■ ドヴォルジャーク : ユモレスク
■ モンティ : チャルダッシュ
■ チャイコフスキー : ただ憧れを知る者のみが
■ ディニーク : ひばり
■ サン=サーンス : 白鳥
「夕方から雨が降りますので御注意ください」
朝のテレビの天気予報で言われた言葉ですが、怪しい雲行きにも関わらず、1日なんとか降らずに持ちこたえてくれました。良かった!

今日のピアニストはダニエル・ベン・ピエナールさん!!!
恐らく今年、最初で最後の川畠さんの伴奏になるのでは…と思いましたので、これは何としてでも行かなくては、という気分でした(川畠さんの演奏も楽しみでしたよ!ええ)。

今日の演奏はとても良かったです。今日の…と言いますか、今年に入ってからの川畠さんの演奏は私は大変好きです。昨年と何が違うのかと聞かれても具体的に答える事は出来ないのですが、聴いていて直感的に「いいなぁ…」と思えるのです。
もちろん個人的な感じ方だとは思うのですが、川畠さんの演奏には1年のうちでも波があるように思えるので(変化の時期なのでしょうか)、もし「川畠さんの演奏を一度生で聴いてみたいのだけれど…」と悩まれている方がいらっしゃったら、『今』聴きに行かれることをお薦めいたします(笑い) 楽しむことが出来ると思いますよ♪

さて、黒のスーツ、蝶ネクタイをされた川畠さんとダニエルさんが舞台に登場!
1曲目は「悪魔のトリル」です。
「悪魔のトリル」は昨年までに何度も聴いた曲で、実は私、この曲はもう聴かなくてもいいかな…という位、聴きつくしてしまった感がありました。小品と違って少し長い曲ですし(爆)

ですが、今日の「悪魔のトリル」は今までと違ったのです!
まず、川畠さんの音。先日発売されたNEWアルバムを聴いた時。とても良い音だったのですが、「いつも聴いている川畠さんの音ってこんなだったっけ?」とも思いました。そのアルバムの音がそのまま目の前にありました。ああ、やっぱりあれは川畠さんの音だったのか・・・と(笑い)
音量が大きいと言うわけではないのですが、会場全体にしっかりと響き渡ったように感じました。上手く言えないのですが、特に音の伸び方が良かったのだと思います。伸び伸びとした音&演奏でした。なので、全体的な曲の雰囲気が違って聞こえたのだと思います。

また、ダニエルさんとのコンビネーションが抜群で!
御2人は特に意識してテンポを合わせる必要も無く、心のままに弾かれているのだな、と勝手に解釈してしまいました(爆)
以前、ベートーヴェンのクロイツェルを聴いた時に、ヴァイオリンとピアノが会話しているように感じたことがあるのですが、その時と同じような気持ちになりました。まるでヴァイオリンとピアノが声を掛け合っているかのような演奏であり、曲でした。

モーツァルトのソナタK454。これは、昨年アナスタシアさんのコンサートで聴いた曲です。あの時はピアニストのミーチャ(ドミトリー・チェチェーリンさん)の伴奏がよろしくなかったのですよね・・・
今日の川畠さん&ダニエルさんは、そのようなことはありませんでした。この演奏を、昨年のモーツァルト・チクルスでも聴きたかった…と思わずにはいられない(失礼ですが)、素晴らしいモーツァルトでした。何度も書いてしまいますが、ヴァイオリンの響きが良かったのです。そしてダニエルさんとの一体感。聴いていて気持ちが良かったです。

後半は、いきなりカッチーニの「アヴェ・マリア」から。
前半も後半も1曲目というものは まだ客席がザワついていますし(2楽章や2曲目当たりから落ち着いていくるように感じます。なぜかパンフレットの整理とかされている方もいますし、涙)、こういう『聴かせる』曲は数曲目に持っていかれたほうがいいのに(もったいない)・・・と思いました。
先日聴きに行きましたプーレ先生のリサイタルでも、1曲目にいきなりブラームスの「F.A.E.ソナタ・スケルツォ」を演奏されました。まだヴァイオリンの音が会場に馴染んでいませんから迫力ある音が出てきませんし、こちらも逆にいきなりあの激しい音楽を聴かされても体が入っていきませんし…。と、プログラムの順番に違和感を感じました。
その違和感ぶりは師匠ゆずりなのかも…と聴きながら思いました(笑い)
とても良いアヴェ・マリアでしたので、最初の1音から皆で集中して聴きたかったです。

