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川畠成道の会
ファンクラブコンサート
【 2006年8月26日(土) in 第一生命ホール 】
 ピアノ:鷲宮美幸


■ T.A.ヴィターリ : シャコンヌ ト短調
■ F.クライスラー : ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
■ F.クライスラー : ウィーン風小行進曲
■ F.クライスラー : 中国の太鼓
■ N.パガニーニ(F.クライスラー編) : 「こんなに胸さわぎが」による変奏曲 作品13

■ P.I.チャイコフスキー : 感傷的なワルツ
■ リムスキー=コルサコフ : 熊蜂の飛行
■ F.ショパン : ノクターン
■ V.モンティー : チャルダッシュ
■ C.グノー : アヴェ・マリア
■ H.ヴィエニャフスキー : モスクワの思い出

アンコール
■ ウィリアムス : シンドラーのリスト
■ クライスラー : 愛の喜び
■ 日本古謡 : さくら変奏曲
■ ブラームス : ハンガリー舞曲 第1番
■ バッハ : アリア
連日の暑さの中で、本日は日差しも弱く、とても過ごしやすい1日となりました。
本日の会場は『第一生命ホール』。ロビーからの外の眺めがとても素敵なホールです。

このホールはこれまでに2度足を運びましたが、どちらも遅刻したという、私にとってはとても痛い思い出があります。「今日こそは、この思い出から抜け出さなきゃ…!」 と、時間に今まで以上に気を配り(これが普通だと思うのですが、汗) 開場の13時には勝どき駅に到着しました。
ホール前の通りは いつもとても気持ちが良い風が吹いているのですが、その雰囲気を噛み締めながら歩くことが出来ましたし、そして、初めてホール前の歩く歩道を走らずに渡ることができました。
自分のモチベーションは完璧です!

本日はプログラムを見て分かるとおり、川畠さんにとっての新曲も多く、そして私が初めて聴く曲も多かったので楽しみにしていました。
特に注目していたのが、「中国の太鼓」「『こんなに胸さわぎが』による変奏曲」「熊蜂の飛行」の3曲でした。私もこの3曲はとても好きです。こだわりもあります(笑い)

扉が開き、黒のタキシードの川畠さんと黒いドレスの鷲宮さんが舞台に登場!
(鷲宮さんの腕は とてもキラキラしていて、演奏して腕を動かされるたびにゴージャスな雰囲気が伝わってきました。>キラキラするものを塗られていたから光っていたのです

1曲目、ヴィターリの「シャコンヌ」。
6月のボローニャさんとの楽しい演奏が、私の頭の中にはまだ残っている曲です。
鷲宮さんのピアノの入り方がとても良かったと思います。聴き手の心が静まり、演奏に集中させてくれるような、ゆったりとした出だし。続いて、川畠さんのヴァイオリン。

…おお! これこそ私の求めている、ヴィターリのシャコンヌ!!!

私好みの音色、テンポ、素晴らしい演奏で始まりました。
私事ですが、前日とても精神的に疲れた1日を送りましたので、心の疲れをほぐしてもらっているような気持ちになりました。心の奥底に染み渡るようでした。

ですが、その気持ちも束の間。まだ曲が始まって間もなくの頃、私はヴァイオリンをどうやって弾くのかなど技術的な事は分かりませんが、「何でここで…?!」と思える部分で川畠さんが音を外したような気がしました。その後も、以前に比べて高音が擦れてしまったり出ていなかったように感じました。

考えてみると川畠さん、ヴァイオリンの構え方が前と違っているように思いました。
前にも1度思ったことがあるような気もするのですが…
弓の持ち方や動かし方など専門的なことは私には分かりません。でも顎の置く向きなら私にも分かります(笑い)顎の向きが違うのです。今までは左顎でヴァイオリンを押えていたのですが、レーピンさんやパラホフスキーさんのように、弦と平行に顎を持っていく姿が本日多々見られました。
顎の位置によって何が変るのかは分かりませんが、その姿から、川畠さんが今何かを変えようとしているのかな、という気がしました。

