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旅の日のモーツァルト ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団 【モーツァルト生誕250年記念】 オール・モーツァルト・プログラム |
【 2006年5月24日(水) in サントリーホール 】 指揮:ユベール・スダーン ヴァイオリン独奏:川畠成道 ■ 交響曲第31番 ニ長調 K.297 《パリ》 ■ ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 《トルコ風》 with 川畠成道 ■ 交響曲第36番 ハ長調 K.425 《リンツ》 ■ 交響曲第38番 ニ長調 K.504 《プラハ》 アンコール ■ コルレーニョマーチ ■ カッサシオン |
「 今日は用事があるので、18時には帰らせて下さい。」 と、朝一番に同じ部署の人たちに宣言をして、開演時間ギリギリを目指してサントリーホールへ向いました。今日はあいにくの大雨。夕方には雷が鳴っていました。 しかし、今日は大好きなトルコ風です! 一体どんな演奏が聴けるのかしら?! 横からの雨に打たれながら(つまり傘の役目が果たされていない、汗)無事に開演15分前に到着しました。>良かった、良かった。 本日の1曲目は交響曲《パリ》です。…全く知らない曲です(汗)その後のリンツもプラハも、交響曲は知りません。予習もする時間がありませんでした。ぶつけ本番(?)です。 ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団さん自体も私は初めて。全体的に背が高くて大きめな感じの楽団さんたちです。サントリーホールがものめずらしいのか、周りをきょろきょろ見回す方もいます。結構皆さん、自然体でした(笑い) 指揮者のユベール・スダーンさんが皆さんに比べて一回り小さく見えました。 交響曲《パリ》はホールの室内の温度のせいか、オケの方々の調子がまだ温まっていなかったのか、サントリーホール特有の『響き』のようなものが感じられませんでした。指揮者とオケとの息はぴったりなのですが…すごいのは見た目だけなのかな、と失礼ながらに思いました。 ――ところが2曲目の《トルコ風》。 先程とは全く違う、素晴らしい演奏が始まったのです。始まりの音の響きが全然違います。 そうそう、これ! これが私の求めていたトルコ風なのよね! と出だしから嬉しくなりました。 そして、これが本来のザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団さんたちの演奏なんだろうなぁと感じました。言いすぎかもしれませんが、今年これと同じ位のレベルの高い演奏を聴く事はもう無いかもしれない、と思うくらいに素晴らしかったです。無駄な音が無いというか、盛り上がり盛り下がり、端から端まで全ての演奏に対して完璧でした。 そしてそれに続いて、ソリスト・川畠成道さんのヴァイオリンの音色…!!! まるで小鳥が歌っているかのような、素敵な音色がホール全体を響き渡ったのでした。 川畠さんのヴァイオリンの入り方を聴いて、「ああ、川畠さんのトルコ風とはこういう世界なんだ」と思いました。すごく川畠成道感が溢れていたので、すんなりと受け入れることが出来ました。 オケも川畠さんも、それぞれ素晴らしい出だしで始まったトルコ風。どれだけすごかったか、想像出来ますでしょうか?! ―― ところがです。 この感動は、私にとっては最初の部分だけでした。 協奏曲、全てを聴き終わった後のこの不完全燃焼的なこの気持ち。これは何なのでしょう。…私にも分かりません。良くも悪くも思えない事というのは、悪い演奏を聴いた時以上に気持ちが悪いです。 川畠さんの演奏は正確でしたし、その演奏に対してオケもぴったりと合わせていましたし、それだけを考えると本当に素晴らしい演奏でした。でも、何か足りなかったのですよね。+α 的な部分が… 聴いていて、一緒に曲の中に入り込むことが出来ませんでした。いつもいただいている、多くのメッセージを今回受けとることが出来ませんでした。それは、私の体調とかモチベーション(いやいや、モチベーションは最高でしたよ、笑い)とかそういったものもあるのだと思います。 回りで話されている方々の会話を横で聞いていても、「素晴らしかった」という声が溢れていました。 「堂々としている」という声が多かったように思えます。でも、私にはそうは思えませんでした。 川畠さんのトルコ風は速かったです。それが「川畠流」と言えるのかもしれませんが、私は失礼ながらその速さは「焦り」のように聴こえました。本当に楽しんでこの曲を演奏されているのかな、と。 音を追うだけに夢中になっているかのような速さに思えました。川畠さんの持ち味が今一つ伝わってきませんでした。>偉そうに申し訳ありません。あくまでも素人の感想なので、これが全てだと思わないで下さい。 演奏される機会が多い、チャイコフスキーやメンデルスゾーン(は、私は1度しか聴いたことがありませんが)とは何か違うな、と思いました。 それから、いつもでしたら 『 川畠成道さんと○○オーケストラ 』 というような演奏を聴くことが出来るのですが、今回は 『 川畠成道さんとザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団 』 というような雰囲気だったのも、個人的に不満だったのかもしれません(笑い)協奏曲なのに。 と言っても、基本的には素晴らしい演奏でしたので、第1楽章、第2楽章のヴァイオリンの独奏部分はとても聴き応えありましたし(ここは100%川畠さんらしさが出てきました!)、第3楽章のトルコ音楽部分のオケは迫力ありましたしで、マイナスばかりでもないのです。 良いのに悪い…という、非常に生殺し的な(笑い)先程も書きましたが、自分の中ではとても後味の悪い演奏でした。 後半のリンツ、プラハ、アンコールに至っては、日々の疲れが出てしまいまして、ほとんど記憶にありません(汗)でも「すごい演奏を今耳にしているんだ!」と、重いまぶたと格闘しながら感じていたのははっきりと覚えています。予習しておくのだった、と反省しています。 演奏後は大きな拍手、そしてブラボーが飛びました。花束を指揮者に渡されていた女性もいました。 本当は素晴らしい演奏だったのだと思います。そしてその感動を多くの方々が受け取っていたのは、会場で感じました。私の聴くタイミングが悪かったのでしょう…そういう日もあります! またぜひ、私のリベンジとして(?)川畠さんのトルコ風を聴く機会があるといいなと期待している現在です。 2006年5月27日 記 |
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