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モーツァルト
生誕250周年記念 ツィクルス 第3回
【 2006年6月24日(土) in 第一生命ホール 】
  ピアノ:鷲宮美幸
  ヴァイオリン:横山奈加子   ヴィオラ:松実健太   チェロ:長谷川陽子


■ ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト長調 K.379
- アンコール -
■ ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ホ短調 K.304 第2楽章
■ ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト長調 K.301 第2楽章

■ 弦楽四重奏曲 ニ短調 K.421
- アンコール -
■ 弦楽四重奏曲 ニ短調 K.421 第4楽章

『遅刻常習犯』――
この不名誉な経歴に、新たな1ページを付け加えることになりました(汗)

本日の会場は第一生命ホール。大江戸線、勝どき駅から橋(歩く歩道)を渡って建物へ入るのですが、ここの海風がとっても気持ちが良いのです!今日は良い天気でしたし、出来ることならこの周りの雰囲気を味わいながら会場へ向いたかったです。
実際は、時計を見ながら駆け足状態。1年前のファンクラブコンサートを思い出しました。
あの時もピアノ伴奏は鷲宮さんで、私は1曲聴けなかったんだ…と。
>この1年で何の進歩も無い私であります(汗)

「まだ、大丈夫です。お席に向ってください。」

係りの方から嬉しい言葉をいただいてホールへ入った瞬間、舞台が急に明るくなり、川畠さんと鷲宮さんが登場されました。

………。

係りの方とアイコンタクトをし、私は最後列の中央付近の席に座らせていただきました。
昨年も思いましたが、ここのホールは後ろの席でもとても響きが良いのです!
素敵なホールだなぁ…と、こんな所で再確認です(涙)

1曲目のソナタが終わった後、川畠さんは「このモーツァルト ツィクルス。毎回言っておりますが、『モーツァルトの音楽は聴くに易し、弾くに難し』 でありまして…」と、ここまで集中してモーツァルトの曲を弾いた事は今までで初めてで、この中で何かを学び取れればいいなと思っていましたが、分かった事はやはり『モーツァルトの音楽は聴くに易し、弾くに難し』 ということでした、とお話されました。

ですが、私がこの3回を聴いて感じた事は、「モーツァルトの音楽は弾くに難しなのかもしれませんが、聴くにも難しです!」 ということです(苦笑い)
私にはとても難しかったです…。特にソナタ。どの番号も曲に「これ」という特徴が無いので(と思います)、頭の中を素通りしてしまうのです。相当聴き込まないと、または演奏に特徴がないと、私には楽しめません。第1回目はそれなりに予習しましたが、前回、今回はあまりしていなかったので…

そのような中でも、前回は川畠さんと小川さんの「息の良さ、ぴったり感」のようなものを直感しましたが、今回は空気のように普通に最後まで聴いてしまいました。でもこの聴き方が、私にとっては本来のモーツァルトの聴き方のような気もしました。

トーク中に、「昔からモーツァルトの曲は弾いておりますが、昔の演奏、今の演奏、そしてこれからも弾き続ける訳ですが、それでもモーツァルトの音楽は 『神の領域』 といいますか…いつまでもたどり着くことが出来ない、永遠のテーマだと思います。」のようなことも話されました。
私は、川畠さんの情感溢れる暖かな演奏には、情を必要としないモーツァルトの曲(というイメージがあります、淡々と弾きつづけるというか)は似合わないのでは…と、最初このモーツァルト ツィクルスの公演を知った時に思いました。
ですが、第1回目のダニエルさんとのモーツァルト K301,377を聴いた時に、「そうじゃないんだ」 と知りました。モーツァルトの中にも川畠さんらしさ、ダニエルさんらしさって表現できるんだ、と。そして、川畠さんに限らず これからも演奏家の自分らしさを沢山盛り込んだモーツァルトを聴き続けたいと思いました(この考えは一般的には間違っているのかもしれませんが)。やはりモーツァルト音楽と言っても、ただ聴くのではなく、そこから何かを学び取りたいな、と。それはヴァイオリンだけでなく、ピアノの演奏も同じです。なので 『聴くに難し』 なのですね(笑い)それが私の感想です。

前半のアンコールでは、モーツァルト ツィクルス全3回を振り返ってということで、第2回より「K.304 第2楽章」(当時遅刻して聴くことが出来なかった曲なので、私としては振り返ることが出来ませんでしたが、苦笑い)、第1回目より本日のK.379と同じG major(ト長調)の曲「K.301 第2楽章」を弾かれました。

後半は楽しみにしていた弦楽四重奏!
第1回目のクラリネット五重奏は座席の関係で、ヴァイオリンしか聴こえない状態でしたので、実質初めての室内楽…と言っても良い位です。休憩後に舞台上に並んでいる4つの椅子を見ただけでもドキドキします(笑い)そして1番左の椅子の前には譜面台がありませんので、ここが川畠さんの席なんだな、と確認です。

舞台に演奏される4人(ヴィオラの松実さん、チェロの長谷川さん、ヴァイオリンの横山さん、川畠さん、の順で)が登場されました!
中央に美しいドレスを着た御2人がいると、本当に絵になります!!!
挨拶された時も、演奏される体勢に入った時も。楽器とのバランスも良いですし、このままポストカードにしたかったです。