話は少しずれますが、近頃トレードマークだった大きな眼鏡も変えられていますし(!)
自分がそうなのですが、眼鏡を変えたくなる時って自分がもう一歩成長したい時とか、新しい世界に進みたい時とか、何かを変えたい時に 気持ちを後押しするために変えたりするのですよね。川畠さんもそうなのかな、と聴きながら思いました(もちろん、これは私の勝手な想像です)。
なので、こういったいつもではありえない(?)部分での音の外され方をされたのかな、と。

そう思ったら、何でこういう時に横にダニエルさんがいないんだろう…というような気持ちになって。ダニエルさんの良くもあり悪くもある、オリジナリティ溢れる伴奏がここにあったら、何かが変っていただろうと、そんな妄想が私の頭の中にどんどん膨らんでいって… シャコンヌを聴きながらダニエルさんの来日を切望する自分の姿があったのでした(爆)>音楽に集中しなさい、って感じですね。

―― と、音に関して気になったものの、数秒間自分の世界に入ってしまったものの(笑い)、それをマイナスしても とても良いシャコンヌでした。
先日の普通に聴いてしまったメンコンよりも、このシャコンヌの方が私は好きでした。胸に来る部分が何ヶ所もありましたし、最後の盛り上がる部分も、川畠さんの気迫が感じられたような気がしました。

クライスラーの「中国の太鼓」。
先程書いたように、現在 高音・重音等が出しづらい環境にあるのかな…と思った以外は、楽しく聴かせていただきました。何より、演奏後の拍手が一段と大きくなった気がしました。この曲は皆が大好きな曲だったのですね! 川畠さんも笑顔でお辞儀をされていました。
この曲から、会場の雰囲気もさらに良くなっていったように私は感じました。

パガニーニの「こんなに胸さわぎが」。
実は私、この曲を楽しみにしてはいたのですが、大きな期待はしておりませんでした。
だって、いつもCDではグリュミオー師匠の素晴らしい演奏を聴いていたからです(爆)
>と、友人に言ったら笑われましたが!

川畠さんの演奏。とても良かったです! 本日のマイベストです!!!
心が洗われるような演奏でした。演奏後も今も私の頭の中でずっと流れています(笑い)

私はロッシーニのオペラ「タンクレディ」がどのような話かは知らなかったのですが、グリュミオー師匠の演奏を聴いていて、きっとお嬢さまかお姫様が、何らかの障害があって(両親の反対とか政治的な陰謀とか)なかなか上手くいかない恋の相手を想って歌うアリアなのかなと感じていました。女性の心理を表現している部分なのだと思っていたのです。
グリュミオー盤、そんな女心を上手く表現されている演奏です(笑い)

川畠さんの演奏は違いました。女心を完全に分かっていないなぁ…という感じで(演奏の中に男性的な部分も感じられました)、グリュミオー師匠とはまた違った世界を表現されていました。それがとても良かったのです。(ちなみに、マキシム・ヴェンゲーロフさんの演奏は男性的だと思います。)

家へ帰ってから このオペラについて少し調べてみましたら(あまり検索に引っかからなくて、正確さに欠けるのですが)、これはタンクレディという主人公(?)のアリアだったのですね!
つまり、タンクレディ(男性)がシラクーザの支配者の娘アメナイーデを想って歌うアリア…
もちろん お約束通り、この2人の間には色々な問題が立ちはだかっております。

それが分かると、川畠さんの演奏って、タンクレディとアメナイーデの両方の視線から表現されていた(男性的でもあり、女性的でもある)演奏だったのかな…と自分の中での感想がさらに広がりました。
またもう1度聴きたいです。今後聴く機会のある方は、この甘酸っぱい(?)世界観を、ぜひぜひ楽しんでください♪ 世界観だけでなく、超絶技巧な演奏をされる姿も見入ることが出来る曲です。

後半は、川畠さんは白い詰襟気味の服(上手い表現方法が分かりません)。鷲宮さんは薄いブルーのドレス、そして素敵なネックレスをされていました!

