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川畠成道 ヴァイオリンコンサート in 入間
【 2005年6月5日(土) in 入間市市民会館 】
  ピアノ:ダニエル・ベン・ピエナール


■ F.クライスラー:前奏曲とアレグロ〜プニャーニの様式による〜
■ J.ブラームス:ソナタ 第1番 ト長調 作品78 「雨の歌」
〜 INTERMISSION 〜
■ E.エルガー:愛の挨拶
■ J.ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番 (編曲 ヨアヒム)
■ S.ラスマニノフ:ヴォカリーズ
■ N.パガニーニ:ラ・カンパネラ
■ C.グノー:アヴェ・マリア
■ F.ワックスマン:カルメン幻想曲

アンコール
■ ショパン:ノクターン
■ サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 作品20
■ アイルランド民謡:ロンドンデリーの歌
今年の中で一番のコンサートでした!!!…まだ後半年ありますが。

私は今、とても感動しています。音楽を聴いて、初めて涙というものを流しました。
今までに無い程の、サイン会に並ぶ長蛇の列。皆一体となって今日の演奏に心を震わしたのでした。
そして、今年最後のコンサートとなったダニエル・ベン・ピエナールさん。
本当に素敵な時間をどうもありがとう! また来年ステージの上での姿を今から楽しみに待っています。

本日は、友人のおかげで(どうもありがとう!)初めて1列目の席で演奏を聴くことが出来ました。そのため、ずっと前からこの入間のコンサートは楽しみにしておりました。
席から3歩も歩けばステージを触れるほどの近さ! この魔法のような席は、自分の想像を遥かに超えていたのでした。

川畠さんとダニエルさんの登場…そして前奏曲とアレグロが始まりました。
も…ものすごく、良く見えます!
川畠さんの表情はもちろん、洋服の色や首に当てる布の柄(裏がストライプ模様になっていました)、袖口からのぞくカフスボタン。まるでテレビの映像を見ているような、いえ、それ以上のものを見させていただきました。瞬きをするのが勿体無くて、眼が非常に乾燥しました(笑い)
こ…これが、一番前というものなのか!!!
―― あまりの衝撃に、最初は口が半開き状態だったかもしれません。

いつもでしたら色々なところを見るのですが、もう、今日は川畠さんのお姿に釘付けです!

初めて聴いた『雨の歌』。
パンフレットの解説によりますと「第3楽章のテーマが1873年作曲《雨の歌》から導き出されている事から、《雨の歌》と呼ばれている」ということですが、第1楽章のピチカートのポロン、ポロン…そしてピアノのポロン、ポロン…そんな部分からすでに雫が落ちているような感じがして、可愛らしく、耳障りの良い、素敵な曲でした。

驚いたのが、『ラ・カンパネラ』です。
弓が弦の上をポン、ポン、ポンと気持ちが良い位に跳ねるのですが、その後続けて左指をポン、ポン、ポンと弾かせる。一瞬の出来事で、何が起こったのか分からない位、素早い動きでした。
もう「職人技」としか言いようの無い、見事な動きです。左指でも弦を弾くんだ…と初めて知りました(当たり前のことかもしれませんが)。

本当は全部の曲について述べたい気分なのですが(全てにおいて、色々と思うところがある演奏でした)、省略してアンコールの話です。

もしかしたら…と思ってはいたのですが、アンコールの前に川畠さんが「10年来のパートナーで、今回が27回目の来日となるダニエルは、今年の日本での演奏は今日が最後となります。」と悲しい事実(私にとっては、ということです)を話されました。その後のトークも、本日はダニエルさんのことばかりでした。

―― そして、アンコール1曲目はショパンのノクターン。
私にとって、このノクターンは「戦場のピアニスト」のイメージが強く、『ピアノのための曲』という感覚があります。そのノクターンです。

まるで、川畠さんが「今年もどうもありがとう!」とダニエルさんのために奏でているような(実際はダニエルさんも演奏されている訳ですが)、そしてその気持ちにヴァイオリンが反応するかのように、非常に優しさあふれる調べがホール全体を包み込んだのです。
(全ては私の妄想の産物なのですが。私の中では1人でそういった「物語」が出来上がっていたのです。)
そうしたら、涙が出てきてしまって。今までに無いほどの優しい音色に感じたのです。

ツィゴイネルワイゼンも素晴らしく、5月の評判の良かった演奏をじっくり聴けなかった分、本日思う存分に聴かせていただいた、と大満足でした。

最後はロンドンデリーの歌。
ダニエルさんや川畠さんがこれから帰る、アイルランドの民謡です。
これが驚くほど、ノクターン以上に優しい、優しい音色で!
(今回はこればっかりですが、本当にそうだったのです…)

皆さん、今すぐ「哀愁のトリステ」の14曲目を流して下さい。
そして、ずっと前からパートナーとして信頼関係を結んできた、川畠さんとダニエルさんのお姿を(自分で作り上げて)思い浮かべて下さい!!!

涙が止まらなくて、止まらなくて、困りました。
もう、ダニエルさんどうこうではなく、この曲にはまってしまったといいますか。川畠さんの表現される世界にはまってしまったといいますか。
「川畠さんの演奏を聴いて涙が出るって、こういうことなのか!」と、コンサートで涙を流される皆様の気持ちが、今日初めて分かりました。>今までは、鳥肌はたっても涙を流すことはありませんでした。

音楽の持つ力って、すごいですね! そして川畠さんの持つ表現力は素晴らしい!
川畠さんの魅力をまた1つ知ることが出来た、そんなコンサートでした。

2005年6月5日 記

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