4人の楽器の色。同じ弦楽器と言っても、色が全然違うのだな…と思いました。色が濃かったり薄かったり、また木の質感のようなものも違って見えます。それぞれの大事なパートナーを最初に見せていただいたような気がして、その後の演奏にも期待が高まります。

横山さん、長谷川さん、松実さんが川畠さんの動きを見守る中、川畠さんの息の吸い込みを合図に演奏が始まりました。

本当に音がハモると、その音って何倍も何十倍にも広がるものだと私は思っているのですが(本当の所は分かりませんが)、本日の演奏はそこまでの音の広がりは感じませんでしたが、でも素晴らしかったです!聴いていて、素敵だなぁと思いました。音以上に、4人の雰囲気が良かったのかもしれません(失礼な感想かもしれませんが)。

目線は普段見慣れていない長谷川さんのチェロにいってしまいました(笑い)体全体を使ってゆったりと弦を動かし音を出す姿。まるで自分の子供を守っているかのようでした。
チェロと言えば私はジャン・ワンさんのCDしか聴いたことがないのですが、長谷川さんのチェロはワンさんとは全く別の音色を奏でておりまして、楽器の個性ってあるんだなぁ…と思いました。長谷川さんのチェロは力強く、低音がよく響いていました。

第2ヴァイオリンの横山さんは、演奏される姿がとても美しい方でした。ヴァイオリンの構えから、足の置き方まで、見ても聴いても素晴らしい、と思いました。常に右の川畠さん、左の長谷川さん、松実さんの動きを視界に入れて、確認しながら演奏されているようでした。演奏後にも、そのようなことを話されていました。

ヴィオラの松実さん。第4楽章では、少し川畠さんとのやりとり部分があるのですが、その時とっても嬉しそうに弾かれていたのが印象的でした。第1回目のお話ですと、数年前のイギリスでの和波さんのコンサートで「いつか室内楽やりたいねー」という会話があったということですから、本当、嬉しいのだろうなぁ…と勝手に私も想像を膨らませて聴いておりました(笑い)
他にもヴァイオラの独奏部分がいくつかあったと記憶しておりますが、ヴィオラの音色もヴァイオリンとはまた違って耳に心地よかったです。

―― そして川畠さんの音色。
4人の中で1番際立っておりました(1番音色を聴きなれているためかもしれません)!
前回は、川畠さんの動きが他の方に比べてとても大きいように感じ、それが気になって仕方が無かったのですが(爆)、今回はそれほど感じませんでした。4人での見た目でのまとまり感があったように感じます。学生時代の仲間(?)が集まって演奏する姿。観客のこちらも楽しく聴くことが出来ました。

演奏後の松実さんのお話では、「皆さん色々お忙しくて集まることが出来なかったのですが、たった数回のリハーサルでも良い演奏家が集まるとすぐに良い音楽を作り出すことが出来るのですね!」とのこと。実際何回の音合わせをされたのかは分かりませんが、弦楽四重奏初心者の私としては(何度も言いますが)楽しませていただきました。各楽器がリレーのように音をつなげていく部分などが特に好きでした。

そしてアンコールに第4楽章を弾いていただいて、本日の、そして全3回のモーツァルト ツィクルスは終了したのでした。

…が、私にとっての今日の1日はここで終りではありませんでした(笑い)!!!

演奏後のサイン会時のことです。
サイン会の列を眺めていると、横からtonicaさんに声を掛けられました。

「アンソニーさん、いらしているよ!」

!!!!!

CD販売ブースの前に、ものすごくラフな格好をして川畠さんのDVD、そしてポストカードを食い入るように見つめられているアンソニー・ヒューイットさんのお姿がありました。
こんな所でお会いできるとは…というか、川畠さんの演奏を聴きに来られていたんだ…とびっくり。

5月のグランド・ファミリーコンサート。そしてその翌日のヤマハ楽器でのインストアイベント。
(川畠さんとのバランスはともかく)アンソニーさんのピアノの音色はとても素晴らしかったです。それは私だけでなく、何人かの方からも同じような感想を聞くことが出来ました。
「ソロで聴きたい」 と。アンソニーさん御自身の世界がすでに確立されてるのですよね!
アンソニーさんがアルバムを出されていることをパンフレットか何かで読みましたので、私はあの後ネットで調べてみたのです(笑い) でも、見つけることが出来ませんでした。

そして本日。tonicaさんたちのお力を借りて、アンソニーさんにアルバムの購入方法を聞くことが出来ました!

アンソニーさん。とても楽しくてフレンドリーな方のように感じました(日本語も少しだけ…出来ます)。今までの「無」というイメージから一気に変りました。
私は今年はもう、アンソニーさんが伴奏されるコンサートに行く予定は無いのですが、今後コンサートへ行くとしたらきっと感じ方も違ってくると思いました。そして、これからも川畠さんの素晴らしいパートナーとして演奏を続けていただきたいと思いました。

本当に気さくで(?)楽しい方ですので、今後聴きに行かれる方はぜひぜひアンソニーさんの魅力を楽しんできていただきたいと思います!!!

アンソニーさんのHPを教えていただく時に、快くサインまでして下さったのですが、サインの上に何か書かれていたのですね。後でtonicaさんたちと「何書いていたんだろうね」と読んでみると――

やっぱり、楽しい方でした(爆) そして、とても演奏を聴きに行きたくなりました。

アンソニーさんのサインです

Anthony Hewitt Official website

2006年6月25日 記

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