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日本ユニシス・プレゼンツ
川畠成道 ニューイヤーコンサート2007
【 2007年1月27日(土) in 東京オペラシティ 】
 ピアノ : ロデリック・ジェームス・チャドウィック


■ ベートーヴェン : スプリングソナタ
■ バッハ : シャコンヌ
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■ ブロッホ : ニーグン(即興)
■ シャミナード : スペイン風セレナード
■ モシュコフスキ : ギターラ
■ バルトーク : ルーマニア民族舞曲
■ カッチーニ : アヴェ・マリア
■ サン=サーンス : 序奏とロンド・カプリチオーソ

アンコール
■ ドビュッシー : 美しき夕暮れ
■ リムスキー=コルサコフ : 熊蜂の飛行
■ 日本古謡 : さくら
■ ディニーク : ひばり
■ サン=サーンス : 白鳥
昨晩の雨も上がり、本日はニューイヤーコンサートに相応しい とても良い天気です。
私にとっては今年最初の川畠さんのコンサート!
会場でいつもお会いする皆様とも、やっと新年のあいさつをすることが出来ました。

燕尾服を着た川畠さんとロデリックさんが舞台に登場し、本日のコンサートが始まりました。
御二人の燕尾服姿…いいですねv 聴くこちら側の気持ちも引き締まる思いがしました。普段は前半と後半で衣装を着替えられることが多いですが、今回はずっと燕尾服で通されていました。

私が本日全体的に感じたことを、最初に簡単に述べさせていただきますと。
>もし気を悪くされた方がいたら申し訳ありません…と、最初に謝っておきます。
2006年の川畠さんって どこか2005年の延長線上にあったような気がするのですが、2007年の川畠さんは2007年の川畠さんなのだなぁ…ということです。2007年という扉からポコンと飛び出してきた人のように感じました(笑い) 今年は新しい発見が色々とあるかもしれません。そんな気がしました(新曲があるから、とかそういう意味ではありません)。
弾き方とか、1曲を表現するための構成の仕方とか。今まで私が気が付かなかっただけかもしれませんが、前とは違うなぁと思った部分が本日はいくつもありました。
その1つを挙げるとすれば、『無音』の部分の活かし方でしょうか…。次の音が出されるまでの間、ですね。今回の演奏は、私は音の無い部分にとても意味を感じました。それは、きっと曲全体の構成がきちんとなっていたから感じたことなのだと勝手に思っています(爆)上手く説明できませんけれども。

それから、ピアノのロデリックさん。彼は 何ていい人なんだ…と。
すごく楽しそう〜♪に自分の世界で弾いているようで、でも何度も何度も川畠さんを見て確認して、川畠さんの演奏に音を合わせているのですよね(その弾きながらチラッと見せる真剣な眼差しが、すごく良かったです)。その気持ちがこちらにもしっかりと伝わってきて、好感が持てました。仲間内での評判も、とても良かったです。
演奏が終わった後のお辞儀のタイミングが川畠さんと合わなかったようですが(川畠さんは右に左にと何度もお辞儀をされる方なので)、今後のツアーが終わった頃にはこちらのタイミングもぴったりになったりして。

私が本日 とても感動したのは、バッハのシャコンヌ(…は もともと楽しみにしていた曲ですので♪)と、カッチーニのアヴェ・マリアです。特にカッチーニ! 胸が一杯で、色々考えてしまって、次の曲の記憶が全く無い状態です…

バッハのシャコンヌは、本日の川畠さんの演奏のスタイルが とても現われていたと思います。
たっぷりビブラートをかけて、ゆっくりと始まった出だし(アルバムと比べると、かなりゆっくり時間をかけられていたのでは…と)。無伴奏での響きを聴くと、オペラシティホールも悪くないなぁ…って思います(笑い)>普段はあまり良いホールとは思わないのですが、無伴奏の時はいいですね!
この光景は、心情は、こういう表現は適切ではないのかもしれませんが、一種の宗教のようです。川畠さんの演奏は法話。私たちはそれを聴きにきた信者。この曲のこの演奏を目の前にすると、単に『観客』とだけでは表現できないような心理状態に陥ります。バッハってすごいなぁといつも感じます。そして、それを演奏する方たちも。何で聴き手はこんなにも惹きこまれてしまうのでしょうね!

川畠さんの演奏なのですが、音の響きが生み出すその場の雰囲気が良かったのはもちろんなのですが、ポイントだったのは最後の方に向っての、音の強弱というかメリハリの付け方だったのではないでしょうか。音が盛り上がっていくのと一緒に、こちらの気持ちも高揚してしまいました(笑い)
「起承転結」というか、この1曲の中にきちんとした流れのようなものを感じましたので、無伴奏でも とても聴きやすく、あっという間に終わってしまいました。もう1回リピートしていただいても、良かった位です(むしろ していただきたい)。何度聴いても飽きることは無い、と思うような演奏でした。

川畠さんのカッチーニのアヴェ・マリアは、なぜか無性に悲しくなる曲だと思います。楽しむために来たコンサートで 何で私はこんなに悲しい気持ちにならなくてはいけないのだろう、と思った位です(笑い)ロデリックさんの伴奏も良かったですし、御二人の演奏に泣けました。
12月のオケとの演奏も良かったですが、個人的にはピアノ伴奏の方がより良かったと思います。
ドラマ性が溢れているこの曲を、1人でも多くの方に聴いていただきたいと思いました。今の私には、この世界観を表現できる言葉が浮かんできません。とにかく良かったとしか言えないのが残念です。
川畠さんといえば『グノーのアヴェ・マリア』のイメージがありますけれども、今後は『カッチーニのアヴェ・マリア』路線で攻めていっていただきたいです(笑い)シューベルトでもいいですが…

