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川畠成道 Violin Recital 2005 Winter
【 2005年12月17日(土) in コピスみよし(三芳町文化会館) 】
  ピアノ:山口研生


■ F.クライスラー:前奏曲とアレグロ 
■ C.フランク:ソナタ イ長調

■ S.フォスター:金髪のジェニー
■ N.パガニーニ:ラ・カンパネラ
■ J.ブラームス:ハンガリー舞曲 第4番 (編曲ヨアヒム)
■ F.シューベルト:アヴェ・マリア
■ F.ワックスマン:カルメン幻想曲

アンコール
■ ジョン・ウィリアムス:シンドラーのリスト
■ ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番
■ メンデルスゾーン:歌の翼に
■ モンティ:チャルダッシュ
■ ヴィヴァルディ : 『 四季 』 より 冬 第2楽章 ラルゴ
■ バッハ:アリア
もう、諏訪内晶子さんのコンサート終了後に大宮ソニックシティから駆け足で、一生懸命電車を乗り換えて、鶴瀬駅ではタクシーがなかなか来なくてドキドキ&イライラして(笑い)、三芳町のこのコピスみよしホールまで聴きに行った甲斐があった…(涙)!!! その一言につきます。(ホールに到着したのが開演時間のジャスト18:30でした。)久しぶりに素晴らしい演奏を聴くことが出来て、大満足です。素晴らしい演奏を、どうもありがとうございました と感謝の気持ちで一杯です。

コピスみよしのホールの方々の対応もすごく良かったです。18:30ギリギリに駆け込んだ時も、まだ大丈夫ですから慌てずに…と優しく声を掛けてくださいましたし、演奏前に「演奏中の飲食・録音等は御遠慮下さい」のようなプラカード(?)を持って係りの方がホールを歩いてマナーを促していましたし(守られていたかは別問題、笑い)、演奏後のサイン会のときの対応もしっかりとしていました。そして何より、アンコールの曲目が書いてあるコピーを配ってくださったのですよね。これは、初めてでした。言われてみれば…ですが、なかなか出来そうで出来ない気配りに少し感動してしまいました。

前奏曲とアレグロが始まって川畠さんの音色を聴いた瞬間、何だか自分の居場所に戻ってきたような、安堵感を感じました。先程聴いてきた諏訪内さんの遠いような完璧な演奏。それとは対照的に身近に感じる人間味溢れる暖かい演奏。感覚と好みの問題なのだと思いますが、私はやはり川畠さんの音色が好きなんだと改めて自覚を致しました(笑い)

9月のソナタシリーズで大興奮をして以来、その後の演奏に私の心が入っていかなくなったフランクのソナタ。こちらも、今回は以前のように曲に入り込んで聴くことが出来ました。
最後のピアノとヴァイオリンの音色がだんだんと天井に向って駆け上っていくあたりも、一緒に自分の気持ちも駆け上って行って、もう少しピアノをガンガン弾いていただいてもいいですよ、山口さん、と個人的好みを心の中で注文付けながら、最後まで楽しませていただきました。ソナタシリーズの、理想化されたともいえる私の中での最高の感想に打ち勝つことが出来たような気がします。(最近は何を聴いても、ソナタシリーズの時と比べてしまっていました。)気持ちは、6月5日の入間のコンサートの状態に戻ったかのようなテンションでした。…つまり、相当良いということです(笑い)

最近 気になっているラ・カンパネラです。この曲を私は今回楽しみにしていました♪
川畠さんは、やはり素晴らしいですね… 途中、やはり あれ?という部分もありましたが(そして、川畠さんもあれ?という表情を見せておりましたが)、それを考えても完全に弾きこなされていました!すごい!
恐らく以前もこのように いとも簡単に弾かれていたので、ラ・カンパネラがすごい曲だということに私は気がつかなかったし、あまり記憶にも残らなかったのだと思います。今思うと、すごい曲を目の前にしていたのに(笑い)>これに気づかせてくださった、藤原浜雄さんに感謝。

シューベルトのアヴェ・マリア。
今回のコンサートで1番素晴らしかったと思います。聴いていて、感無量、胸が一杯になりました。
川畠さんといえば、グノーのアヴェ・マリアの感が強いですが(私の中では)、2006年はシューベルトのアヴェ・マリアで攻めていただきたいな、と勝手にプロデュース計画をたててしまった位です(笑い)

