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Christmas Charity Concert 2006
アマデウス室内オーケストラ     特別出演 : ジェラール・プーレ
【 2006年12月9日(土) in ミューザ川崎シンフォニーホール 】

第一部
■ モーツァルト : ヴァイオリン協奏曲 第3番 KV216
■ バッハ : 2つのヴァイオリンの為の協奏曲 BMW1043 1stVn : ジェラール・プーレ 2ndVn : 川畠成道

第二部
■ サラサーテ : アンダルシアのロマンス
■ ブラームス : ハンガリー舞曲 第5番
■ ブラームス : ハンガリー舞曲 第6番
■ ロシア民謡 : 2つのギター
■ グノー : アヴェ・マリア
■ ディニーク : ひばり

アンコール
■ エルガー : 愛の挨拶
■ カッチーニ : アヴェ・マリア
本日の東京は小雨が降り、ここ数日の中でも大変寒い1日となりました。
私にとっては久しぶりの川畠さんのコンサートです! そして、川畠さんの師匠としてお名前はよく耳にしていたプーレ先生も特別出演されます。このクリスマス・コンサートは大変楽しみにしておりました。

1曲目のモーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番は私の大好きな曲です。いきなり、こんなお気に入りの曲を聴けてしまうとは今日のプログラムってお得♪ という気分です(笑い、大抵は2曲目に好きな曲が入っていることが多いです) もちろん、バッハの2つのヴァイオリン〜も大好きです!

アマデウス室内オーケストラさん。私の想像していたイメージより、全体的な年齢層は高めだったような気がします。本日は川畠さんの演奏ばかりに気を取られてしまい、じっくりと拝見はしなかったのですが、周りではコントラバスのおじさま(大変熱い演奏をされ、かつ、お髭などの容姿も抜群の方でした! コントラバスの主のような感じ)の人気が高かったです。
演奏は「これ」という音の輝きや柔らかさ、固さなどの特徴は感じられなかったのですが、でも良かったと思います。指揮者の方は女性でした。後姿が、折り紙で作る「やっこさん」のように見えました(爆、髪型が四角っぽいというか…) 私好みのストレートな指揮をされる方でした。

川畠さんの音色を久しぶりに聴き、私の中で色々考えること、感じることがありました。
改めて、「川畠さんは上手いなぁ!」(…って、これだけ人気のあるヴァイオリニストですし、プロなので当たり前なのですが、プロの中でも特に)と感じました。モーツァルトにしても、バッハにしても、上手いです。

モーツァルトの、このカデンツァは私は初めて聴きました。色々なヴァージョンがあるのですね! カデンツァを聴く楽しみを今更ながらに知りました(今まではあまり意識せずに聴いていたので)。
3番の最後は「ソリストの音色で締める」という訳では無いので、なんとなく…という感じで終わってしまったのも逆に新鮮でした(笑い) 弾き振りですと、指揮をしているので締まるのですが。
そして、先日のロイヤルコンセルトヘボウさんの管楽器の素晴らしい音色を聴いた影響で、今回は初めて3番を聴いていて管楽器の音色を意識したような気がします。私の耳に自然に入ってきました。

ただ、川畠さんの演奏は(あくまでも私個人の感想ですが)真面目すぎるとも思いました。
演奏はとても良いのですが、全体的にこのモーツァルトの3番を今回はどのように表現したかったのか…という面が感じ取ることが出来ませんでした。川畠さんは演奏後にいつも素敵な笑顔でお辞儀をして下さいますが、その笑顔の要素の一部で良いので曲に盛り込んで下さったらなぁ…と演奏後に思いました。>ヴィヴァルディの四季などはそうやっていつも演奏されているように思うのですが!

それからオケとの一体感も少し欠けていたように感じました。弾き振りされていたら少し状況が違っていたかも…と素人の私は思ったのですが(弾き振りされるということがどのような状況を生み出すのかはよく分かっていない私ですが)、一瞬だけでもオケと一緒に演奏している姿を見せてくださったらな…と。オケとソリストとの演奏のずれは無かったので問題は無いのですが、厚みとしては物足りなかったと思います(好きな曲なので色々注文したくなりました)。

その点、バッハでのプーレ先生はさすが…!という感じでした。
演奏が始まるや否や、一瞬のうちにオケと一体化されていました。川畠さんだけがとり残されてしまったと言う感じで。何ともいえない気分になりました。
出来・不出来は私には分かりません。ただ、舞台上の雰囲気的にそう感じました。
アイ・コンタクトが出来る、出来ないの差は大きいのかなとも今回思ったのですが、それだけでなく、演奏する姿勢…プーレ先生はオケと音楽にノリノリな感じで演奏されていましたし、川畠さんは何で?という位に固かったように思えました。演奏は決して悪くないのに!

川畠さんは緊張されていたように感じました。まるで、プーレ先生の公開レッスンを見ているような気がしました。川畠さんはプーレ先生に対して弾いているかのようで、こちらも緊張してしまいました(汗)コンサートを聴きに来た…という感じではありませんでした。
プーレ先生は譜台を目の前にして厳しい表情で弾かれていましたが、でも通常のリサイタルでは表情豊かに弾かれる方なのではないかと思います。自分の演奏を通じて、川畠さんに何かを伝えているかのようにも感じました。弟子ではなく、1人のソリストとして向かい合われていたので、川畠さんに手を差し延べるような演奏はされていませんでした。どちらかというと、突き放した感じ…。これも愛情なんだろうなと勝手に想像しながら聴いていました(爆)