私にとって今回新曲であったブロッホ、シャミナード、モシュコフスキの3曲については、私自身がもう少し聴きこまないとだめかな、と思いました。頭の中を素通りしてしまった気がしました。
特に注目していたブロッホですが、私は古澤巌さんの演奏で予習をしたのですが(今回の曲目では古澤さんの演奏で頭に入れた曲って多いです。ブロッホ、モシュコフスキ、ルーマニア民族舞曲にひばり…もそうです)、「オリエンタルな宗教観を思う存分に表現する曲」という漠然としたイメージを持っていたので、川畠さんもかなり壮大な感じに弾かれていたような気がするのですが(途中の盛り上がりとか良い部分もあったのですが)、もっともっとくどい位に(ルー大柴位にくどく!)クセのある弾き方されても良かったのでは…と。>そんな曲では無いのかもしれませんけれども(笑い)
次の聴ける機会を 楽しみにしたいと思います。

『 皆様はどのような新年を迎えられたでしょうか?』

美しき夕暮れを弾いた後に、今年も無事ニューイヤーコンサートを迎えることが出来たという喜びの言葉からトークは始まりました。(かなりうろ覚えですので、多少創作入っていると思います。御了承下さい。)

『 私はいつものようにロンドンで正月を迎え、ドイツでロデリックと8枚目のアルバムとなります曲を録音してまいりました。』

えっ、ダニエルさんではないんだ… 急にテンションが下がりましたが(いえ、眩暈がしたと言ってもいいかも…)、でも今日のロデリックさんの伴奏はとても素晴らしかったので再び楽しみになってきました(笑い)

『 8枚目のアルバムは3月21日に発売となりますが…』

!!! 3月21日なのですね。…と、頭の中でメモを。

『 今年はこの「21」という数字が私にはついて回ります。
3月21日には私の8枚目のアルバムが発売され、そして4月…4月21日は、文京シビックホールで…ここではありません(笑い)文京シビックで、マリボール歌劇場管弦楽団さんと、ヴォルフ・フェラーリという作曲家が書いたヴァイオリン協奏曲を弾かせていただきます。何やら日本初演だということです。私も初めて聴かせていただいた時にとてもいい曲に感じたので、ぜひ弾かせていただきたいと思いました。楽しみにしていて下さい。

ここで、その1部だけでもお聴かせしたい…』

会場、大きな拍手!!!

『 …のは 山々ですが、そうすると日本初演では無くなってしまうので(…ははは、そりゃそうですよね)その日まで待っていて下さい。』

――というような内容でした。ちなみに、11月21日は川畠さんの誕生日だということも最後にお話されていました(笑い) 今日、1月27日はモーツァルトの誕生日だというお話もどこかでされていたように記憶しています。

アンコールは「自然界」をテーマに曲選びをされていたようです。夕暮れ、蜂、さくら、ひばり、白鳥…
少し感想を述べさせていただきますと、『熊蜂の飛行』は以前も感じましたが、川畠さんの演奏には蜂が飛んでいないように感じました。昆虫嫌いなのかな…と。本来のヴァイオリンでは無いような面白い音は出ているのですが(失礼な表現かもしれませんが)、それは「羽音」では無い気がするのです。あと少し、何かが足りないのです。少しなのですが! >ピアノも同じです。

それと対照的に素晴らしいのが『ひばり』です。この曲ではひばりが飛んでいます。その光景が浮かびます。すごく御自身に合う曲を見つけられたなぁと思います。
あの可愛い出だしから川畠さんにはぴったりで、こちらも思わず笑顔になってしまいます。
欲を言ってしまいますと、12月の川崎の方が元気なひばりが飛んでいたような気がします。川崎の方がホールが大きいから、より自由に飛び回ることが出来たのでしょうか(笑い)でも良かったですv

コンサート後のロビーには、川畠さんのサインをもらうために長い、長い列が!
ヴァイオリンケースを持たれていた方も何人もいらっしゃいました。今日の『白鳥』などを聴いて、自分も練習頑張ろう!とか思っているのだろうなぁ…と勝手に私は想像していました(爆)

本日のロビーでは、4月のマリボール歌劇場のコンサートのチケット販売ブースと、日本ユニシスさんのブースとがありました(なので、いつもと少し違う雰囲気です)。
ユニシスさんのブースでは 日本ユニシスグループの2006年の報告書が配られていて、この報告書に4ページに渡る川畠さんのインタビューが載っていました。とても良い内容のインタビューで、さすがユニシスさんだなぁと思いました。後日、他のページもきちんと読ませていただきたいと思います。

コンサートが終わっても、私はカッチーニのアヴェ・マリアが頭から離れませんでした。どうやら私、相当気に入ってしまったようです(爆)>3月のアルバムに入っているといいのですが!果たして…
すごくいい演奏を聴かせていただいたなぁ…と嬉しく思いながら、会場を後にしました。

2007年1月31日 記

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