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Daniel-Ben Pienaar Piano Recital
ダニエル・ベン・ピエナール ピアノリサイタル
【 2005年6月4日(土) in 浜離宮朝日ホール 】

1. W.A.モーツァルト : メヌエット ニ長調 K.355  ロンド ヘ長調 K.494
2. F.ショパン : 3つの夜想曲 作品9
3. F.ショパン : バラード 第4番 ヘ短調 作品52
〜Interval 休憩〜
4. J.ブラームス : 間奏曲  作品116の第2番  作品118の第2番
5. F.リスト : ソナタ ロ短調

アンコール
   シューベルト : 即興曲
 『 今日のプログラムの中心をなすリストのソナタとショパンのバラード 第4番は19世紀の作品の中で特に私が大切にしている2曲です。この2つの作品については生涯を通して学び、弾き続けていきたいと思っています。』

――これは、プログラムに書かれていたダニエルさんのメッセージです。
となると、今日はリストのソナタとショパンのバラード 第4番は気合を入れて聴かないと!と思いました。
ダニエルさんの事は何も知らなくて。ですので、このプログラムに寄せられたダニエルさんのメッセージは嬉しいものでした。私にとって、初めてのダニエルさんのお言葉。(もちろん日本語に訳されています。)

初めてのダニエルさんのコンサート…そしてピアノのコンサート自体が初めてでして。
最後まできちんと聞くことが出来るのかしら…?という不安も半分ありました。これは、昨年始めてヴァイオリンのコンサート(ソナタシリーズ)へ行ったときと同じ気持ちです。あの時のことを思い出したりもしました。

舞台の真ん中にピアノが一台。そして、手ぶらのダニエルさんが登場!
(実は遅刻をしてしまい、ダニエルさんのお姿を目にしたのは2曲目の『3つの夜想曲』からなのですが、涙)

手ぶら…!

ピアノのコンサートでは当たり前のことなのでしょうか?
楽譜が全部、頭の中に入っているのですね。さすがです。
そして、少し照れ気味な感じで(私の想像ですが。私の席からは、顔の表情までは見えませんでした)お辞儀をしました。私の頭の中のイメージは、ピアノに左手を添えてお辞儀するダニエルさんでしたので、そんな所からも『ああ、本当にダニエル・ベン・ピエナールさんのソロコンサートへ来たのだな』と実感しました。

正直な話、今までCDで聴くピアノの演奏は(どなたが弾かれたアルバムでも)、どうも聴きづらいといいますか、1枚を最後まで聴き通すことが出来ませんでした。(でもダニエルさんのバッハだけはきちんと聴けるのです。ですので、このアルバムは好きなのです!)
―― でも、生は違いました。演奏者の気迫が直接伝わってきますし、音もとても澄んでいて、聴いていて心が洗われるような… これがピアノの演奏なのか! ピアノ100%の音色なのか! と思いました。聴いていて、とても気持ちが良いのです。

そして、ショパンのバラードになりました。

とても、熱い弾き方をされるのですね!!!

いつも、じっとピアノに向かわれている姿しか見ていなかったので… ダニエルさんってピアニストなんだなぁと、当たり前のことを再確認した気がします。聴いているこちらがドキドキしてしまいました(笑い) 熱さ、激しさ、穏やかさ…など色々な感情が伝わってきたので。
思わず椅子から腰を浮かせて弾かれる姿は、それはもう、素敵でした♪
私としては、このバラードからどんどん熱く、盛り上がってきた感があります。しっとりさと激しさのコントラストがとても良くなってきたような。もう、皆がダニエルさんの演奏に夢中でした。

ラストのリストのソナタ。
パンフレットには「ブラームスとリストの間には、演奏者はお辞儀をいたしませんので、拍手はリストのあとにお願いいたします。」の一文がありました。
(それだけ思い入れの深い曲なのだろうな、と私は思ったのですが。)
ダニエルさんも、客席も、この曲でクライマックス! 皆の心の中で、どよめきが起こっていたのではないかと思います。それだけ盛り上がりましたし、素晴らしかったです。これはピアノリサイタル初経験の私でも感じました。

リストのソナタの最後の一音。そして音が消えるまでの数秒間の静寂――
その後の、割れんばかりの大拍手!
弾き終った後の、充実感溢れるダニエルさんのお姿。そして照れくさそうなお辞儀。

「ダニエルさんのピアノは、前より優しくなった…」
と、お話される方が何人かいらっしゃいました(前からダニエルさんの演奏を聴かれている方々です)。そして、どの方も「素晴らしかった!」と大満足&大絶賛されていました。そんなコンサートへ私も行くことができて、本当に良かったです。

この日のダニエルさんのお姿のおかげで、ダニエルさんのCD『バラード』を聴く時の気持ちも変りましたし、恐らく、今後川畠さんのコンサートで伴奏される時の感じ方も変ると思います。
来年もぜひ、行きたいです。それまでには私、ピアノについて耳を少し成長させていたいと思います。

アンコール後の鳴り止まぬ拍手の中で、「もうアンコールは終りだよ。」の意思表示として(?)パタンと可愛らしくピアノの蓋を閉められたダニエルさんの姿が、今も私の目に焼きついております…

2005年6月7日 記

■ 追記 ■

ふと思い出しましたので、追記です。
ダニエルさんのコンサート。いつも川畠さんのコンサートへ足を運ばれる方が大半なのかと思っていましたが、そうではなかったように感じました。純粋なるピアノファン。私の周りでは、ご自分もピアノを弾かれている方が多かったです。(楽譜を持たれていたりとか。)

また、川畠さんのコンサートでは女性が多いのですが、こちらでは男性の方もかなり見えました。
そんな中でサイン会の時に私の後ろに並んでいた大学生と思われる男性2人組の会話をご紹介します。話を聞いていると、片方の人がピアノを弾かれているようで(男性A)、もう片方の人(男性B)は普通の方のようでした。

男性A : おい、何か質問考えてよ。何聞けばいいか分からないよ。やべーよ。もうすぐだよ。

男性B : うーん。「何でピアノを弾くのですか?」 とかは?

男性A : んなもん、小さい頃から自分に合っていたからに決まっているだろ!
      そんな質問だったら、俺が代わりにいくらでも答えてやるよ。ねぇ、何かないの? 何かな
      い? (※ 自分から聞いておいて、わがままなヤツである、笑い)

…そして、彼らは質問が思い浮かばず、冷静に質問を考えるために、ひとまずサイン会の列を離れたのでした(笑い)その姿、すごく いいなぁ〜って思いました。ピアノを弾く身としては、ダニエルさんの姿が輝いて見えたのでしょうね!

2005年6月8日 追記

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