つい比べてしまうのが、昨年のクリスマスコンサートでのシトカベツキーさんとのドッペルです。
>シトカベツキーさんの来日を常に待ち望んでいる私です!
あの時の川畠さんは、本当に楽しそうに演奏していました。曲に対して非常に乗っていたと思います。シトカベツキーさんをリードするような余裕のある演奏でしたし、ドッペルそのものを自分の中に吸収されているような気がしました。聴いているこちらもすごく楽しい気分になったのを覚えています。

(と同時に、いきなり日本に来て日本のオケと川畠成道というソリストと一緒に川畠さんのファンの目の前で演奏することになったシトカベツキーさんが、あれだけの音色・演奏をされたというのは、シトカベツキーさんはただものではない…と感じました。あの時、音の乱れとか全く感じませんでしたし、川畠さんとのバランスも抜群でした。)

今回、同じ演奏家が同じ曲を演奏しても、ここまで違うのか…と思いました。(第3楽章でやっと川畠さんらしい演奏が聴けたかな、という感じがしましたけれども。)
でもこのプーレ先生との演奏を聴くことが出来て、とても良かったと思います。今に至るまでの川畠さんの姿を(というか空気を)、想像することが出来ましたし、ヴァイオリンを学ぶってこういうことなんだな、ということも少しだけ感じることが出来ました。
また、演奏後にお二人がおじぎをされる姿は、心にくるものがありました。
今度はぜひ、師弟関係の、ではなく 演奏家と演奏家としての音楽を聴きたいです。…って、すいません、言いすぎでしょうか(汗)

このドッペルに大変感動されている方も多数いらっしゃいましたので、この感想が全てではないことを御了承ください。これは私個人の感想です。

後半は、私のまだ聴いたことがない曲がいくつかありましたので、こちらも楽しみにしていました。
ハンガリー舞曲第5番。どうしても先日のデュメイさんの演奏が思い出さずにいられないのですが、この曲に限っては、やはり私は川畠さんの演奏のほうが好きです(笑い)聴いていて、気持ちよく聴くことが出来ますね! 私にとっての5番はこの演奏です。>デュメイさんの世界は壮大すぎてさすがに…ははは

第6番。先日、ヤンソンスさん&ロイヤルコンセルトヘボウのアンコールで聴いた曲です!
楽しく、豪華な演奏を思い出してしまいました。そして飛び跳ねているヤンソンスさんの姿も。
今回もとても良かったと思います。ヴァイオリンが主役になるだけで、雰囲気がガラッと変るのですね。面白いですね。曲自体もいいですし。

そして、今回聴きに来て良かった…と思わせてくださった1曲。それが、ディニークの「ひばり」です。

大変に素晴らしい演奏でした!!!

可愛い1羽のひばりが、ホール全体をチチチ…と元気良く飛び回っている姿が、私にははっきりと浮かびました。
やっぱり 川畠さんってすごいな、と感じた瞬間でした。そして、何でヴァイオリンからあのような音が出るのだろうかとも(笑い)
ひばりはあまり演奏される方もいらっしゃらないようですし、今後の川畠さんの代表作の1曲となっていただきたいと思いました。プログラムの最後にこの曲を持ってくるということからも、川畠さんの思い入れが感じられます(と、勝手にプラス思考に解釈する私)。今回のオケも良かったですが、ピアノ伴奏でも とても可愛い雰囲気が出る曲ですので、今後のコンサートも楽しみです。

そして、アンコールのカッチーニのアヴェ・マリア。
私は数回しか聴いたことのない、馴染みの無い曲なので詳しい感想が述べられないのですが、あの悲しげな何ともいえない雰囲気。私は聴いていて、これまで約2年間、色々な所に川畠さんの音色を聴きに足を運んだ思い出が、頭の中を過ぎりました。心に染みる演奏でした。
川畠さんがこのように次々と新しい曲、それもご自身に合った曲を選び、演奏されていることは素晴らしいことだと思いました。後半は伸び伸びと演奏されていて、とても良かったです。

アンコール時のトークでは、「先日読んだ本に『クリスマスは人を近づける』と書いてありましたが、私は音楽で人と人とを近づける手助けをしたい…」というようなことで今回のチャリティーコンサートについての話をされていました(詳しくは忘れてしまいました)。
「クリスマスは人を近づける」ってとても良い言葉だな、と私は思いました。

そして昨年同様、スポンサーのCanonさんの協力で、配られたパンフレットに金のシール(昨年はハンドベルを持った川畠さんの写真のシールでした)が貼られていた方は、舞台上のクリスマスツリーの横で、川畠さんと一緒に写真を撮っていただけるというプレゼント(写真は出口のCanonのプリンターで出力されます)がありました。私の隣の方のパンフレットにもシールが貼ってありました!私もそれを見て、一緒に興奮してしまいました(笑い)

帰りはCD販売所が川畠さんのCDを求める方たちで混雑していました。ドッペルが収録されいている『四季』の人気が高かったように見えました。
サイン会も長蛇の列! 改めて、川畠さんの人気ってすごいなぁ…と感じました。

――早いもので、2006年の川畠さんのコンサートの感想もこれで終りです(笑い)
昨年末、来年はどれだけ川畠さんのコンサートに足を運べるか分からないけど…と書きましたが、何だかんだと沢山足を運ぶことが出来て幸せでした。良い1年でした。
来年は今度こそ本当にここまで足を運ぶ事はありませんが、でも聴きに行く機会がある時はたっぷりと楽しんで、(懲りずに)また感想を綴らせていただきたいと思っています。来年も、書いても書いても書き足りない位の感動に出会えるコンサートに足を運べたらいいなと思います。

2006年12月10日 記

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