チャイコフスキーの「感傷的なワルツ」。
大絶賛されていた方がいましたが、私は次の「熊蜂の飛行」のインパクトが強すぎて、残念ながら記憶が残っておりません(汗)とても素晴らしい演奏だったようです。

リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」。
アナスタシア・チェボタリョーワさんがコンサートのアンコールなどで弾かれるのを昨年 数回聴く機会があったのですが、アナスタシアさんのストラディヴァリからは、沢山の熊蜂が飛んでいました!
初めて聴いた時、ヴァイオリンってすごいな…と思ったことを覚えています。
(アナスタシアさんのアルバムにも収録されいるのですが、生の迫力は全然違います。)

川畠さんも熊蜂を何匹飛ばすことが出来るのかしら…と楽しみでした。
私としての感想を述べますと、本日蜂は飛んでいなかったように感じます。やっぱり、川畠さんのヴァイオリンが出す音色は蜂の羽音には向いていないのかな、と。
さらに 動作も速く、音も小さくなるので、音の高低が客席まで聴こえづらく、曲としても私の耳には届きませんでした。もう少し、音が大きく聴こえるといいのですが…

と、これは私の感想なのですが、友人の感想ではしっかりと「蜂が飛んでいた!」ということですので、個々の持つイメージの問題なのでしょう。ヴァイオリンを身近に感じることの出来る、楽しい曲です。

(少し辛口な感想かもしれませんが、アナスタシアさんのヴァイオリンは「蜂っぽい」のではなくて、私がイメージしている「蜂そのもの」の羽音が聴こえるのです! あれを聴いてしまうと、細かくこだわりたくなってしまいます。ここは、こだわらせて下さい。申し訳ありません。)

アンコールは『シンドラーのリスト』から始まりました。

「このファンクラブコンサートは、いつも私にとって節目の季節です。イギリスなどヨーロッパでは、9月から新学期となるのです。皆様、夏休みはどのように過ごされたでしょうか? 私は約2ヶ月の夏休みでしたが、だからといって練習をしないという訳ではなく、そういう時こそ新しい曲を覚えたり、今まで弾いてきた曲をもう一度見直してみたり、ある意味この時期こそ1番忙しいのかもしれません」

というようなお話から、『愛の喜び』。
※今回、曲目と順番とトークとの記憶に自信がありません。さくらさくらとハンガリー舞曲第1番が逆だったような気もします。違うかもしれませんので、御了承ください。

「次は無伴奏の曲です。今年の春から弾き始めた曲で、今はもう季節はずれですが…」

ということで『さくらさくら変奏曲』。

本日1番の拍手がここで起こったのでした。やはり、自分たちにとって馴染みのある曲というのは人気がありますね! 無伴奏となるとヴァイオリンの音色も一段と響きますし、素晴らしい演奏でした。

「いつも私は西洋の曲ばかりを多く弾いていますが、こうやって日本の曲を弾いてみますと、『やっぱり自分は日本人なんだ』と感じることが出来ます。…まだまだ曲は御用意しております。」

ということで、『ハンガリー舞曲第1番』。

「先程、本日は新しい期の始まりであるコンサートだと述べましたが、1番最初に扉が開き、舞台に出たときに、皆様から温かい多くの拍手をいただき、とても嬉しく、充実した気持ちでこれまで演奏することが出来ました。ありがとうございました。またぜひ、どこかのコンサート会場でお会いできることを願っております。」

と、最後の曲『アリア』を弾かれて本日のコンサートは終了しました。
バッハのアリアを最後に持ってこられると、コンサートそのものが締まりますので不思議です。
川畠さんのこの演奏が、本日1日を上手くまとめてくれたような気がしました。

久しぶり…いえ、もしかしたら私にとっては初めての小品だけのコンサート。
周りから「今日は楽しかったね〜!」という声を多く聴きました。
真剣に聴くソナタも好きですし、持久戦の(?)協奏曲も好き。でも小品だけのコンサートも楽しいなぁと、結局、何でも私は好きなようです(笑い) とても楽しい1日でした。

パンフレットの言葉によりますと、12月にはプーレ先生とのクリスマスコンサートが計画されているようですので(もちろん、日本でのクリスマスコンサートという意味ですよね?!)、こちらも期待が高まります! でも、まずは9月のソナタシリーズです!!!

2006年8月27日 記

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