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Kennedy Center Millennium Stage 〜Narimichi Kawabata〜
【 April 5.2006 in Millennium Stage 】
  Pianist : Daniel-Ben Pienaar


■ タルティーニ : ソナタ ト長調「悪魔のトリル」
■ ガシューウィン : 歌劇「ボギーとベス」より〜サマータイム、女は気まぐれ
■ ガシューウィン : 歌劇「ボギーとベス」より〜そんなことはどうでもいいさ
■ 日本古謡 : さくら さくら
■ イザイ : 無伴奏ソナタ 第3番「バラード」
■ ワックスマン : カルメン幻想曲

アンコール
■ グノー : アヴェ・マリア
ワシントンでの川畠さんの演奏を、リアルタイムで見ることが出来るなんて!
「インターネット社会の現代はすごい」…そう思った1日でした。さらにすごいのは、この映像が今でも見ることが出来ることです。まだ見て&聴いていない方は今すぐKennedy Centerのホームページへアクセスしましょう!約1時間の公演です。※ Play this Performance をクリックして下さい。

現地時間で4月5日の18:00開演。日本では翌朝7:00。日本の学生、社会人にとって非常に厳しい時間帯です(笑い)でも、日本からどれだけの人がこの映像にアクセスしたのかしら(ドキドキ&ワクワク)そんなことを思いながら私もパソコンの画面に向っておりました。

…と書いてしまえば聞こえは良いのですが、実はtonicaさんに電話いただくまでぐっすりと眠っていたのでした(爆)>あの時言えなかったので、ここで告白します。

「今ね、ピアノだけが映っている状態だよ!」

なに、何?!もう映像が映っているのね…! ということで、早速パソコンを立ち上げてピアノを確認。この時、6時30分。私は7時までの30分間で、あわてて朝食を取り、歯を磨き、化粧をして、すぐに出勤できる体勢にまで持って行きました(笑い)

7時までの間は、前列付近の席に座られようとされている方々の頭がチラホラ映っていました。そして7時。司会者らしき人のアナウンス(?)が少しあってから、画面右手より川畠さんとダニエルさんが登場! プログラムは全く知りませんでしたので、何を弾かれるのかな、と楽しみでした。

1曲目は『悪魔のトリル』でした。

――演奏が始まって気になったことが2つ。
まずは、ダニエルさんが川畠さんに完全にかぶってます(涙)時々素敵な指先が見えればいい方で、ほぼ隠れています。その代わり、川畠さんの演奏される姿はばっちりです! 本当に、今アメリカで演奏されているんだな…と思うと不思議でなりませんでした。

次に気になったのが「音」です。何と言いますか…クライスラーやハイフェッツなど昔の人のアルバムや映像などのヴァイオリンの音色ってキンキンしている時がありますよね。それを聴いて、私は昔っぽいなとよく思うのですが。川畠さんのヴァイオリンの音色も、そんな感じにキンキンして聴こえました。私のパソコンのせいなのかもしれません。(現在観ることが出来る映像では少しましになったかなと思います。) これはこれで良いのですが、いつもコンサートで耳にしている川畠さんのヴァイオリンの音色とは違って聴こえました。

1曲目から素敵な悪魔のトリルです。川畠さんの左手の動きから眼が離せません。
そして、ダニエルさんのピアノの音色もとても良く響いていました。CDではあまり聴かないボギーとベスも、魅力的に感じました。
(ですので、フォーレのソナタやベートーヴェンのソナタなども聴きたかったです。)

今回特に素晴らしかったのは、初めて聴いた 『さくら さくら』 です!
大阪、京都のコンサートへ行かれた方が大変感動していて(アンコールで弾かれたそうです)、私も楽しみにしてたのですが、想像以上でした。ヴァイオリンの魅力・可能性を伝える最高の方法が、これ以外にあるのだろうかと思える位、聞惚れてしまいました。
簡単に言ってしまえば、誰もが知っているこの民謡を何回か弾かれただけなのですが、毎回弾き方が違っていて、その音色から引き出された世界もそれぞれ違っていました。
例えば、それは三味線のさくらさくらだったり、琴のさくらさくらだったり、尺八のさくらさくらだったり、本来のヴァイオリンでのさくらさくらだったり。シンプルな曲なのに、弾き方によってこれほどまでに深く、意味のある曲になるんだな…と聴いていて思いました。(お忙しい方も、22分15秒位のところからこの演奏は始まりますので、ぜひ聴いて下さい!)
演奏後の、川畠さんの笑顔もまた素敵です♪

この後、退席される方の頭が映像に映り、少しムッとしました(笑い)
おいおい、最後まで聴こうよ、と。(この方にも色々事情がおありなのでしょうが。)

引き続き無伴奏。イザイのバラードです。
この感想を打っている、丁度先程「NEWS21」で五嶋龍くんが同じイザイのバラードを弾かれていたのですが、川畠さんと五嶋龍くんとでは生み出す世界が全く違うことを感じました。
川畠さんの演奏を聴いていると、崖の上から見える海の情景、画面がどんどん退いていって修道院が私の頭の中では見えてきます(今までに何度も書きましたが)。五嶋龍くんのイザイは、スタジオの背景が紫っぽかったと言うこともあるのかもしれませんが、「占いの館」とか「魔術師」とかそんなイメージが浮かんできました。川畠さんが「過去」なら龍くんは「未来」と言う感じ。川畠さんは精神的な部分に訴えかけてくる所が大きいのですが、龍くんはパワー、力がとてもみなぎっているように感じました。龍くんのパワーを聴いている私たちが浴びる、という感じです。同じ曲でも、かなり雰囲気が違いました。

最後のアンコール、アヴェ・マリアでは、こちらもそろそろ家を出なくては…という時間になりましたので、コートを着ながら立ったまま聴かせていただきました。なかなか出来ない体験です(笑い)でも、何とか最後まで聴く事が出来て良かったです。

正直、時間が時間でしたし、通常のコンサートのように集中して楽しむ事は出来なかったのですが(常に時間を気にしてソワソワしてしまいました)、またこういう様な遠くの地で演奏されている姿をリアルタイムで見ることが出来る機会があると嬉しいですね!

この映像で初めて川畠さんの演奏に触れた方が、もし偶然こちらのページを読まれたのならば…生のコンサートはもっとすごいです!と伝えたいです。映像では伝えきれない、言葉でも表現できない「何か」がコンサート会場にはあるのですよね。ぜひぜひ機会がありましたら、会場へ足を運んでいただきたいです。

2006年4月8日 記

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