その後続いた演奏も、とにかくヴァイオリンの音が良くて大満足でした。
ただ、新曲(年末頃から演奏され始めた曲)に関しては、ダニエルさんとのバランスがちょっと悪いかな・・・と感じる部分もありました。やはりベストパートナーと言えども、合わせる練習量が少ないと(想像ですが)こうなるのかな、と。先月聴いたロデリックさんとの演奏のほうがまとまっていたような気がします。

でもラストの「カルメン幻想曲」は、ダニエルさんで御馴染みの曲!
ダニエルさんならではのアレンジの効いたオリジナル伴奏(恐らく)が私は大好きなのですが、今回も聴けて大満足でした♪ ダニエルさんも乗りに乗って伴奏されていました。
アレンジといえば、アンコールのチャルダッシュの最初のピアノ独奏部分が今回すごかったです(爆)思わず笑ってしまいました… いつもよりさらに違いましたし、独奏部分が長かったような気がします。これでよく川畠さん入ることが出来るな…と(どこが終わりか検討つきません)。とても気合が入っていましたし、それにつられて(?)川畠さんも熱の入った演奏をされていました。

アンコール時のトークはこのような感じだったと思います(多少違うかもしれません)。

「本日皆様の前で演奏することが出来て、とても嬉しいです。特に本日は、新しいアルバムが先日出たばかりですし、すでに聴いていただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、まだの方はぜひ… また先取りとして本日のコンサートで色々聴いてください(笑い)
今の曲はその新しいアルバムに入っております ドヴォルザークの『ユモレスク』です。題名を知らなくても、どこかで一度は聴いたことがある、有名な曲です。どこかユーモラスで、楽しい曲です。

今回、ドイツで3日間レコーディングをしてまいりました。ベルリンのエヴァンゲリッシュ教会は6枚目のアルバム『シャコンヌ』を収録した教会なのですが、前回は収録中にぶ〜んと、今回演奏させていただきました、まるで熊蜂のようにぶ〜んと、飛行機が飛んできて何度も録音が中断されたのですよね。今回は幸いにもこのようなことがなく、順調に収録することが出来ました。

さて、新しいアルバムの話をした次で恐縮なのですが、今度は古いアルバムからモンティ『チャルダッシュ』です。」

と、ダニエルさんの伴奏が魅力的だったチャルダッシュ。
川畠さんが、「古いアルバム」と連呼されていたので笑ってしまいました。古いって表現はどうかと思うのですが! とてつもなく古い感じがしてしまいますよね。
ダニエルさんも、そういった川畠さんのジョーク(?ユーモラスな発言)に笑っていましたので、日本語がかなりお分かりになられるのだな…と思いました(もしかしてペラペラ?!)。

「次はまた新しいアルバムからなのですが、チャイコフスキーの…これは日本語に訳すと題名がとても難しいのですが、といって原題を発音することも出来ないのですが(笑い)、『ただ憧れを知る者のみが』(ゆっくりと発音)です。」

私はアルバムで初めて聴いた曲なのですが、どこか悲しい、とても良い曲だと感じました。 そして、皆が大好きな(?と勝手に想像します)ディニークのひばり。

「今回のアルバムは 夕暮れだったり、蜂だったり、ひばりだったり、民族舞曲だったり、『自然』をテーマにした曲が多かったように感じたのですが、本日の最後の曲もその自然…先程の『ひばり』と同じく動物の曲なのですが、サン=サーンスの『白鳥』です。」

…ということで、本日のコンサートは終了しました。

NEWアルバムの発売ということもあり、本日のサイン会はいつも以上に長蛇の列!!!
ブルーのNEWアルバムをお持ちの方が多かったです。
私はダニエルさんがいらしたので、川畠さんが言う所の「古い」アルバムを(爆)

その代わり(?)ダニエルさんのNEWアルバム(la trompette retrouvee)を持っていきました。

「Amazon・・・?」

と聞かれましたが、いえいえ Amazon.co.uk での入荷は4月ですよ、4月!(2月発売にも関わらず)何とかして下さいよ、ダニエルさん!…と言いたかったです(笑い)
「No,Linn RECORDS ・ Cyokusetu」 とお伝えしました。単語分からないので日本語で。英語、本当に勉強しないといけませんね(いつも思うだけのままですが)。
今後の、ソロ・アルバムの発売も期待しております♪ 来年も、ぜひ来日していただきたいですね。

今日は席の周りのあちこちから1曲終わるごとに、「すごいね」「素晴らしいね」のため息交じりの声が聴こえてきたコンサートでした。
次は、4月のヴォルフ・フェラーリです! とても楽しみな気持ちで会場を後にしました。

2007年3月25日 記

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