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クリスマスチャリティー・コンサート 2005
【 2005年12月24日(土) in ミューザ川崎シンフォニーホール 】
  川畠成道 with 東京交響楽団 / アレクサンドル・シトカベツキー


第一部
■ モーツァルト:ディヴェルメント ヘ長調 K.138 
■ J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのためのコンチェルト with 川畠成道 アレクサンドル・シトカベツキー

第二部
■ ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」 with 川畠成道

アンコール
■ グノー:アヴェ・マリア
■ バッハ:アリア
■ ヴィヴァルディ : 『 四季 』 より 冬 第2楽章
2005年のクリスマスイヴの、そして2005年最後の川畠さんのコンサートに相応しい、とても素敵な、心が熱くなるようなコンサートでした。誰もが幸せに充たされた気持ちで、ミューザ川崎シンフォニーホールを後にしたのではないかと思います。

ミューザ川崎シンフォニーホールは、行く前に座席表を見た限りではサントリーホールのような大ホールに思えていたのですが、実際行ってみますとそれほど大きな舞台ではなく(座席数は1997席と多いですが)、最前列から舞台までは2歩ほどの距離、そして舞台の高さ自体がとても低いので、至近距離で演奏を楽しむことが出来ました。360度全体からお互いが舞台と客席を見るワインヤード形式のホールでした。音響も良かったのではないかと思います。

バッハ「2つのヴァイオリンのためのコンチェルト」。
多くの方がセカンドヴァイオリンのシトカベツキーさんを楽しみにしていました(笑い)ちらしに載っていた写真はとってもハンサム♪ そして、1983年生まれの22歳! 川畠さんとは約10歳 年が離れているのです。
ロシア関係大好きな私は『ロシア人』というだけで、興味津々。どのような演奏をされる方なのか、楽しみで仕方がありませんでした。
ただ、ロシアの方で注意をしなければいけないのは、バラホフスキーさんやミシュクさんのように、常に容姿の変化をされている方が多いようですので、そして22歳と言えば成長期ですので、写真だけで判断してはいけないということです。この写真から、もう少し大人になられたシトカベツキーさんをイメージしておく必要がありました(笑い、何の必要だって話ですが)。

川畠さんと一緒に舞台へ登場されたシトカベツキーさん。
私の想定の範囲内の方でした。川畠さんよりも2回り程大きな方で(身長も体格も…でも、撮った写真を見ているうちに1回り位のように思えてきました)、写真よりも成長されたようでしたが、ほぼイメージは同じでした。違うのは、写真のようにクールな方ではなく、丸みのある暖かな方に見えたということです。

シトカベツキーさんの息を吸い込む音から2つのヴァイオリンのための協奏曲は始まりました――

シトカベツキーさん、Очень Хорошо!

大変に、若さ溢れる演奏をされる方でした。元気一杯にヴァイオリンを弾かれるその姿に、私はもう釘付け(笑い) 五嶋龍さんの若さ全開の演奏を、聴いていて思い出しました(足の踏み出し方など似ています)。そして、時々レーピンさんを髣髴とさせるような余裕のある弾き方にも思えたり。エネルギッシュでありながら、きちんと音を捉えて演奏をされる方だなと思いました。
音色も、川畠さんのヴァイオリンととても良く合っていたと思います。調和が取れていました。申し訳ありませんが、この曲の時は東京交響楽団さんの演奏は耳に入っていませんでした(汗)視界にも入っていませんでした(汗、汗、汗)チェンバロが横で鳴っているなぁ…位にしか。

感動したのが、第2楽章。
この部分って、とても情感たっぷりの音色のやりとりを2つのヴァイオリンでされる部分ですよね。
まずはシトカベツキーさんが、母親に対する、又は恋人に対する愛情を表現したような暖かい音色を奏でられました。それに応えるように川畠さんは、今度は地球規模・宇宙規模ともいえる、とても大きな、全てを包み込むような音色で奏でられました。そういう2人の間のやりとりが続いたのです!…素敵でしょう?! 私は、つい目頭が熱くなってしまいました。まるで1つの劇を見ているようでした。
約10歳年下のシトカベツキーさんを横に、川畠さんはとても大人びた音色を発し続けました。見た目は小柄な川畠さんのほうが若く見えるのですが、演奏は川畠さんのほうが先輩。ぐんぐんとシトカベツキーさんを引っ張っていかれていたように思います。
色白のシトカベツキーさんは、顔を真っ赤にして演奏をされていました。対する川畠さんの表情は、今までに無い位に楽しそうで…! ああ、川畠さんには可能ならば もっと弦楽器同士での演奏(例えば、2つのヴァイオリンのソナタとか、又はピアノトリオとか、そんなイメージのものを>詳しい事は分かりませんが)をしていただきたいな、と思いました。本当に楽しそうだったので、こちらも嬉しくなりました。このバッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲って、こんなに幸せ溢れる楽しい曲なのだろうか(詳しく知らないので)…聴いていて、そう思ったくらいです。

第3楽章は、激しめな、そしてとても盛り上がる部分です。
川畠さんの弓を振り上げる動作を合図に(?)演奏は始まりました。一生懸命に弾き続けるシトカベツキーさん、それに時々寄り添うようにして演奏される川畠さん。その御2人の熱気に会場の私たちは圧倒され続けました。この曲が終わりに近づいてきた時、私はまだ終わらないで欲しいなぁ、もっともっと御2人の演奏を聴き続けていたいなぁと思いました。この日1日限りの演奏だなんて、もったいないと思いました。(そして、頭の中で勝手に全国ツアー計画を…笑い)