私は最近のコンサート(ソナタシリーズ以後ですね)を聴いていて、川畠さんご自身が演奏に重点を置く部分が変ってきたのかな…と思っていました。今までは、タイスの瞑想曲、グノーのアヴェ・マリア、バッハのアリアなど、『情』を前面に押し出した演奏を持ち味としていたと思うのですが、また それらの演奏に感動を続けてきた訳ですが、ここ数回はツィゴイネルワイゼン、チャルダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲第1番、第5番、カルメン幻想曲、など『技』を前面に出す演奏に熱を入れているように受けとれました。本当のところはどうなのかは分かりません。私が感じただけです。とにかく、気迫が今までと違う感じがしたのです。川畠さんって、こんな演奏・音色を出す方だったかしら…と。ですので、アヴェ・マリアを聴いていても、それは私が思っている・求めているアヴェ・マリアではありませんでした。川畠さんの世界に入っていくことが出来ず、違うなぁ…という気持ちが抜けませんでした。そして、もう今後はあのような感覚を感じる事は出来ないのかもしれないなと思っていました。演奏は常に進化していくものだと思いますし、それはそれでまた新しい魅力を探していこうと思っていたので、ただ漠然とそう思っていました。

私は素人だと自分でも分かっていますが、本当に素人だったのですね(笑い)
川畠さんは、何も変っていませんでした。それどころか 以前にも増して、暖かな、優しい、シューベルトを弾いてくださったのでした。もう、会場全員で聴き入ってしまった…と思います。
こういう感覚って何なのでしょう。ホールの環境なのか、自分自身のモチベーションなのか、川畠さんご自身の弾き方なのか。自分自身のモチベーションなのだとしたら、この日は本当に最高のモチベーションだったのだと思います。とても楽しい1日でした。(ただ、席によってはあまり良く聴こえなかったという方もおられましたので、会場の環境というものもあるのだと思います。)

アンコールでは、今日が今年最後のリサイタル(24日にオーケストラとのコンサートがありますが、リサイタルとしては最後)です。24日は19:00からBS朝日で番組をやるので見ることの出来る環境の方はぜひ、見る事の出来ない環境の方も何とかして見てください(無理です…涙)、というようなこと。
歌の翼にを弾いたり聴いたりしていると、自分がヴァイオリンを始めた頃やその前のことを思い出してくるのですよね…というようなこと。
四季という感覚は世界中にあるようで 私たちは春・夏・秋・冬と言いますが、夏・秋・冬・春(だったか、冬・春・夏・秋>覚えていません)と言う所もあるようです。それは、寒い冬を超えると春がやってくるという、そういう意味も冬に含まれているのだそうです。ヴィヴァルディのこの四季の「冬」もそういう曲だと思います…ということで最後にヴィヴァルディ「四季」より冬・第2楽章。
…大体、そのようなお話をされたと思います。(私事ですが、最近記憶力が低下しておりまして 記憶が曖昧で自信がありません、汗)

冬・第2楽章で本当はラストだったのですが、私の前に座っていたおばちゃんが、感極まって退場する川畠さん、山口さんに「アンコール!」と叫んだのですよね(笑い)
この状況で扉が閉まったら、皆寒い気持ちでホールを後にしなければならなかったのですが、優しい川畠さんと山口さんですから、本当に最後ですよ、ということでバッハのアリアを弾いてくださったのでした。
おばちゃん、よくやった! この曲は、おばちゃんのための曲だな…と思いながら私も聴かせて頂きました。おばちゃんは、それはもう震えながら集中して聴かれていましたよ。地元の方のようでしたので、今日のコンサートを本当に楽しみにしていたのでしょうね。

演奏後のサイン会。NEWアルバムの「川畠成道の四季」は完売していました(さすが!)。
皆、興奮しながら川畠さんにサインをいただいたのでした。
川畠さんは、どちらかの局(ケーブルテレビか埼玉のテレビか)のインタビューをクリスマス・ツリーの前で受けておりましたので、きっとどちらかで放送されるのだと思います。

会場から外に出ると、とても寒くなっていました。でも、その寒さがとても気持ちが良かったです。(だって、心は暖かですから…!>なんて、笑い)冬のコンサートは素晴らしい! 星空も綺麗でした。
コピスみよしから鶴瀬駅までシャトルバスが出ていまして(駅から車で10分ほどの場所だったのです)、皆で遠足気分で(バスの補助席も使って!)駅まで帰りました。最後まで楽しいコンサートになりました。

2005年12月18日 記

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