今回セカンドヴァイオリンがCDと同じボローニャのコンサートマスターさんではなく、そして有名なヴァイオリニストとかでもなく、このシトカベツキーさん(有名な方なのかもしれませんが、私は存じ上げていなかったので)で演奏されたこと。とても嬉しく思いました。『彼』だからこそ、お互いが協力し合い、川畠さんもとても素晴らしいバッハの演奏をされたのだと私は思います(好みは色々あると思いますが、笑い)。
演奏後、この曲が今まで以上に大好きになりました。

ヴィヴァルディ「四季」。
この「四季」という曲が嫌いな川畠さんのファンの方が、感動されていた…そう表現すれば、この日の素晴らしさが伝わるでしょうか?
今まで各楽章の一部をピアノの伴奏で聴く機会が何回かありましたが、それでは川畠さん2005年1年間に込められた思いを察することは出来ないのだと思いました。全部聴いて、やっと私も少しだけ理解できたように思えます。

一度で2音の音を出される時の響き、ハーモニー(専門用語が分からないので、何と書けばよいのか…>『重音』 というのだそうです。教えていただきました。ありがとうございます!)がいつもと違って(失礼)完璧でした。迷いの無い左指の動きと弓さばきでした。川畠さんは、1年間、それは何度も何度も何度も何度もこの曲を練習されてきたのだなということ、そしてこの曲に対する意気込みが伝わってきました。今日の演奏は、音符の並びとか関係なく、自分の気持ちをそのまま表現されていたのだと感じました。

東京交響楽団さん(12人構成だったはず)との調和も良く取れていたと、私は思います。
東京交響楽団さんはチェロのお1人を除いて、皆様 紺の衣装を着ていらっしゃいました。ですので、このチェロの方がコンサートマスターさん…?と思ったくらいで(笑い、違いましたが)
そして、コントラバスの方が楽団の中で最年長の方だと思われたのですが、その方のみが演奏中立って弾かれるわけですから(他の方は当然座って演奏されています)、何か可哀そうに思えてきて。何で、最年長の方がよりによって立たないといけないのかなぁなんて。
また、コンサートマスターさんは 私の以前の職場にいた田村のおじさんにそっくりで(笑い)!何で田村さんがヴァイオリンを持ってここにいるの?!と、事あるごとに思っていました。
その後ろに座っていたヴァイオリンの方が、少しだけ渡る世間は鬼ばかりの角野卓造さんに似ていらしたし。…そんな訳で とても、東京交響楽団さんに親近感を感じながら聴かせていただきました。
もちろん見た目だけでなく、演奏中のヴァイオリン、チェロの川畠さんとのやりとりは素晴らしかったです。

四季を演奏し終わった時の、東京交響楽団さんの満足そうな表情も忘れられません。特に田村さんと角田卓造さんは、目が赤くなってうるうるしていました。田村さんは、横の女性に「俺さぁ、すごい左手に汗掻いちゃったよ!」みたいなことを、左手をしきりに見せながら話されているようでした。そんな感無量&興奮気味で川畠さんのサポートをしながら、拍手が飛び交う舞台を何往復もされる田村さんを見ていて、ますますこの四季の感動が大きなものとなったのでした。

アンコールは3曲。いつもと違うチェンバロとのグノー「アベ・マリア」は、クリスマスっぽい雰囲気が出ていて、聴いていて新鮮でした。あとの2曲は東京交響楽団さんと一緒に。バッハ「アリア」と聴きながら、私は1月のコンサートで初めて多くの川畠さんのファンの方に出会ったこと、そして今年1年の色々な川畠さんの演奏、ダニエルさん、鷲宮さん、山口さん、チャドウィックさん…頭の中を駆け巡りました。本当に充実した1年だったなぁと感じました。

本日のパンフレットに、先日宮城でソノス・ハンドベル・アンサンブルさんと一緒に行われたコンサートで撮られた、ハンドベルを持った川畠さんの写真のシールが貼られていた方は、演奏後に川畠さんと舞台の脇に飾られていたクリスマス・ツリーの横で記念撮影をすることが出来る(30名)というプレゼントがありました。協賛のCanonさんの企画で、その場で高性能な(?)Canonのプリンターでプリントアウトされ、額に入れて渡されていました。とても素敵な企画でした。当たった方、皆様嬉しそうでした。

そして、今回はアンケート用紙を提出した人には「川畠成道の四季」の裏ジャケットの写真のポストカードをプレゼントして下さいました。皆で、ここぞとばかりに記入してきました(笑い)

その後に、恒例の、今年最後の川畠さんのサイン会。何と、横にはシトカベツキーさんのお姿も!!!
どこにサインをしていただくのか…初めは私もパンフレットに、と思っていたのですが、皆様を見ていると普通に川畠さんのCDに一緒にお願いされていたので、私も遠慮なくしていただきました。シトカベツキーさんが、CDでもセカンドバイオリンで弾かれていると思われていた方もいらっしゃったようです(違いますから!、笑い)。
シトカベツキーさんは Спасибо большое!と、きちんとお礼を言われる 礼儀正しい方でした。「アリガトウゴザイマス」と日本語でもお礼を言われていました。お礼を言わなければいけないのは、こちらなのに… また、ぜひ来年も日本で演奏していただきたいと思いました。
コートを羽織った川畠さんも、大変満足そうな笑顔でサインをして下さいました。今年1年の、良い締めくくりとなって大満足な1日でした。

―― これが最後の2005年のコンサートの感想です。
あっという間の1年でした。そして、塵も積もれば…といいますか、つたない素人感想を こんなに多く自分が綴っていたとは(笑い)! 好き勝手に書いて、失礼致しました。これも良い思い出です。
2006年は、さすがにここまで足を運ぶことは出来ないと思いますが、その中でも出来る限りコンサート会場へ川畠さんの音色に出会いに行きたいと思っています。

2005年12月25日 記

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